2重賞なので恙なくやって行きます。
日曜に行われた重賞は神戸新聞杯とオールカマー。まずは神戸新聞杯の方から振り返っていこう。
勝ったのはメイショウタバル。スタートしてすぐに先手を奪うのではなく、1角が遠いコース設定を利してゆったりとジワっとハナを取った。ハッキリとハナを取ったのはスタートして300M以上過ぎてからで、この辺りはコンビ継続の妙というかスイッチを入れないようにと慎重になっていたのだと思う。馬場の割にはそこまで時計の掛かる感じにはなっていなかったが、12.7-11.0-11.7-12.4-12.2と5Fは60秒0と平均的に流れたし、中京であることを思えばむしろ少し速いくらいかもしれない。ハイペースだった皐月賞よりはしっかりペースを落とせたし余力も折り合いもしっかりで、後ろが少し付いてこな過ぎた感はあったがレースとしては言う事なしだろう。最後は詰められたが気持ち距離が長いかなという感はあったのでそれは気にしなくていいだろう。ゴールドシップ産駒としては道悪で実績があるように、父よりはフレンチデピュティ的な所が強い馬で道悪が得意で坂も苦にしない。菊花賞は気性的にも距離がどうかという感じはするのでちょっと強気にはなれないが、結果的にはここでは力が上だったという勝利。宝塚記念とかハマりそうな条件に思うし、GⅠ級かは別として、なかなかいい先行馬として面白い1頭になっていきそうだ。
本命のウエストナウは11着。スタート自体は悪くなくて最初は中団辺りに付けていた。しかし少しずつ位置が下がり4角を回り切る頃にはほとんど最後方という位置。進路がカットされる不利はあったが、それがなくても上位は厳しかっただろう。足元を見た感じ馬場がダメとは思わないし、ペース的にもついて行けないような流れではなかったと思うが、完全に脚を無くした負け方。まあ今回に関しては力負けと言わざるを得ないだろう。外を使いたがる馬・騎手はこのレースに限らずそこそこいたが、その割にはインから抜けてくる馬も多くて外を回すロスはあったかもしれない。ただ勝った馬、2着3着馬は春のGⅠ出走馬でもあり、春のクラシック組と夏の上がり馬の差が如実に出た印象も。これが春路線が強いのか、それとも下からの突き上げが足りない=レベルが上がってきていないのかはこれから検証は必要か。個人的な意見とすればどっちもありそうな気はしていて、セントライト記念も同じような結果だった。ここを糧にもっとレベルアップしたい。
2着ジューンテイクは京都新聞杯と同様にインから抜けてくる競馬。距離ロスの大きい馬が比較的いた中でインを回れたのは大きいし、足元からして今の馬場も合っていた。菊花賞向きという印象はないけども、立ち回りの上手さは武器になるし血統からは京都は恐らくベスト。再び雨の馬場となってくると上位があってもおかしくないか。3着ショウナンラプンタもインを回ってきた馬。まあインを狙っていたというよりは外を回すくらいならインを通すという感じだったとは思うが。この馬もそっと乗っていかないといけないところがあるのでペースが流れたのは良かった。京都は出走がないがストームキャットの3×4だし全くダメな舞台ではないはずで、足りるかはわからないが折り合いさえつけば力は出せそう。上がり馬勢ではオールセインツが4着で最先着。この馬もインを回って差してきた馬で、枠を上手く使ってきた。アイドリームドアドリームの牝系出身なので中京がベストかというとそんな事はないだろうが、その中でも脚を使えたというのは一定の評価をすべきか。ディープ×ルーラーシップは重賞勝ち馬も出ているし最近も安定してい勝ち上がりを出している配合ではあるが、孫の代になってもこういった質のいい馬を出せているのは注目すべきだろう。キズナ×ルーラーシップは他にキリンジがいて、1勝クラスには新馬でスティンガーグラスの2着だったアンゴラブラックがいる。5着に1番人気のメリオーレム。菊花賞を目指せるくらいの馬で将来的にはステイヤーだとは思うが、そういう馬だけに条件の2600→重賞の2200で緩みのないペースは少し忙しかった感じは否めず。本質的には広いコースよりも小回りや内回りで立ち回りの上手さを活かすところもあると思っているし、なおの事ペースが合わなかった。鞍上が言う程馬場がダメとは思っていないが、今日の川田さんは外に出してインから出し抜かれる場面が多かったですね。賞金的には多分菊花賞には出れそうではあるが、現時点ではまだ完成度で差があるか。これから成長していきたい。6着ビザンチンドリームは相変わらずの大味な競馬ではあったが、馬体重は変わっていなくても馬自体は成長していた印象で、こういった馬場で伸びあぐねるという感じではなかったところも成長の一つだろう。ラストはモタれるところもあったが春よりは状態が上がっていると見ていいだろう。京都がベストかというと微妙な所だが、距離は間違いなく伸びていいタイプ。しぶとく踏ん張りあう競馬なら今回以上もありそう。7着バッデレイトは元々速い脚があるタイプではないけど、ある程度前で受けて最後までジリジリとしぶとく、そこまで極端に止まってはいない。ワンスエドにサトノダイヤモンドだからこういった馬場は合っているのだろうが、この流れでしっかり走っているのだから自己条件なら勝負できそうだ。10着ミスタージーティーはこういったペース、馬場でこそだと思うのだが位置を取ってくれない。状態や血統の特性とは裏腹に、ちょっと消化不良なレースが続いている。
続いてオールカマー。
本命のサヴォーナは4着。スタートがそんなに速くない馬で実際今回もそこまで良くはなかったが、2200になってメンバーが前回よりも中距離質になったこともあり二の足で先行することが出来た。大方の予測通りアウスヴァールが逃げる展開で5F61秒0のスロー。今の馬場でこれだけ落とせる田辺スロー、恐るべし。その後も特段速いラップは刻まれることなく、ラスト3Fは11.6-11.3-11.8の上がりだけ速いこれまた田辺スローの象徴のようなラップ。こうなると後ろの馬は物理的に差すことが難しくなるので前の馬がそのまま位置を入れ替えたような着順になりやすいが、まさか終始3番手にいたこの馬が4着に入れ替わるとは。確かに上がりはないし今の馬場もベストとは言えないが、このペースで行けば馬券にはなるだろうと思っていただけにショックが大きい。正直リカンカブールは交わしてほしかった。スタートが今回も良くなくそれがずっと課題として付きまといそうでメンバーは選ぶが、好位追走なら大崩れはないと思う。ただ今回の結果を見るに、暑い時期の芝の状態が良いレースはあまり良くないかも。母方がハイペリオン的だから今後の成長も期待できるし、これからもう一回り強い馬になってもらえれば。
勝ったのは1番人気のレーベンスティール。元々前進気勢が強くて折り合いが難しい馬ではあるだけに、田辺スローでしっかり折り合えるのかがポイントだったが、流石ルメール騎手。さっさと好位を取って馬を気分よく運ばせた。本質的に中山向きの馬ではないが、そういう馬をインから勝たせるというのは先週のセントライト記念でやったアーバンシックと同じ乗り方で、コーナーを曲がり切るまで追い出していない。直線はリカンカブールに進路を閉められそうになって危なかったが、最後は地力で抜け出した。ペースが遅かったので着差は付かなかったが、まあ力通りならこれくらいは、というところか。春に付けていたボンバービットはどうやら外したようで、田中博康厩舎はボンバービットをほとんど全ての馬に付けていたイメージではあったが徐々に使う馬、使わない馬を分けてきた。この辺りも繊細にやっている印象を受ける。東京の方がいいのは間違いないので、今回以上の相手を迎えてGⅠで足りるかだろう。
2着アウスヴァールは田辺スローの張本人でまんまとマイペースに持ち込めた。ノヴェリスト×スペシャルウィークだからこういう逃げの手がハマるし、形としては完璧。それで負けたのだから力差は着差以上にあるが、こういう形を作ると非常にしぶとい。相手とコース次第で今後も警戒は必要。3着リカンカブールはこちらも気難しい馬だし外枠だったらそろっと乗るかなと思ったのだが、好位を取る英断。元々機動力には秀でた馬でちゃんと折り合いさえすればこういったコースは得意なタイプ。その折り合う時がわからなくてなかなか手を出せないんですけどね。ローカルの2000重賞ならやれていい馬ではあるので、これで軽視は出来なくなったか。5着アルビージャは思った以上にスタートが決まったが中団から。勝負の明暗を分けたのは勝負所の進路取りで、目の前にレーベンスティールいるという絶好の状況で外を回す選択をしてしまった事。このスローだからロスは何としても避けたいところで、あそこでレーベンスティールの後ろをついて行ければ大きく外を回すこともなかった。配合的にどっちつかずな万能型だけど特徴がないタイプなのでこのコースは合っていると思ったし、実際に掲示板までは来て相性の良さは見せたが、進路取りの差が大きすぎた。馬は6歳でもまだまだ元気で今後も頑張れそうだが、東京だと斬れ負けしそうでローカルの1周だと器用さで劣る感は否めない。6着ステラヴェローチェは思ったよりも折り合いはついて運べたが、バゴ×ディープのしぶとい中距離馬なので、このスローを中団から差すのは厳しい。もう少し位置を取るかなと思っていたのでレーベンスティールの後ろだと仕方ないか。天皇賞秋に向かうだろうが、スローの決め手勝負だとやはり分が悪いのである程度流れて欲しいところ。展開負けした馬で言えばキラーアビリティもそんなところだが、このペースは折り合いは問題なかったのは収穫。もっとタフなレースになれば浮上できそうだし、能力的にはこんなもんじゃない。4番人気のサリエラが12着。枠なりにインを通って立ち回りは良かったが、直線で急失速。確かに2200の馬ではないしノビノビ走らせた方がいいのは確かだが、それにしても止まりすぎ。恐らく直線でレーベンスティールが前に入ってきて馬が走る気を無くしてしまったのだろう。この辺は血統通りというか難しい馬だという感じ。今回は組み立てから難しかったので、あまり気にする負けではないだろう。ただ距離はもっと欲しい。
来週で中山と中京が終わり。東京が待ってますね。やっと気候も秋っぽくなってきたし競馬の秋を楽しもう。