TVで、バス運転手不足が原因でバス路線が廃止されたという話を見て思い出した、50年程昔の話。私は学部学生だった。
言語学科の授業で、夏休み時期に岩手や青森の方言調査に行った。その日は、田沢湖周辺での調査で、学生がそれぞれ1地点を受け持ち、行きは、たぶん車で、調査地点の駅から遠い奥の方から、担当地域の学生を1人ずつおろしていき、帰りは、路線バスでそれぞれが駅まで帰って、列車で皆で次の宿泊地に移動するということだったと思う。
私の記憶は、帰りにバス停でバスを待っているところから始まる。目の前をいったん通り過ぎたタクシーが戻ってきて、「バスを待ってるのか? この路線廃止になってるけど」と。
驚いて、とにかく駅までそのタクシーに乗せてもらい、走っていく途中、次のバス停でバス待ちの同学年生O君発見、「あの子も乗せてください!」。
乗る予定の列車は、その日の最終だったはず。無事に乗って集合地点に着けた。
あのタクシーが声をかけてくれなかったらどうなっていたのだろうか。