<工事委託金額増額分(1億211万5千円)の妥当性の検証について>


今回のトンネル掘削工事は、JR東日本の敷地内における工事であり、また、鉄道運行の安全確保を図りつつの高度な専門性を有する工事のため、相模原市がJR東日本に工事を委託しています。(下記図参照)

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実際の工事をJR東日本から請け負っているのが、鉄建建設株式会社となります。


また、本工事委託金額の支払いに関しては、工事が全て完了した後に本市とJR東日本間で清算行為をする「予定工事」という形式をとっています。


ですので、正確に言うと、1億211万5千円は「工事委託契約における予定工事上限額の増額」になります。


本工事においては、原則として、国からの社会資本整備総合交付金(55%)及び本市の一般財源(45%)が充当されますが、


要するに、「本工事において、工事費が増額になり、その増額分は我々国民、市民の税金である」というのが本質です。



② では、今回、相模原市はどのように増額分の妥当性を検証したのでしょうか?


「工事費については、JR独自のマニュアル、単価ということで、公表されていない部分もある。そんな中で、JRにヒアリングを行い、市所有の土木工事標準積算基準書(国土交通省発行)に当てはめたり、工法の関係資料等を参考にしながら、市独自で積算し、ぴったりという数字にはならないが、おおむね妥当だという範囲に収まったと認識している。」


「コンパス工法積算基準書についても、JRからヒアリングを行った。<市道整備課>」


ここで問題なのは、工事委託金額増額に至る経緯が、前述の様に、JR東日本の責に帰するものであるのにもかかわらず、増額分の妥当性を検証するために必要な積算基準書を、一切開示していない点です。


積算基準書とは、工事費用内訳の積算基準となる電話帳位の厚さの本で、工程における、必要材料費、労務費、雑費などが記載されたものです。


コンパス工法を例にとると、防護用鉄板の挿入工程で、


○ 材料費:

 ・ 防護用鉄板1枚:○○円

 ・ 交換用ワイヤーソー○個:○○円


○ 労務費:

 ・ ガイドパイプワイヤー操作員○名○日:○○円/日


上記はコンパス工法を例にとった積算基準書の概要説明であり、実際のコンパス工法積算とは異なります。


と言ったように、必要経費が事細かく記載されたものです。


各種積算基準書は、工事委託金額増額分(1億211万5千円)の妥当性の検証には必要なものであるのにもかかわらず、JR東日本からの開示がありません。


「都市・地域整備局、河川局、道路局所管公共事業において鉄道事業者が工事を行う場合の費用等の透明性の確保について」(平成16年7月1日、国土交通省河川局治水課長ほか)


「公共事業における鉄道委託工事を行う場合の透明性の確保の徹底に関する申し合わせについて」(平成21年1月22日、国土交通省河川局治水課長ほか)


工事の内容及び費用等に関して、透明性を確保することを目的に、これらの通知が再三、出されているのにもかかわらず、これが鉄道委託工事における透明性確保の現状です。