4月28日に終了した東京15区補欠選挙の結果と、千代田区政の今後のことについて、元千代田区職員と電話で意見交換しました。その概要を報告いたします。

 

赤いきつねの勝利

 

元職員 東京15区は、巷で「赤いきつね」と「緑の狸」の戦いだと言われていた。結果は赤いきつねの圧勝だった。緑の狸の凋落があまりに激しかったので、驚いた。無名の飯山あかり候補にも負けたのだから、今後いろいろな形で影響が出ると思う。

 

中 村 「緑のタヌキ」は有名なのでわかりますが、念のために、確認します。「赤いきつね」は「立憲共産党」のことですね。赤いというのは、共産党が中核になっているという意味でしょうか。

 

元職員 ご明察。真っ赤な人たちが集まって、日本を転覆させよう……これはちょっと言いすぎか・・・・・・今回の選挙は、キツネとタヌキの化かし合いみたいな感じでしょう。周りは舞台の盛り立て役になってしまった。

 

中 村 すごい言い方ですね。主要マスコミがそういう方向で報道しましたので、有権者の関心がそちらへ向かってしまったのでしょう。

でも、「赤いきつねの」得票数はこれまでとほとんど変わっていません。立憲民主党と共産党の支持票に社民党を合わせると、今回の得票数以上になります。組織票というのであれば、もっと得票数が多くても良いはずです。

 

元職員 感覚的にいうと、自民党支持票の一部は日本保守党に流れた。しかし行き場がなくて、多くは地元の須藤元気候補に集まったように見える。飯山候補は、地元からするとよそ者だからね。自民党支持者や公明党支持者の大半は、投票に行かなかったかもしれない。

    自民党が上手に票を散らしたので、次回衆議院候補を出せる状況だ。衆議院の本選挙では、補選で当選した「立憲共産党」議員が、苦しい立場に置かれるだろう。やっぱり自民党は、したたかだ。

 

中 村 メディアの期日前投票の調査分析では、飯山候補に自民党支持層の2割が投票したようです。その段階では、飯山候補は2位に浮上したようですが、あくまで期日前投票の調査です。選挙自体は、そんなに甘くなかったということでしょう。

 

元職員 飯山あかりさんは、参議院東京選挙区に出馬すれば当選するだろう。国家ビジョンも語れる人だから群を抜く存在だ。

衆議院選挙区では、大政党を相手に戦うので不利だ。衆院本選の場合は、比例復活で可能性があるとはいえ容易じゃない。

 

中 村 「緑のタヌキ」は、東京15区の補選で国政復活を目論んでいたのでしょうが、飯山あかりさんの出馬で予定が狂ってしまった。飯山候補は公の場でアラビア語の仕掛けをするでしょう。「緑のタヌキ」は、アラビア語ができないことがばれてしまいます。小池さんは東京15区を諦めた。ここで、飯山さんは大きな役割を果たしました。

    次に、無所属候補を装った「ファーストの会副代表」の乙武さんを敗退させる役割の一端を担った。この役割も大きかったことでしょう。

 

元職員 普通なら、「緑のタヌキ」は政界引退ということになるのだろうが、メンタルが強靭なので気にしないかもしれない。「この程度のこと、私の人生の中じゃ軽いかるい」という感じかな。無責任だから、何をやりだすかわからない。子どものころからそうしたことに、慣れているみたいだ。紳士淑女じゃ、彼女にかなわないよ。

 

中 村 「緑のタヌキ」は9億5000万円も使って都庁舎にプロジェクションマッピングでゴジラを投影するという、都税の無駄遣いと思われることをやっています。ほかにも、都民生活に関係ない税金の使い方をしているのではないでしょうか。

 

元職員 役所内でいわれているのが、エジプト方面への費用投下だ。「学歴詐称疑惑」と関係があるみたいだ。東京15区の補選結果は、そうしたことにブレーキをかける足場づくりになったかもしれない。

 

中 村 仮に「緑のタヌキ」が都知事選不出馬となったら、自民党に候補者はいるのでしょうか。

 

元職員 これから探すのは大変だろう。自問党都連の萩生田さんは信用を失墜させたし、自民党本部もわけがわからない。機能していないということ。

    今回に限りとなるだろうが、保守系はまとまる必要がある。まずは都政を落ち着かせて、衆議院選挙に備えるべきだ。

 

    自民党も保守党も、そのほか自分で保守と思う政党や個人が協力して、荒れた都政を正常化させることを優先すべきだ。日本保守党の有本香さんが最適だけど、自民党がウンと言わないと厳しい。

   「緑のタヌキ」の影響力が低下した今が、自民党の体制づくりのチャンスだと思う。これまで振り回されてきた自民党が、この段階で「緑のタヌキ」の軍門に下ることはないだろうと思いながらも、不安は残る。

 

 

千代田区はどうか

 

元職員 「緑のタヌキ」の凋落は、都民ファースト所属議員に影を落とすだろう。小池さんが消えたら、何の政策もない彼らに存在感がなくなる。左翼に走る議員、自民党に寄る議員という感じで崩れると思う。

 

    千代田区長は来年任期が切れる。このままの状態で再選というのは、なかなか難しい状況になった。執行機関内に応援者はいないし、議会の都ファ所属議員は選挙が強くても、論争に耐えらないから頼りにならない。

    

中 村 千代田区は、入札情報漏えい問題を抱えています。それに加えて樋口区長自身が都議時代に「学歴詐称」工作に関わった、と言われています。これは反樋口陣営には格好の攻撃材料になります。

    早いうちに議会に説明をするとか、記者会見をやるとかすれば救いようがありますが、それもありませんので苦しくなりそうです。

 

元職員 為政者としての、最悪パターンの一つだ。議員が筋の通らない形で区長を擁護すれば、区民から批判の声があがるだろ。「疑惑について説明しろ」と請願書や陳情書が出されれば、議会として調査しなければならなくなる。

 

中 村 反樋口陣営は、そのくらいの仕掛けはするかもしれません。先日の臨時議会で「樋口区長に説明を求める決議案」を提出した議員が、「説明を求める請願書や陳情書」を議案にして、臨時議会を要求することができるのではないでしょうか。

 

元職員 樋口区長に、小池都知事のようにとぼけ続けることができる胆力があるかどうかだが、簡単じゃない。

    この状況で、議会が何もしなければ区民間に不信が増幅される。有権者を舐めると、ひどいことになるというのは、東京15区補選結果が示している。

 

中 村 彼が政治家として生きていこうというのであれば、ここで腹を決めなければなりません。自立することです。いつまでも小池都知事の物まね状態では、飽きられることになります。

 

元職員 それに賛成。ただ、自立を支える人材が周辺にいるかどうか。

 

中 村 確かに、それが大事です。著名人の知りあいはいるでしょうけれども、区政運営に必要な自前の人材を持っているように見えません。すると残る方法は、〇〇〇〇〇〇ということになります。

 

元職員 それは良い。どうせ都ファは崩れるだろうから、早く決断するべきだ。都ファの議員と一緒に「行動」すれば良い。

 

中 村 そういう判断をするタイプかというと・・・・・・小池都知事と違って生真面目そうだから、できないかもしれません。

 

元職員 泥船に乗ったままで沈むのも、他人の人生だから構わない。その辺の対処は、小池師匠から学んでいないのかな。

 

中 村 彼がちゃんとしないと、おかしな人が区長になる恐れがあります。区長シンパではない人が彼を支える理由は、その辺にあります。いまは議会との関係が今一つしっくりしていませんので、その点を踏まえて距離を縮める必要があるでしょう。

 

元職員 そうだけれども、果たして聞く耳をもっているかどうかがわからない。自民党多数派が擁立すると思われる区長候補が嫌なので、樋口区長を支えている議員が多いのは確かだろう。職員も同じだ。

 

中 村 次の定例議会は6月です。それまでに区長が何もしないのであれば、大波乱の議会になるかもしれません。