四日市・死の海と闘う (岩波新書 青版 820) 新書 – 2002/6/12田尻 宗昭

 

本の紹介

バケツ一杯のゴミを港に捨てた個人が罰せられ,一日二○万トンもの廃酸をたれ流す企業は罪に問われない.海上保安庁に身をおいていた著者が,四日市の二大企業の廃酸排出事件にほとんど独力で取り組んだ経緯を,第一線の現場から語る.その生々しい事実と体験は,恐るべき公害の実態とずさんな公害行政を伝えて余すところがない.

 

 

田尻 宗昭(たじり むねあき、

1928年2月21日 - 1990年7月4日)は、日本で初めて公害事件の刑事責任を追及し「公害Gメン」と呼ばれた日本の公務員である。

1968年、四日市海上保安部警備救難課長。在職中、石原産業四日市工場、日本アエロジル四日市工場による四日市港への工場排水垂れ流しを摘発。日本の公害事件で初めて刑事責任を追及、行政と産業界の癒着にメスを入れた。

 

 

 

感想

この本の初版は1972年、昭和47年だった。公害問題を自分なりに取り組んでいた私に、勇気と力を与えてくれた本。本を読むと、彼の存在が邪魔になり理不尽な転勤や行政からの圧力もあり、その闘いは熾烈を極めたことが分かる。今の四日市になった裏で彼と共に闘った多くの人に感謝したい。