今年初めての、千代田区政関係者の懇談会を行いました。元千代田区議会議員、元千代田区職員、現千代田区民によるものです。その概要を報告いたします。

   実際には懇談会を複数回行い、参加者も若干異なります。そのまま文章化しますとわかりづらいために、編集してあります。なお、懇談会は議員と元職員が逮捕される以前に行われたものです。この時期の話題としては、若干違和感がでますがご容赦ください。

 

区議会の新体制

 

区 民 今年になって、嶋崎秀彦議員が自民党(保守派?)の幹事長を辞任して永田壮一議員に交代しました。嶋崎議員は、環境まちづくり委員会委員長も辞任したと聞きました。後任が、自民党多数派会派の林則行議員ということです。

     正直、これには驚きました。これまでの千代田区議会は会派の人数などを考慮して役職が決まっていました。それが破られた理由は何でしょうか。

 

中 村 単に、議会内の力関係の表れだということでしょう。これまで「4人組」と言われた議員は、果敢にも区政を掌握しようとしてきました。かつては同志だった前区長を叩き、区長選挙に挑戦したのがそのあらわれです。

 

     昨年の区議会議員選挙で「4人組」は、2人しか再選できませんでした。ひとりは勇退し、ひとりが落選したためです。選挙後、彼らは自民党を割って自民党議員の中で多数派となりました。議会の要職を確保して、議会自体を牛耳るつもりだったのでしょう。

     自民党の千代田区の組織を掌握するために、自民党分裂が必要な策であると判断したのかもしれません。なかなか戦略的です。

 

区 民 ところが、上手くいかなかった。

 

中 村 その通りです。区長選挙では樋口候補に敗れました。新議会では左翼勢力と連携して議会人事に臨んだのに、都民ファースト、無所属、立憲民主の「連合軍」に敗けました。議長ポストを取られてしまったのです。

 

彼らは自民党員としての誇りを捨て、「自民党保守派」を敵にしてまで政治工作しました。左翼系議員と手を組んで議長選挙に臨んだのに、上手くいかなかったということです。 

自民党千代田の組織掌握は、現在も進行中というところでしょう。

 

区 民 嶋崎議員の後継人事で「新4人組」が勝利したことで、ようやく彼らの存在感を誇示した、ということになりませんか。自民党多数派の左翼議員との連携が、功を奏したように見えます。

 

(「新4人組」があるわけではありません。「旧4人組」の2議員と2人の左翼議員の皆さんが事実上のグループをつくっているために、そう表現しています)

 

元職員 職員からすると、「新4人組」や自民党多数派の動向を注視することになりますから、そういう効果があったということです。

 

区 民 重要委員会の委員長をすべて彼らに独占させるようなことが、どうして起こったのですか。役所(行政)に対して独裁はいけないと言いながら、自分たちが独裁的なことをやるのはおかしいでしょう。

 

中 村 特定の議員グループが議会ポストを独占するというのは、バランス感覚としてはおかしいかもしれません。でも、それを周囲が許してしまったのですから、仕方がありません。それに、違法行為ではありません。

 

区 民 どうしてそのようなことになったのでしょう。今後の議会運営に、悪い影響を及ぼしませんか。

 

中 村 失敗した理由を分析して次に生かす習慣のない議員の皆さんに、いま原因を説明しても意味がないと思います。議会運営における実力の差でしょう。

     今後の議会運営は、話し合いよりも多数決を重視することになるかもしれません。区民の皆さんからすると、わかりやすくなるのではないでしょうか。

 

元職員 仄聞するところでは、欠員になった「環境まちづくり委員会」委員長の選任は、「俺に任せておけ」と自民党少数派(保守系)の長老が胸を張ったのに失敗したらしいですね。

 

中 村 そういう話もありますが、もともと長老議員の皆さんがいまの不甲斐ない議会を作ってしまったのですから、任せた時点で結果は見えていたと思います。

     重要な委員会を特定グループに独占されることの危険性を、認知できなかった議員が多かっただけのことでしょう。人事の影響を受ける行政としては、しばらく様子を見ているしかなさそうです。

 

元職員 ずいぶん冷めたい言い方ですね。(笑)

      執行機関(区長側)は、今度の人事を困っていますよ。

 

中 村 そう聞こえましたか。本音が出たのかもしれません。(笑)

      議会経験の少ない人が多いので、長老議員に期待してきましたが、彼らの体たらくに呆れています。「何かの事件」に関係あるらしい長老議員が、後輩のことを考えないで姿を見せなくなり、別の長老は自分がポストを得ようと欲張るようでは、物事が上手くいくはずがありません。

 

元職員 予算や条例を決める委員会を「反区長派(?)」に独占されたら、執行機関は仕事をしづらくなります。議会の賛同がないと、役所は仕事ができませんから。

 

 

区 民 最近は、「反樋口区長派」が多くなったのですか。

 

元職員 そういうことではありません。もともと「区長与党」は少数です。区長や役所の幹部職員として、ベテラン議員を頼りにしていたのに、そこが機能しないことで困っているという話です。

 

中 村 まぁ、試練のときかもしれませんね。樋口区長を支えたいという議員の皆さんは、自分たちが強くなるしかないでしょう。先輩議員の多くが「反区長派(?)」ですし、長老たちが自分の利益しか追及しないのであれば、それしか方法はありません。

     幸いにも、複数の良心的な議員がいますので、投げやりになることはないと思います。ただ、心ある議員が奮闘しているのに、それを助ける人が少ないところは気になります。

 

区 民 外からは、自分の利益追求のために議員になった人が多いように見えます。私の先輩が議員であったころは、議会をあげて千代田区を盛り立てようとしていたと思います。いまは、議会がかなり傷んでいる感じです。

     傷んだ議会をまともにする方策が、何かありませんか。

 

                                            明日に続きます