2月2日からの続きです

 

皇居の存在

 

元職員 一番は皇居の存在でしょう。これを否定するようでは日本人ではありませんから、相談の対象外の人間になるでしょう。左翼だった中村さんだって、「皇居を大切に」と言ってきたくらい、重要なものです。

 

中 村 私が議員のとき、当時の民主党議員から「皇居を大事にしましょう」と働きかけられたことがあります。彼は、千代田区長選挙に立候補した人です。左側の人からの働きかけです。そのことがキッカケになって、議会主催の「江戸城ツアー」を催し、新しく区民になった皆さんと一緒に皇居についての勉強をスタートさせました。「江戸城ツアー」がそれです。このときは、「江戸検定合格者」の皆さんが、ガイド役を務めてくださいました。

 

     事業を観光協会に引き継いでもらったところ、残念ながら潰されてしまいました。「江戸文化」に対する私たちの取組みが、中途半端だったことが原因だったのかもしれません。価値を共有できず、観光協会の「お荷物」になっていたのでしょう。

 

区 民 保守ではない議員からの働きかけ、というのが面白いですね。皇居は千代田区にしかないわけですから、確かに思想信条を越えたものがあっても不思議ではありません。

 

中 村 左翼の皆さんは、ときどき物事を飛躍させるアイデアを示してくれます。保守の人たちとは違った視点で考えるので、それが原案の質を高める役割を果たしてくれるのです。

      皇室と江戸の歴史が混在している地域というのは、千代田区にしかないでしょう。千代田区の特色というか、アイデンティティみたいなものです。

     学者の中には武士社会と皇室を対峙させる人がいます。徳川家を盛り立てると皇室に失礼だ、ということです。一理ありますが、庶民感覚からすると「皇室も、江戸の歴史も大事」となるのではないでしょうか。ただ、違いについての配慮はする必要があります。

 

区 民 他に考えられることはありませんでしょうか。 

 

元職員 私としては、地方議会の手本になるような議会活動を目指してほしいと思います。

 

区 民  どういうことですか。

 

元職員 皇居の話のように、千代田区オリジナルの長所を一所懸命磨いてほしい、ということです。  少し具体的に言いますと、秋葉原のサブカルチャー振興に一役買うとか、企業経営者の協力を得て、人材育成のためのスクールをもうけるとかです。次代を担う若者に、生情報の提供や人脈形成の機会を提供できます。

 

       公立学校の授業が面白くない、反対に学習塾の教師の話がわかりやすいと言われます。意欲のある教師に研修のチャンスを提供すれば、教師の技術が磨かれて授業が楽しくなります。子どもたちの知識の吸収が向上することでしょう。昔、中村さんたちとそんな話をしていたことがあります。

 

中 村 楽しい時期でした。そうしたことに、どんどん取り組むべきだと思います。

 

 

元職員 職員は前例のないことは嫌がりますので、こういうことは議会が先導する必要があります。そのとき、足を引っ張る人がいるかもしれませんが、千代田区の長所を磨こうということで、説得するしかありません。

 

区 民 それほどに、議会が「まとまる」ことは難しいのですか。

 

中 村 保守政党議員は、大所帯で生きてきたというプライドが高いのですが、傾向として一部を除きおおらかさがあります。左翼議員は何か提示されたものがあると、アラを見つけることに情熱を注ぐ傾向があります。

      左翼議員の場合は厳しい目でものごとを見ますので、提案されたものの欠陥を発見することに貢献してくれると思います。そうした癖があることを承知している人が調整すれば、まとまる可能性はあると思います。千代田区が人口激減で消滅するかもしれないというときに、議会がまとまって「住宅創出」という課題や、減税運動などに取り組んだことがあります。しかし今の議会にそうした危機感がないので、簡単ではないと思います。

 

区 民 区長候補になりたい人がいたり、都議会議員になりたい人がいたりする中で、議員が喧嘩ばかりしています。まとまることが可能なのでしょうか。

 

元職員 簡単な話ではありませんね。思い切って、自民党の都議会議員候補を、区議会関係者以外から擁立することになれば、まとまるかもしれません……いや、かえって現職議員が騒ぎを大きくするかもしれない・・・・・・

 

中 村 区長選挙をどうするのかということで、まったく様相が変わります。現時点では、左翼議員と自民党多数派(左翼系?)は「反樋口区長」の方向を目指しそうです。まだ全体が流動的ですから、直ちに「まとまる」ことはないと思います。一戦、二戦交えた後での話になるでしょう。

 

区 民 区長選挙と都議会議員選挙後、ということですね。

 

中 村 ええ、いまは厳しいと思います。区政を混乱させている議員の皆さんが、急に柔軟化することは考えられません。来年1月の区長選挙後であれば、まともになる機会が生まれるかもしれません。

 

元職員 そうかもしれません。いまは議員定数削減に絞って関心を持ったほうが、現実的かもしれません。

 

区 民 全然違う話で恐縮です。LGBTがらみの話ですが、その後区政では何か変化がありましたか。

 

元職員 特に聞いていません。何しろ、超党派で同性カップルの公営住宅の入居を認めました。今後は、男女平等云々と同じように、LGBT関係者の一定数を幹部職員にしろとか、〇〇委員に入れろとかいう話が出ることでしょう。

 

区 民 そうなると、議員の一定数もLGBT関係者にすべきだという話になりませんか。議員の男女比率の話が出されるくらいですから、そうした主張があってもおかしくないということになります。

 

中 村 今はそういう話になっていないようです。議員からは、そうした声はあがっていません。あがらない理由はわかりません。

 

区 民 使い分けですか。目立つ人が立候補すると、自分たちの議席が脅かされるからでしょうか。

 

中 村 まったくわかりません。その辺は、マジョリティとマイノリティ(多数派と少数派)の関係を整理する必要が出てきます。時間が必要なので、別の機会に意見交換しませんか。

 

区 民 そうしましょう。

 

                                懇談会報告を終わります