東日本大震災から10年経ちました。

もう10年かと思う自分とまだ10年かと思う自分、どちらもいます。

「支援はブームじゃない」

共に歩み続けたここまでの10年を振り返ると、この言葉の重みを改めて感じます。

この言葉を合言葉に始まった陸前高田のみなさんへの復興支援活動。最初はこちらからの支援でしたが時を重ねるごとに関係性は交互支援に変わっていきました。

フロンターレと陸前高田。
お互いを想い合う10年を歩んできました。

昨シーズンで引退したことで、今回初めてチーム全員という形ではなく単身で陸前高田へ向かいました。2020シーズンはコロナの関係で訪問できなかったので約1年半振りの訪問でした。

前回と比べるとまた新たな建物が建ち、人が集まる場所交わる場所も徐々に増えてきている印象です。また「ふろん田」へ行き、酔仙酒造さんでお酒を作る過程を手伝わさせていただきました。
そして、陸前高田の顔馴染みのみなさんにも久し振りに会うことができました。会えたことも嬉しかったですし、引退セレモニーに来てくれたことのお礼もできて良かったです。

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広田湾付近に素晴らしい人工芝のサッカー場ができていました。『カリ「フロ」ニアフィールド」と名付けられたこのピッチ。僕らが訪れなくても、ひょっとしたらここにはサッカー場ができていたのかもしれない。
でも、僕らが訪れたことで陸前高田のみなさんがサッカーの楽しさ、素晴らしさを感じてくれて、ここにサッカー場を作ろうとなってできたのであれば僕らが訪れた意味はあったと思うし、この10年の僕らの活動に対するみなさんからの答えをいただいた気がしました(あくまで推測ですが…)

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行くたびに思うことですが、僕のやるべきことは「今」を伝えることだと思います。みなさんが前に進むパワーを、日々コツコツと積み重ねているものを伝えること。

本日、復興支援「Mind-1ニッポンプロジェクト」募金活動を溝ノ口駅前で実施させていただきました。
多くの方に募金をしていただきました。本当にありがとうございました。

10年前から始まった募金活動、あれから10年が経ち自分が引退して立場が変わっても引き続きこの活動が継続してできていることに、またそこに自分が参加できていることにこの10年の歩みを感じます。

本当にいろんなことがこの10年の間に起きました。陸前高田のみなさんにも川崎に応援に来てもらい、2015年にはスマイル協定が結ばれて、翌年には上長部グランドで3000人を集めたスマイルフェスが開催されました。そして、陸前高田ランドというフロンパークでのイベントが等々力で行われれるようになりました。パワーを与えていたつもりが気づいたら元気と勇気をもらっていたのは僕らの方でした。

その後押しもあり、現役中に初優勝からの5つのタイトルを陸前高田のみなさんと喜べたこと、喜んでもらえたこと。引退セレモニーにコロナ禍で大変な中、足を運んで登壇してもらい心温まるメッセージをいただいたこと。
そのひとつひとつを思い出し、10年前のあの時、自分たちがみなさんのところへ足を運んだことは間違っていなかったんだなと改めて思います。  

プロのサッカー選手がプロのサッカークラブがプレー以外でも喜んでもらえること、存在意義があるんだと教えていただきました。
みなさんの「またきてね!」がどれだけ心強かったか。
本当にありがとうございました。

10年経ちましたが、いまだ復興の道半ばです。ここまで、一年一年お互いを想いながら歩みを共にしてきました。これからもみなさんと一年一年共に歩んで行けたらと思います。

2021.3.11 中村憲剛

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