10月4日 軍等に所属する航空機の公益性と市民の安全

<悪魔が空を飛んでいる>



HPのプロフィールなどを見て頂ければわかりますが、私は海上自衛隊を退官した後、渡米し固定翼航空機の免許を取得、飛行教官として米国人に操縦技術・知識を教えていました。


使用航空機はさまざまですが、例えばCessna172 Skyhawk(C172)。

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エンジンが一つしかない単発航空機です。C172で高度5000ft(1524m)を飛行中に、エンジンが故障し止まったと仮定します。


その途端にC172は錐揉み状態になってまっさかさまに地面に突っ込んでいくと想像される方はあまりいないと思います。実際、そうはなりません。


パイロット(適切な訓練を受けた者に限る)は、常にエンジントラブルを念頭に操縦桿を握っており、この様な問題が発生した時も、その後の手順は決まっています。


「飛行中のエンジントラブル(エンジン再起動)」手順に従い、Airspeed 65KIAS: 速度120kmを維持し、エンジンの再起動を試みるわけですが、エンジンが再起動しなかった場合、不時着手順に移行します。


この、120kmという速度は、飛行機のピッチ(上下角)に関係しており、エンジンが止まった時点で、飛行機はグライダーのように空中を滑空しています。


速度120kmにピッチを調整することにより、最大滑空範囲を得られることになります。当然、高度が高いほど、最大滑空範囲も広くなります。


イメージとしては、パイロットは、常にエンジン故障→復旧不可能を念頭に置きつつ、飛行高度から計算される最大滑空範囲内にある不時着出来そうな地点をチャート(航空図)で確認し、目標とする空港を目指しています。


民間パイロットの場合、乗客や貨物の移送・輸送が主な飛行目的ですが、軍、自衛隊及び海上保安庁に属するパイロット(以下、「軍等に所属するパイロット」)の場合、これらの飛行目的の他に、空中戦闘、陸上・海上攻撃、監視などの任務が加わってきます。


言うまでもなく、軍等に所属するパイロットは、安全保障、海上の安全と治安を含め、公益の為に任務を遂行しています。


地上で生活している市民を、騒音で苦しめたり、不安や恐怖に陥れる為に飛行しているわけではありません。


本市における、軍等に所属する航空機に関する論調を聞いていると、その公益性が意図的に排除され、有害性のみが強調されています。


その偏向的な論調を聞いていると、まるで「軍等に所属する航空機」=悪魔が空を飛んでいるような錯覚に陥ります。

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戦中・後から軍隊に翻弄され、軍隊に不信感を抱いているという部分は十分に理解できますが、軍等に所属する航空機に関する諸問題解決に際しては、本市を含む日本の安全保障という重要課題に正面から取り組み、現実的な施策に具現化する必要があります。


相模原市議会においても、広く中立的な立場で意見を聞き、現実的な施策展開に向けて進んでいきたいと考えています。