約束したのに

 

私はこれまで、何回か新人候補への協力をしたことがあります。

千代田区議選だけでなく、他地区の選挙にも関わりました。

私が協力したのは、自民党、都民ファースト、参政党、無所属の新人でした。

 

参政党に期待していた時は、新人候補と一緒に勉強会を重ねました。

聞こえてくる本部の様子とは違って、参政党の末端にいる人たちは

極めて真面目です。

純粋だけに、心配になったほどです。

 

党の中心にいる人の一部に胡散臭さを感じたため、

参政党本部関係者と関わる気にはなりませんでした。

 

勉強会の過程で、

「国会議員と違って、自治体委員は無所属での仕事ができます」

「組織に問題があると感じたら、党を離れて客観的に現実を

見つめることがあっても良いかもしれません」

 

そんな説明をしたので、参加者からひんしゅくを買ったことがあります。

でも、党が有権者に約束したことと違うことをやった場合、

自分も支持者を裏切ったことになります。

 

「私は変わらないのに、党が変わったのでしょうがない」ということでは、

誠実さに欠けるというものです。

党と距離を置いて一考するのも、自分を落ち着かせる方法だと思います。

もっとも、参政党の場合は直ぐに除名されるかもしれません。

 

慣れると、不誠実であることや違法であることが、気にならなくなるそうです。

 

使い分けることが上手な人がいます。

千代田区議会議員の何人かは、党派に関係なく使い分けがとても上手です。

昔は、特定政党の議員が使い分けをしていましたが、最近は普遍化しました。

 

それも集団で使い分けるのですから、何ともすごい話です。

 

千代田区議会はいつの間にか、そういう特性をもつ人が増えました。

今回の情報漏えい事件の対応姿勢に、その特性が垣間見えます。

 

使い分けの全てが悪いわけではありません。

それどころか一定の使い分けできない議員は、

仕事ができなくなる場合があります。

 

議員は、地域の人たちから様々な用事を頼まれます。

その結果、義理と制度との板挟みになることがあります。

上手に対応しないとひどい目にあいますので、

適度の使い分けが必要になります。

 

この適度というのが、なかなか難しいところです。

聖人君子ではない私は、いろいろ経験しましたので難しさがよくわかります。

 

千代田区議会議員選挙のときに、各候補者は

「誠実に区政に取り組む」ことを約束したはずです。

議会改革を訴えた人もいました。

 

情報漏えい事件で環境が厳しくなった議会ですが、

こんなときこそ有権者との「約束」を果たすべきではないでしょうか。

 

 

組織的に

 

先日、群れを頼ると自己能力開発ができないことをお伝えしました。

各自が自立しないと、議員としての仕事が疎かになります。

でも、議会として行動するときには個人主義は通りません。

 

議員は自分の意見への同調者を集める、あるいは他の議員の意見に

同調することで、初めて自己の意思を反映することができます。

議案などへの見解が異なるときは、

会派間で「陣地取り」のようなことをやります。

 

議員の過半数の賛同がないと、議会の意志を決めることができませんので、

多数派工作が大事なのです。

この場合、組織的に動いた方が有利です。

いくら優れた議員であっても、組織の動きには敵いません。

 

紀元前、ガリア(古代ヨーロッパ西部のケルト族が居住した地域 

イタリア、フランス、ベルギー、スイスの全部か一部が入る)が

ローマに攻められたとき、周囲はガリア人が勝利すると考えられていました。

 

ガリア人は「人ひとりをとってみれば、戦士としてはおそらくガリア人の方が上であったろう」「体格や膂力(りょりょくー筋肉の力)においても、また、死を恐れず、敵を見るとかっとなって素裸のまま戦場にとび出してしまうような激しい戦意においても、-略- 彼らは怖れるべき戦士だったのである」(「黒マリアの謎」田中仁彦著:岩波書店P96)でした。

 

数においても勝っていたのに、彼らはローマに敗けました。

両軍の違いは、「組織的に動けたかどうか」でした。

 

この戦いは、個人と組織の戦いの違いを、

ハッキリさせた歴史的出来事と言われます。

 

個人として自信がなくても、組織の一員としての役割を全うすれば、

思いがけない成果にあずかれます。

 

区議会でも自尊心を捨てて組織的に動いた方が「強い」、

ということになりそうです。

 

いま千代田区議会で勢いがあるのは、自民党の多数派かもしれません。

昔、「ドン」がやっていたように左翼議員を駒のように使い(失礼)、

「身内」議員の顔を立て、何かあれば反自民党議員でも

「理屈抜きで守る」というところが強みのようです。

 

責任感が薄いところや区政全体に責任を持たないところも、

彼らの武器かもしれません。

会派の議員は、組織的に動いているように見えます。

 

ボスが交渉の場を蹴って出ていけば、会派所属の議員は

ボスを追うように出ていきます。

・・・・・・まぁ、これは単なる追従かもしれません。

 

「袋返しの術」を得意とする、

彼らの「ボス」を信頼しているのかどうかはわかりません。

揃って左翼議員の皆さんと連携をとって、自民党少数派や

会派「次世代」攻撃をするところを見ると、

やっていることに矛盾を感じていないようです。

 

これって、保守系支持者に対する約束違反ではないのでしょうか。