その違いは
今日から千代田区議会で、各会派の代表質問と
各議員の一般質問が始まります。
嶋崎秀彦千代田区議会議員(当時)と吉村以津己千代田区元部長が
逮捕されたことで、この問題に触れる議員がいると思われます。
この逮捕ですが、まだ犯罪者だというわけではありません。
議員の場合は、社会的信用で存在が認められるところがあります。
その事情から、容疑者になった段階で議員辞職する人がいます。
政治生命が断たれた、というところでしょうか。
そのために、周囲から犯罪者であることが確定したと勘違いされます。
これまで逮捕と書類送検の違いは何かを、
あまり考える機会がありませんでした。
しかし、今度の件で区民の方から「何が違うのか」と質問をいただき、
急きょ整理して報告させていただくことにしました。
二つの法律事務所の解説をもとに、説明させていただきます。
まず「逮捕」です。
事件の全容解明に向けて、実効ある取り調べを実施するための
手続きであるとされています。
逃亡や証拠隠滅の恐れがないという保証がなければ、
身柄を拘束する ― 逮捕ということになります。
警察は捜査をして、検察が起訴・不起訴を判断します。
ここから裁判が始まって、当事者は被告人となりますが
犯罪者ではありません。
裁判の結果によって、犯罪者であるかどうかが決まります。
場合によっては、無罪になることがないわけではありません。
日本の場合は起訴されると、99パーセントが有罪になるそうです。
検察が有罪の確証がある案件に絞って、起訴するためだと説明されています。
逮捕されると警察の取り調べが行われ、72時間以内に
拘留するかどうかの判断がされます。
勾留が必要だと認められると原則10日間勾留され、
場合によっては更に10日間の拘留となります。
つまり、最長23日間の取り調べの上、起訴・不起訴の判断がされるということです。
書類送検
法律用語としての、『書類送検』という言葉はないそうです。
一般的にそう呼ばれているということですから、私たちが
『書類送検』と言っても問題はなさそうです。
書類送検は、「身柄を拘束しないまま警察は事件の書類や
証拠品をまとめて検察庁へ送致する」手続きのことだと説明されます。
ベリーベスト法律事務所の説明では、書類送検は
「逮捕より一歩進んだ状態だ」となっています。
また、「刑罰に科せられるかどうかは、逮捕なのか
書類送検なのかに左右されません」と説明されています。
単に、起訴・不起訴のタイムリミットがかせられていないだけで、
書類送検されたあとに検察が必要と判断すれば、
身柄拘束 ― 逮捕されることがあるようです。
書類送検のほうが逮捕よりも軽い
というわけではないと、説明されています。
これらの解説は二つの法律事務所にほぼ共通していますので、
そのまま受け止めて良さそうです。
こうなると、逮捕の場合は辞職すべきで、
書類送検なら問題がないとはならないことになります。
千代田区議会議員の中には、傷害事件で書類送検された人がいます。
現段階では、嶋崎元議員と同じように犯罪者というわけではありません。
容疑者ということでしょう。
当該議員は議員辞職していませんので、同等の容疑者である
嶋崎議員も議員辞職する必要がなかった、ということになるかもしれません。
この点は、本人の気持ちと周囲の姿勢しだいということなのでしょう。
いずれも弁護士がつき、不起訴処分を目指して
奮闘することになると思われます。