昨日の夜は遅くまで仲間が来ていて
ほとんど寝ずに母が乗って来たタクシーに乗り込んだ

明けましておめでとう
にこにこ笑顔の母は嬉しそうにそう言った

あ、おめでとうございます
今年もよろしくと私は答え
このまま羽田に向かってもらえますかと
タクシーの運転手さんに言った
年明け早々ラッキーと言わんばかりの笑顔で
運転手さんは会釈をし私達を乗せて羽田に向かった

今年の2月で80才を迎える母
少しづつ体も小さくなり体力も衰えて
特に寒い日は膝から太ももにかけて痛みが出るらしい

これから先、あまり遠出が出来なくなるんだろなぁと思い
今回思いきって知り合いのいる佐賀の古湯温泉に連れ出す事にした

かなり興奮気味の母はタクシーで会った時から
福岡空港に着くまでずっと話しっぱなしだった

空港でレンタカーを借り目的地の古湯へ向かった

到着した旅館はそんなに豪華絢爛ではないが
中庭には春になると可愛らしい桜の花を咲かせる木がある
三代続いてる旅館だった

和服の似合う品の良い女将が出迎えてくれ
部屋まで案内していただきお茶を出してもらった
それを飲みながら少しお喋りをしてお風呂に向かった

お風呂に着くまでに何ヶ所か階段がある
少し前から母は一人では階段を登り降り出来なくなっていた
一歩づつゆっくりと手を引き
彼女の呼吸に合わせるように降りていく…

何だかとてもせつなく思えた

「ゆ」と書かれてある赤いのれんをくぐって
待ちに待った温泉に二人で浸かった

久しぶり親子水入らずの時間

あ~気持ちいいわ~
いいお湯やねぇ
連れてきてくれてありがとうね
と母が言った

ここ古湯のお湯は温度が低めに設定されていて
長く浸かれる様になっているのだ
元々、ここのお湯はアトピーや皮膚に良く
それを治しに全国から集まってくる
ここの近くの湧き水は勿論飲めるので
わざわざこの水をくみに来る人も多いらしい
そして私も昔その一人だったのだ

我が家のGangAgeはお腹の中にいる頃からここのお水を飲み
彼女が口にするほぼ全てはここのお水でまかなわれていたのだ

その彼女は私達が出発した次の日から友達と京都に行くといって
今回の旅行は遠慮しておくわと言ってきた

本当に大きくなったもんだ
本当にこのお腹にいたのかなと時々疑ってしまう

綺麗に並べられた美味しい料理を味わいながら
30周年で忙しくしていて会えなかった母と
久しぶりにゆっくり話しをし優しい時間が流れて行った

部屋に戻り心地いいお布団の中で
今年もみんなが幸せに暮らせますように…
と願いながら部屋の灯りを消した