陳情者は重鎮

 

11月30日に、「千代田区議会議員の定数・報酬・政務活動費の

削減を求める陳情」が、議会へ提出されました。

 

陳情者は複数で、代表者は神田猿楽町の鎌倉勉さんです。

議会では、この陳情への対応をこれから協議するようです。

 

陳情の概要は、

「以前から議員定数、議員報酬、政務活動費の削減についての陳情書が

千代田区議会に提出されてきましたが、その要望は実現されていません。

最近、『身を削る改革』という言葉が使われています。人口に比して

千代田区議会の定数があまりにも多いので、適切な方策を実現していただきたい」

というものです。

 

千代田区議会の場合は、原則として陳情書は請願書に近い扱いをします。

請願書は請願法という法律に則った提出手続きが求められ、

紹介議員も必要となります。

また、審査の仕方も慎重になりますので、出す方も受けるほうも気を遣います。

 

しかし、陳情書は形式が整っていれば受理されます。

誰でも、気軽に提出できるもので、紹介議員も要りません。

ただ、誹謗中傷や個人攻撃のようなものは、議論の対象となりません。

 

今回の陳情書は、問題なく受理されました。

 

陳情者代表の鎌倉勤さんは、自民党のベテラン区議会議員でした。

議長経験者であり、地域では町会長も務められていらっしゃいました。

現在は千代田区の議員待遇者です。

いわば、議会のことも地域のこともよくご存じの方です。

 

そういう方からの陳情ですから、議会として無視できないと思われます。

 

しかし、議員定数一つとっても、議員の利害が絡んで字際には

カオス状態になるかもしれません。

ここでの「利害」というのは、選挙での当落のことです。

 

選挙の当落については、今年の区議選で下位当選した議員の皆さんが、

不安に駆られて抵抗するだろうと思われます。

 

新人の皆さんも、落ち着かなくなるかもしれません。

2回目の選挙で落選する候補者が、思いのほか多いからです。

 

大半の議員は、自分自身の保身のために

議員定数問題を「熟慮」することでしょう。

 

でも、当落は必ずしも定数で決まるわけではありません。

今年の区議選では、たっぷりと定数があったのに有力な現職議員が落選しました。

 

考えている議員はいる

 

維新の議員が、以前から定数削減に触れていました。

選挙後も、本会議場で定数削減の必要性を訴えています。

 

他の議員はどうでしょうか。

以前定数を削減したときは、共産党と左翼グループが反対したと記憶しています。

今回も、当該議員の皆さんは抵抗することでしょう。

 

分列している自民党の2会派と、会派「次世代」はどうでしょうか。

今の段階では、さっぱりわかりません。

 

特定の人たちだけで、「根回しをして結論を出す」恐れがないとも言えません。

その場合は、区民に内容がほとんど知らされることがないと思われます。

 

大事なことは、議論の様子が外に伝わることです。

日ごろから議員の皆さんは「見える化」云々といっているわけですから、

正々堂々と議論をしてほしいものです。

 

ポイントは、時代に即した議会の在り方を探求する視点に立脚して、

議論をすることでしょう。

議会改革とセットで考える、ということです。

 

たとえば、当日膨大な資料を渡され、「さあ、質問をしてください」という

現在のやり方を改善することです。

出された資料を目で追うだけでも大変で、質問をするまでには至りません。

 

インターネットが普及していますので、早期資料提供は難しくありません。

 

不思議なことに、中には資料を見ないのに質問をする議員がいます。

事前に情報を持っていたとしか、考えられません。

つまり、特定の議員には「根回し」がある、ということです。

 

ゼロにはできないかもしれませんが、行政はできるだけ「根回し」を止め、

議員には平等・公平な対応をすることで、時間のロスが避けられます。

 

議員が資料を読み検討する時間を、行政として保証することに加えて、

議会も運営上の配慮をすることが必要となります。

 

このことで、議員活動に時間的余裕ができますので、

一人ひとりの議員が無理する必要がなくなります。

今は、分担して議案等の調査をしています。

しかし、事前の資料配布等が早まれば議員は少人数で済みます。

 

もう一つは、議会事務局の調査能力の向上です。

議会事務局は議長の指示で仕事をすることになっていますが、

いつも指示があるわけではありません。

 

普段から議会の課題になりそうなものを「調査・研究」して、議長や議会に

情報提供できるような仕組みにすることが大事になります。

 

たとえば、予算・決算分析です。

過去の予算書・決算書と比較ができるように、データ整理をしておくなどの

作業が必要です。

 

議員活動を補助するために、議会事務局が存在しています。

そのための時間的余裕は、十分あるのではないでしょうか。