6月15日(水)の本会議にて一般質問を行いました。

具体的な詳細内容につきましては、是非、動画をご視聴ください。

 

令和4年度定例会6月議会 ― 06月15日 本会議

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■発言事項【一括方式】

1 物価高騰の影響による地方創生臨時交付金の活用の在り方について
 (1)物価高騰の影響による家計や企業における現状及び今後の見通しについて
 (2)物価高騰に対応した区民の生活を守るための地方創生臨時交付金における対象事業について
 (3)エビデンスに基づく対象事業の選定理由と事業評価の実施について


2 給食費の無償化又は半額相当の負担軽減策について
 (1)物価高騰に対応した給食費の無償化又は半額相当の負担軽減策の必要性について
 (2)緊急時における給食費無償化や軽減策の対応全般に関する今後の方針及び平時からの制度設計の構築について


3 ネーミングライツの複合化した運用について
 (1)障害者福祉等への財源確保に資するネーミングライツの新たな発掘について
 (2)ネーミングライツの複合化した運用での更なる財源確保について


4 コロナ禍における各所管の随意契約の検証及び今後の対策について
 (1)コロナ禍における全所管の随意契約状況の詳細について
 (2)随意契約に至った経緯及び根拠について
 (3)時間の制約がある場合の運用基準の策定について


5 2025年、2035年に向けた生活保護の運用の在り方について
 (1)生活保護の現状と今後の2025年、2035年に向けた見通しについて
 (2)ケースワーカーの業務量と業務内容の現状について
 (3)被保護者の自律・自立に資するケースワーカーの適正な配置人数について

 


■全文■

 議席番号8番、立憲民主党墨田区議団の、中村あきひろです。
 2年以上にわたり現在も続いている新型コロナウイルス感染症がある程度落ち着き、ようやく雇用や経済に回復基調の兆しが見え始めましたが、ウクライナ・ロシアの有事が起こり、エネルギー価格高騰で住民の生活が大変厳しくなっております。
国も地方自治体も当たり前の事ですが、緊急的な状況下では自分の持ち場で最大限の責務を果たさなければなりません。議会と行政が一体となって対応する事が重要です。議会の立場から積極的に提案をいたしますので、前向きなご答弁をお願い申し上げます。

 それでは、物価高騰の影響による地方創生臨時交付金の活用の在り方について、給食費の無償化または半額相当の負担軽減策について、ネーミングライツの複合化した運用について、コロナ禍における各所管の随意契約の検証及び今後の対策について、2025年、2035年に向けた生活保護の運用の在り方についての、大綱5点、ご質問いたします。

 まず、はじめに、家計や企業に物価高騰の影響がどの程度あるのかをお話いたします。
4月の消費者物価指数は、一年前と比べて2.1パーセント上昇しました。消費税率引き上げの影響を除くと、13年7か月ぶりの大幅な上昇です。労働者の実質賃金が下がり、物価が上昇するコストアップインフレで、皮肉にも政府・日銀が長年目標としてきた2パーセントの物価上昇を数字上は達成した形になっております。
 電気代は2021年9月から毎月値上がりし、過去5年間で最高水準に達しております。東京電力が4月27日に発表した標準家庭ケースの6月の電気料金は8,565円で、昨年6月の6,913円と比べると2割以上も高くなっております。また、ガソリン代は15.7パーセント、都市ガスは23.7パーセントの上昇となっており、NHKの調査によれば、調査対象522品目のうち、上昇している品目は351品目と、全体の67パーセント、つまりほぼ3分の2が値上げしており、値上げのすそ野が広がっていることが分かります。
 食料品は全般的に値上がりしておりますが、特に小麦粉製品の高騰が深刻で、ある大手製パンメーカーは1月に食パンを平均9パーセント値上げしたのに続き、7月にもさらに平均8.7パーセント値上げすると発表しております。野菜の高騰も続いており、玉ねぎは天候不良による出荷量減少の影響で前年比約3倍となっております。実際にスーパーに行ってみれば、食料品全般、嗜好品含め、これまでステルス値上げで何とか対応してきたメーカーもいよいよ本格的に値上げに踏み切った事が現場に行って改めて実感致しました。
 また、帝国データバンクによれば、今後、食品や飲料メーカーの105社が累計6000品目超のさらなる値上げを検討しているという事です。
 法人・企業についても、日銀の企業物価指数の直近の公表データによれば、4月は前年比10パーセントと二桁の高い伸びとなりました。輸入物価は前年比44.6パーセントと伸び率が高まっております。
企業物価指数は14か月連続で増加しており、原材料価格の高騰と円安の加速で幅広い製品が値上がりし、伸び率は比較可能な1981年以降最大となった事が明らかとなりました。
 前年比で値上がりしたのは企業物価指数を構成する744品目の6割に当たる453品目で、幅広い分野に広がりつつある。ガソリンや灯油、一部食料品の価格が上昇するなど、企業物価の高騰は先ほど説明した通り、消費者に価格転嫁され、生活に影響を与えております。日銀は先行きについて「原油価格上昇の波及に伴って上昇する製品が今後も出てくるだろう」とみているという事ですが、このような国内情勢について区長はどのような認識かお尋ねいたします。

 政府は以上の状況を鑑み、物価高騰対策の緊急対応のため、地方創生臨時交付金に新たに1兆円の枠の創設を表明し、困窮家庭や事業者支援、給食費の負担軽減等、地域の実情に合わせて自治体が独自に支援できるよう枠組みを作りました。
本区でも様々な事業で活用していくと思いますが、今現在、物価高騰に対応した区民の生活を守るための地方創生臨時交付金の活用について、本区が考える対象の事業を全て教えてください。また、何故その対象事業を選択したのかエビデンスに基づいて分かりやすくご説明ください。さらに、対象事業の事業評価は行うのかどうかも含めて区長の答弁を求めます。
 内閣府の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金QアンドA」によれば、「子育て世帯の臨時特別給付を含めて、各府省のコロナ関連の制度に対する上乗せや横出しといった支援施策についても、各地方公共団体の判断で臨時交付金を活用することは可能である」という事から、本区でも子育て世帯の臨時特別給付の上乗せ及び世帯範囲の横出しを追加で行う事が重要だと考えます。何故なら、収入に占める生活必需品の出費割合は低所得者ほど負担が大きくなる傾向がありますので、積極的に自治体が交付金を活用し、とりわけ低所得者世帯への生活防衛のための支援を図るべきだと考えますが、現在時点で子育て世帯の臨時特別給付の上乗せ及び世帯範囲の横出しを行うかどうかを教えてください。また、行う・行わないに関わらず、現時点での考え方について区長のご所見をお尋ねいたします。
 雇い止めや内定取消しにあった者等の雇用についても、地方創生臨時交付金の対象になりますが、新型コロナウイルス感染症の影響及び物価高騰の影響によって、地域経済・住民生活を支援するために緊急的な雇用は重要だと考えます。地域の雇用の維持の観点から業務上、人手が足りていない部署に緊急的に配備し、行政の業務の円滑化を推進すると共に雇用を創出する必要性があると思いますが、区長のご見解をお伺いいたします。

 次に、物価高騰に対応した給食費の無償化または半額相当の負担軽減策についてお伺いいたします。
私はこれまで何度も常任委員会はもとより、予算・決算特別委員会においても、コロナ禍における給食費の負担軽減を緊急的な対応すべきだと提案して参りましたが、残念ながら反映はされておりません。
そんな中で千葉県は、食料品などの物価高騰の影響により、特に子どもが多い世帯を対象に、2022年度内に学校給食費の無償化を実施できるよう準備を進める考えを示しました。
 堺市も、原油価格の高騰や物価高に対応した市独自の対策案として、4カ月分の水道料金を一部減免するほか、市立小学校と特別支援学校の2学期の給食費を無償化する経費を盛り込んだ補正予算案を市議会に提案すると発表しました。給食費は児童1人につき計約1万8千円から2万円の負担軽減になると試算しており、高騰する食材費に対する支援として約1億2千万円を計上し、今年度の給食の量と質の維持を図るとしております。
 墨田区と人口と一般予算額が比較的近い明石市の泉市政においては、子育て施策を重要施策の柱に掲げ実行し、2020年4月から中学校給食費無料化を開始し、年間約3憶5千万円をかけ子育て世帯の負担軽減を実施しております。その効果として、明石市は人口が9年連続で増加し、出生率も2018年に1.70と、全国平均の1.42よりも高く、まさに子育てしやすい街として広く認知されております。
 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課から、令和4年度における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の取扱いについて、『コロナ禍において食材費等が高騰する中にあって、地方公共団体の判断により、高騰する食材費の増額分の負担を支援し、保護者負担を増やすことなく、学校給食の円滑な実施のための事業にも臨時交付金の活用が可能です』との通達が出たことに伴い、本区でも物価高騰の対応のため、急遽、給食の材料費高騰分として、1食あたり8円の値上げ分を対応するとの話になりました。
 およそ2年前の一般会計補正予算の審議の時から、家計の急変に対応した緊急的な給食費の無償化及び対応を提言してきました。直近では令和3年度一般会計補正予算の予算特別委員会での質疑と意見開陳でも、教育委員会の所管をはじめ区長にも政治判断を含め、緊急時には給食費の高騰の対応や無償化を通した経済負担の軽減を強く求めました。その時の答弁は、対応は行わないとの一辺倒のお答えでしたが、何故か文部科学省が地方創生臨時交付金で対応できると通達がなされて初めて、本区でも給食費の対応をする事になりました。国からの通達や臨時交付金を判断基準にするのではなく、中央・地方政府は法律で明記されている通り対等な立場であり、決して下請けではありませんので、エビデンスに基づいて主体的に必要かどうかの対応を自治体が独自で判断すべきと考えます。
 給食費の無償化や負担軽減は、コロナ禍や物価高騰に対応した家計負担の軽減策として、前述の通り他の自治体でも実施しております。本区でも1食8円の対処療法ではなく一定期間、例えば1学期分の無償化や半額補助で子育て世帯全般を真に支援する事が重要だと考えます。
 区長並びに教育長に今後の緊急時における給食費の無償化や半額相当の負担軽減策全般の考え方をお尋ねすると共に、緊急時の対応を平時から改めて制度設計するお考えがあるかお尋ねいたします。

 次に、ネーミングライツの複合化した運用についてお尋ねいたします。
 区内の基幹公園、例えば錦糸公園では、清掃業者や就労継続支援B型事業所の利用者が定期的に清掃業務に従事して頂いているおかげでとてもきれいな状態が維持されております。公園の維持費や障害者福祉等への財源確保は重要な観点だと考えます。その為に、ネーミングライツの新たな発掘や複合化した運用でさらなる財源確保が必要です。
 例えば、横浜市、新宿区、渋谷区においてはトイレの命名権を募集して財源確保に努めております。とりわけ新宿区では多摩美術大学と連携してデザインを依頼しトイレをデザイン的に新装してネーミングライツを売却しております。本区でも千葉大学等と連携しトイレのデザインを含めて命名権を募集する事が財源確保に資すると考えます。
また、中野区では総合体育館を2020年9月から「キリンレモン スポーツセンター」にし、命名権料は年間500万円で契約をしております。
 本区にも基幹公園の錦糸公園、隅田公園があります。とりわけ錦糸公園は総合体育館、トイレもあり、錦糸町駅からすぐそばという立地で人通りが非常に多い場所です。公園や総合体育館の施設名、トイレの名称等、ネーミングライツを複合的にまとめて売却できれば大きな財源確保となり、障害者の公園の清掃業務等の財源確保に直結し、工賃向上にも資すると考えます。
本区でもぜひ、新たなネーミングライツの発掘と複合的な運用を進めて頂きたいと思いますが、区長のご見解をお伺いいたします。

 次に、コロナ禍における各所管の随意契約の検証及び今後の対策についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス対策に向けた事業に関し、神奈川県においては、健康医療局が2021年度に外部に発注した事業の8割以上が随意契約だったことが判明しました。このうち6割以上は、複数事業者から見積もりを取らない一者随意契約で、最高額の「臨時医療施設の運営」の約21億円も一者随意契約だったという事です。同局は「入札にかける時間がなかった」と説明しているという事ですが、事業者選定の公平性が問われる実態となっております。
また、同県の、産業労働局の2020から2021年度の新型コロナ関連事業29件、計82億円についても全てが随意契約だったことが判明しております。うち18件は複数の見積もりを取らない「一者随意契約」だったという事です。
まず本区では、所管ごとのコロナ関連業務について、随意契約及び一者随意契約だったものが何件中何件だったのか割合を含めて、教えてください。また、一番高額な契約となった随意契約は何の案件で契約金額はいくらだったか、随意契約に至った経緯及び根拠について、区長にお尋ねいたします。
 さらに、随意契約をしなくても良いケースがあったのかどうか、検証したかどうか、検証を今後するかどうかについてもご答弁をお願いいたします。
コロナ禍や緊急的な時には時間の制約や業務の円滑な運用が随意契約の主な理由に挙げられますが、本区が考える「時間の制約」とは何をもって時間の制約なのか、「円滑な業務遂行」というのは具体的に何を指すのか、基準があるのか教えてください。
 最後に、緊急的な随意契約における「時間の制約」や「円滑な業務遂行」の基準の作成やルール化、明確化を進め、ガイドラインを策定し、区民の皆様の大切な税金ですから、疑念が持たれないよう確実に情報公開し、透明性を確保すべきと考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。

 次に、2025年、2035年に向けた生活保護の運用の在り方についてお伺いいたします。
 2025年、団塊の世代がすべて75歳を迎え後期高齢者となり、総人口の5人に1人が後期高齢者となります。65歳以上を含めると約3人に1人という、超・超高齢化社会に突入した日本では、総人口と生産年齢人口が同時に減少し、少子化・高齢化が複合的に同時に進行します。
 2035年には、団塊世代が85歳となり、医療、介護の急激な増加が見込まれる事が問題として取り上げられております。
65歳以上の高齢者の5人に1人は相対的貧困に陥っております。予備軍を含めると高齢者世帯の4分の1の世帯が該当します。無年金や低年金者が数多く存在している実態があり、現在何とか働いている方も病気や怪我、高齢が原因で働けなくなることが容易に想像できます。
 現在、本区では65歳以上の人口が約6万人おります。生活保護の被保護者は、令和4年5月時点で7401人、6185世帯となっており60パーセント以上が高齢者です。仮に5人に1人が相対的貧困であれば、1万2000人が生活保護になる可能性があります。生活保護は無年金、低年金の補足的な制度設計でもありますので、今後さらに増加が見込まれます。
区長は2025年問題、2035年問題を前提に、生活保護をどのような体制にしなければならないと考えておりますか。また、生活保護の増加の予測はどのように立てているのか、お尋ねいたします。
 今後、生活保護が増加すると見込まれますが、まず前提として現在のケースワーカーの業務量と業務内容を正しく知る必要性があります。業務内容の詳細と、事務の割合と訪問の割合を数値で教えてください。今現在、ケースワーカーが平均で年に何回、被保護者に面会できているか、また現在、法律に定められている年2回の下限でしか面会できていない人数を教えてください。被保護者の自律に向けて年何回程度、面会する事が妥当だと考えているか教えてください。
 また、ケースワーカーの一人が担当する被保護者が標準数80世帯を上回っている現状があります。具体的に何世帯であればしっかりとひとりひとりに時間をかけて面会ができ、自律に結びつくのかを含めて業務量の実態調査をする必要性があります。ケースワーカーの業務量がオーバーしているかしていないか把握する事が、ケースワーカーの適正な人員配置に資すると考えますので、ケースワーカーの適正な人員配置及び業務量調査の実施について、区長のご見解をお伺いいたします。
 最後に、今回、無料低額宿泊所の立憲民主党墨田区議団の主催のもと区内の無料低額宿泊所の緊急実態調査を日本共産党墨田区議会議員団ともに行いました。日本共産党墨田区議会議員団からも一般質問でご説明があった通り、30人で集団生活されており、「約5畳の部屋に4人が住んでいて、プライバシーがない」「タバコの分煙がされておらず受動喫煙になっている」「衛生面に課題がある」「部屋が傾いている」「洗面台・風呂場が一つしかない」など非常に劣悪な環境であった事を確認しました。
厚生労働省の省令の「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」が定められ、東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例等の制定から2年が経過致しました。その内容の柱は、プライバシーに配慮した個室化、自律を促すための経済的な管理の禁止が挙げられております。
 他の支配を受けずに自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制する「自律」と、経済的・社会的に独り立ちをする「自立」を促すため、ケースワーカーの適正な人員配置をしなければなりません。まずはケースワーカーの業務量を調査し、2025年問題、2035年問題に向けて生活保護の運用を万全にする事を強く要望し、私、立憲民主党、中村あきひろの質問と致します。ご清聴、誠にありがとうございました。