9月14日(水)の本会議にて一般質問を行いました。

具体的な詳細内容につきましては、是非、動画をご視聴ください。

 

令和4年度定例会9月議会 ― 09月14日 本会議

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■発言事項【一括方式】

1 現下のエネルギー・物価高騰に対する喫緊の対策について
 (1)現在の経済状況、物価上昇、コストプッシュ・インフレの影響について
 (2)エネルギー・物価高騰の経済状況に対する認識及び新たな施策等について
 (3)キャッシュレス決済によるポイント還元事業における、利用状況の把握と対策及び事業のプロセス評価について
 (4)エネルギー・物価高騰による企業物価指数の上昇及び価格転嫁ができない現状に対する認識について
 (5)エネルギー・物価高騰による企業の価格転嫁率の改善及び住民の物価上昇対策の施策について


2 超高齢化に向けた生活保護制度の運用全般について
 (1)生活保護世帯が入居されている場所の内訳について
 (2)ケースワーカーによる自立を促すための訪問活動と面会数について
 (3)超高齢化の状況及び無年金・低年金による生活保護への影響に対する認識と対策について
 (4)生活保護行政に万全を期すための生活保護者数の推計調査の必要性について

 


■全文■

 議席番号8番、立憲民主党墨田区議団の、中村あきひろです。
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが2年半以上と長期化しており、ご案内の通りまだ先が見通せない状況です。一般社団法人日本感染症学会によりますと、今年はインフルエンザが流行すると言われております。何故かと申し上げますと、南半球のオーストラリアは北半球の日本と季節が反対で、オーストラリアの患者数は例年6月から9月ごろにピークを迎えますが、今年は4月末から患者報告数が急増しています。感染症の流行はオーストラリアと相関関係が非常に強く、現に8月中旬までに21万人余が感染したと報告が上がっております。
 新型コロナ対策にあたる政府の分科会から新型コロナワクチンとインフルエンザのワクチンの同時接種の可能性を含めてしっかり対応しなければならないという事が挙げられておりますので、全国の自治体はもとより、墨田区も万全な体制を整備し、緊張感を持って対応する事が求められます。議会としても行政と一丸となって対応する準備を進めて参りたいと思います。
 それでは、大綱2点、ご質問いたします。

 まず、はじめに、現在の経済状況、物価上昇、コストプッシュ・インフレの影響と、物価上昇対策として自治体が行う事ができる対策について提示すると共に質問を致します。
 政府が8月15日に発表した2022年4月から6月期の実質GDP成長率は、前期比プラス0.5パーセント、年率換算プラス2.2パーセントとなり、3四半期連続でのプラス成長となりました。コロナ禍において、久々に行動制限のない大型連休を迎えサービス業を中心にリベンジ消費が進み、個人消費が堅調に伸びたことにより、金額ベースはコロナ前の2019年10月から12月期を上回ったものの、10パーセント消費増税直後の低迷期であり、水準は依然として低い状態です。
 また、食料・エネルギーといった身近なものを中心とした価格上昇圧力の高まり、つまり原材料価格高騰や円安の影響で、エネルギー輸入の急増が続き、7月の貿易収支は、季節調整値で2兆1333億円の赤字となり、単月で過去最大の赤字を計上しております。7月の全国消費者物価指数、生鮮食品を除くコアCPIは、前年比2.4パーセント上昇し、4カ月連続で日銀のインフレ目標水準を上回っております。ただし、前回も一般質問でお話いたしましたが、実質賃金が上がらず、物価が上昇するコストプッシュ型インフレで、今後の景気の腰折れが非常に懸念される事は言うまでもありません。本来あるべき、デマンドプル型のインフレであれば、賃金上昇によって消費意欲が増加し、売り上げが増え、その帰結として企業が設備投資をし、賃金がさらに上がるという好循環型のインフレですが、現在のコストプッシュ型のインフレは、外国からのエネルギーの輸入や食料品の輸入による物価上昇によるインフレなので、外国の生産者の所得は上がりますが、残念ながら日本の労働者の所得には還元されません。
 現に、日本の輸入割合の多くをエネルギー、食料といった生活に密着した「必需品」が占めており、コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争を受け、世界的にエネルギー、食料価格が高騰し、日本は輸入物価が一気に上昇する事態になっており、2022年1月から11月で値上げする食品は2万56品目と予測され、そのうち10月に値上げする品目数はおよそ3分の1近くの6千532品目が値上げし、10月は特に値上げ品目が集中しているため、これまで以上に物価高騰が拡大し、住民の方々の負担が一気に広がります。また、この影響は今後も含め長期化する可能性は否定できません。

 その中で政府の対策は、ガソリン補助金、節電ポイントあるいは給付金、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等の施策をしておりますが、根幹的な対策にはなっておらず、中長期的な物価高への消費者の懸念を緩和することにはつながっていないのが現状であると思います。本来的に抜本的対策をするのであれば、エネルギー価格や物価高騰に対する対策は、ガソリン税のトリガー条項の解除や消費減税、とりわけ食料品を含む生活必需品の軽減税率をする事が一番効果的であるのは言うまでもありませんが、それが成されていない現状であれば、各自治体が地域事情に合わせた対策をし、住民の生活を守らなければなりません。
 区長は今まで事あるごとに、景気・経済対策は国の仕事であると繰り返しおっしゃっておりますが、国の一般予算の6割が地方自治体の支出で、国・中央政府の支出は4割です。
ですので、国の一般会計の支出の6割以上を占める各地方自治体が地域事情に合わせた、きめ細やかな物価上昇対策をする事が結果的にマクロ経済に波及し、住民の生活が安定する事につながると考えますので、各自治体が持ち場・持ち場で自らの役割を最大限果たすことが求められます。
 先般、8月15日に総理大臣官邸で開催された、第3回物価・賃金・生活総合対策本部において、岸田総理は、地域の実情に応じたきめ細やかな支援を更に展開すべく、1兆円の地方創生臨時交付金を増額するよう指示し、物価高騰対応により重点的・効果的に活用される仕組みへと見直しを図りつつ、対策を一層強化するよう指示を出されましたので、実施自治体として早急に住民の生活を守るための施策を考えなければならないと思います。

 以上の現状を鑑み、喫緊の課題であるエネルギー・物価高騰対策を早急に打たなければなりませんが、エネルギー・物価高騰の経済状況について、どのような認識でおられますか。また、現在考えているエネルギー・物価高騰対策の施策について区長のご所見をお伺いいたします。

 今現在、9月30日まで「キャッシュレスで墨田区のお店を応援しよう!最大20パーセント戻ってくるキャンペーン」の実施をし、区内の事業所支援を行うと同時に、区民の皆様方の物価上昇対策の効果にも寄与していると思います。地域の経済施策としては、非常に有効な施策だと思いますが、キャッシュレス決済の特性上、活用できない方もいらっしゃいますので、その対策について区長にお尋ねいたします。
 まず、高齢者のとりわけ低年金者であれば、生活が物価上昇により厳しい状況である事は言うまでもありません。現に内閣府の『令和3年度国民生活に関する世論調査』によれば、70歳以上の35.2パーセントがお金を得るために働かざるをえない状況です。
 現在、区でキャッシュレス決済がどの程度進んでいるか、把握されているのであれば教えてください。
 また、65歳以上の高齢者はキャッシュレス決済をどの程度利用できるようになっているか具体的に教えてください。もし、詳細が把握できていないのであれば、何故、把握をされないのか、統計調査を行わない明確な理由を示してください。
 高齢者ほどキャッシュレス決済ができない傾向にありますが、その対策として、墨田区役所のキャンペーン相談窓口を期間限定で墨田区商店街連合会事務局が墨田区役所1階に設置し対応される事になり、また、ソフトバンクのオリナス錦糸町店、アルカキット錦糸町店、両国店、東京ソラマチ店が区内の「PayPay」相談窓口になっておりますが、実際に相談に来られた相談件数は、現時点で何件になっておりますか。相談窓口ごとに教えてください。
 また、現時点で相談をしたことにより実際にキャッシュレス決済の利用に結びついた件数は何件あるか教えてください。
 最後に、キャッシュレス決済の相談事業として、現時点での事業のプロセス評価についてどのように評価しているかお答えください。

 このたびのキャッシュレス決済によるポイント還元キャンペーンは、新型コロナウイルス感染症の拡大により落ち込んだ地域経済を活性化するため実施されておりますが、今後は新型コロナ及びエネルギー価格高騰による物価上昇の課題に早急に対応しなければなりません。何故なら、6月に株式会社東京商工リサーチが実施した企業アンケートでは、原価上昇分を「価格に転嫁できていない」企業が全体の61.7パーセントを占めております。
 また、日銀が8月10日に公表した7月の「企業物価指数」は、2020年の平均100とした場合に対し「114.5」で、前年同月比8.6パーセントの上昇で、前年の水準を上回るのは17カ月連続で高い伸びが続いております。全体では8割以上の品目が値上がりを致しました。企業の原価値上げ分の価格転嫁率は、44.3パーセントで、原材料費などのコストが100円上がったとしても、約44円しか値上げできていないことになり、つまり、半分以上は企業が負担していることになります。企業からは、「下請けの下請けでは価格転嫁など到底かなうものではない」という声もあり、多重下請け構造にさらされる中小企業ほど価格転嫁が厳しい環境にある様子が伺えます。
 区長に、墨田区内の事業者の原価上昇分に対する価格転嫁が出来ない現状について、どのような認識なのか、また喫緊の対策を考えているのかお尋ねいたします。
 本区は多くの中小企業を抱える自治体でもります。多くの中小企業では、価格転嫁が出来ず経営が非常に厳しくなることが容易に想像できますので、キャッシュレス決済による物価高騰対策のポイント還元キャンペーンとして、企業の価格転嫁分を想定して、例えば、10パーセント還元を3カ月から4カ月程度行い、企業の価格転嫁率を促進させると同時に、住民の物価高騰対策にも寄与する事ができると考えます。財源につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金やコロナ過で増加している財政調整基金・約237億円があれば、今回実施しているキャッシュレス決済促進・ポイント還元事業費の予算規模約4億円からもっと言えば10億円程度の財政出動であれば、十分に賄える範囲内です。
 より危機に対応した財政出動による、持続可能な景気循環対策をするべきだと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。

 次に、超高齢化に向けた生活保護の運用全般についてご質問いたします。
 「令和3年度墨田区の福祉・保健」によれば、現在、墨田区では、労働力類型別に見た被保護者世帯の数を見ると、6,257世帯いる事が分かります。先般、委員会で生活保護世帯が入居している場所の内訳をご質問した際に、調査するというご答弁でしたが、現在分かっている範囲で構いませんので、生活保護世帯が入居されている場所の内訳を教えてください。
 生活保護の被保護者は、令和4年5月時点で7401人、6185世帯となっており60パーセント以上が高齢者です。その中で、ケースワーカーによる自立を促すための訪問活動が、厚生労働省が通達を出している、実施要領の訪問回数の最低、年2回の下限のみで実施している世帯数が3,411世帯ありましたが、前回の一般質問の答弁の中では世帯の状況に応じて適切に行っているとおっしゃっていましたが、半年に1回しかお会いできていない世帯が全体の半分以上ですが、それがなぜ適切か明確なご説明をお願いいたします。
ケースワーカーの方々が被保護者と面会しない方が自立に結びつく統計的な相関関係が示されているならば、半年に1回の面会が適切であると納得ができると思いますが、そうでないならば明確な根拠を示して頂きたいと思います。
 客観的に数字のデータを見る限りでは、ケースワーカーの業務が事実上、収容するための業務に偏り、自立に向けた業務体制が疎かになっていると思わざるを得ません。区長に改めてお伺いいたしますが、大多数の方が半年で1回の面会しかできていない現状が妥当だとお考えでしょうか。区長のご所見をお伺いいたします。

 先般もお話ししましたが、2025年には団塊の世代がすべて75歳を迎え後期高齢者となり、総人口の5人に1人が後期高齢者となります。65歳以上を含めると、約3人に1人という超・超高齢化社会に突入します。65歳以上の高齢者の5人に1人は相対的貧困に陥っております。予備軍を含めると高齢者世帯の4分の1の世帯が該当します。無年金や低年金者が数多く存在している実態があります。生活保護は無年金、低年金の補足的な制度設計でもあります。現に、令和2年度の墨田区の保護開始世帯の留別構成比をみると、世帯主の疾病が約27パーセント、収入の減少・喪失(そうしつ)が約21パーセント、年金・仕送り等の減少・喪失(そうしつ)が約32.2パーセントと、内訳を見れば、怪我や病気、それに伴った収入の減少、親族の仕送りの減少が主な要因であり、高齢者の4人に1人が何らかの自助・共助・公助の何らかの支援を受けなければ、生活保護に頼らざるを得ない実態がありますが、超高齢化社会に突入した現状を見通す意味で、区長はどのような認識を持ち、どのような対策をお考えでしょうか。
 また、墨田区で生活保護を開始せざるを得ない一番の要因は、年金・仕送りなどの減少・喪失によって生活保護が開始されております。その割合は32.2パーセントで一番割合が多くなっております。今後、物価高騰の影響や長期のデフレによる、日本の経済成長の伸び悩みが続けば、現役世代が親に仕送りをする事が困難になると想定されますので、区として生活保護行政を万全に期すためには、今後の生活保護者数を見通す為の数値を把握する必要性があり、推計調査をすべきと思いますが、区長のご所見をお伺いいたします。
 最後に、生活保護は権利であり、最後の保障でもあります。住民の生活保障として生活を立て直すためのセーフティネットとしてしっかり制度を構築する必要性があると考えます。
諸外国のイギリスの生活保護の実情を挙げれば、例えば、映画や舞台でもお馴染みであります「ハリーポッター」の小説の著者であるJ・K・ローリング氏は、生活保護を受けながら懸命に執筆活動をし、その本が今では世界の多くの皆様に愛読され、多大な影響を与えている事は周知の事実であります。日本でも生活保護から再起し、何度でもやり直しがきく、本来的な生活保護の業務体制を、より推し進めるべきと考えます。
 ぜひ、墨田区の生活保護行政が被保護者の自立に結びつく先進的な自治体となり、他の自治体の参考になるように最大限尽力すべきです。

 以上、大綱二点につきまして、前向きに取り組む事を強く望み、私、立憲民主党、中村あきひろの質問と致します。ご清聴、誠にありがとうございました。