期待できるか

 

嶋崎元議員と吉村元部長の逮捕事件を受けて、千代田区議会に 

「契約にかかる不正行為等再発防止特別委員会」が設置されました。

12名の議員で構成されています。

 

ところが、メンバーを見ると公職選挙法違反の疑いのある

「モノ配り議員」や、刑事事件で書類送検された議員、

前区長の私的事項調査という違法行為と思われる、

「100条調査委員会」をけん引した議員が入っています。

 

その構成で、ちゃんと仕事ができるのだろうかと思ってしまいます。

 

江東区議会では、公選法違反で在宅起訴された

3議員に対する辞職勧告決議をしました。

決議に拘束力はありませんが、議会としての姿勢を示すことにはなります。

 

千代田区議会議員の場合は、そうしたことに無頓着です。

 

感性に問題がありそうな議員が中心になっているので、

特別委員会の構成が謙虚さを感じられない構成になっているのでしょう。

 

問題のある議員たちが、「正義の味方」のように

不正行為再発防止を検討するというのですから、

彼らの感性は私たちの暮らす世界とかけ離れています。

 

この「正義」の定義については、解釈がいろいろあります。

日本の「正義」と、西洋の「正義(justice)」は

内容が違うというので、ややこしくなりそうです。

 

「正義」は人に寄っても国によっても違うので、人によっては便利です。

 

議会が自主性を持って今度の件に取り組む、それ自体は良いことです。

 

しかし、こうしたやり方は倫理上・法制度上疑念のある現職議員たちに、

免罪符を与えることになりませんでしょうか。

選挙違反ばかりやっている人を、選挙管理委員にするようなものです。

 

周囲から、委員会設置は議会のアリバイづくりと

理解されてしまうのは、仕方ないことでしょう。

 

議会として何か検討組織を作らなければいけない、という事情はあります。

また、各会派の構成人数に合わせて委員数を決めているので、

事務的に委員会をつくればそうなってしまうのでしょう。

遵法意識が低い会派が判断した結果です。

 

この段階で、すでに効果は「期待薄」になってしまいました。

もっとも、千代田区と千代田区議会は公金を誤魔化した議員を、

咎めるどころか監査委員にした「実績」がありますので、

不思議ではないのかもしれません。

 

マスメディアなどにバレたら批判するが、そうでなければ

「お互い黙認」という、都合の良い文化が形成されているようです。

 

今回の実態の全体像を議会として把握できないまま、

つまり事件を起こした構造的問題がわからないまま、

果たして「再発防止」ができるものなのでしょうか。

 

委員会を開くと、議員が区の部課長に対して様々な質問をすることになります。

しかし、今回の事件の詳細を部課長が把握できているとは思えません。

 

それは当然のことです。

いま司法当局が捜査中なのですから。

 

議会であっても、捜査中の事件については邪魔にならないように

配慮すべきですから、委員会は事実上開店休業になるかもしれません。

 

本気で対策を検討するのであれば下準備が重要ですが、

そうした作業が欠如しているように思えてなりません。

 

 

タロットカードの「正義」

 

役所組織が危ないかも

 

すでに行政において、「千代田区入札不正行為に関する

再発防止対策有識者会議」が設置されています。

 

ここにも議会と同じ問題がありそうです。

捜査中の事件の全容がわからないまま、

再発防止ができるとは思えません。

 

もしかして、本当は事件の背景や構造上の問題点を、

すでに把握しているのかもしれません。

 

部課長が警察の調査を受けるようになってから、数か月近く過ぎています。

 

その間、庁内で内部調査が続けられて、役所なりの

整理ができたうえで弁護士などに、「千代田区入札不正行為に関する

再発防止対策有識者会議」への参加をお願いしたと

考えられなくはないのです。

 

そうでなければ、外部の人に役所の実状を踏まえた

効果的な防止策を打ち出せ、というのは無茶な話になります。

 

ところでマスメディア情報によれば、今度の事件は

議員側からの働きかけで起こされたとされています。

しかも、常態化していたということです。

 

今度の事件に限って言えば、その点で行政は被害者のように思えます。

職員は、嶋崎議員(当時)が部長に働きかけさえしなかったら、

事件は起こらなかったと思っているはずです。

それ自体は間違いではないでしょう。

 

ただ、吉村元部長の「上司の指示で、何回か(情報提供)をした」という

(マスメディアを通じて)の証言があります。

事実なら、単に議員が悪いということでは済まなくなります。

 

仄聞するところでは、「上司」の罪は時効だとのことです。

ことの真偽がわかりませんので、何ともいえないとことがありますが、

行政組織として「時効なら問題ない」とはならないでしょう。

 

吉村元部長は「100条調査委員会」を設置する前に、

わざわざ議会事務局長として異動し、嶋崎議員(当時)や

某議員たちの身近にいるようになりました。

 

誰がそのような段取りをしたのでしょう。

議員に人事権はありません。

 

そうしたことを整理しておかないと、実効性のある解決策など

示すことはできないのではないでしょうか。