日曜の中山競馬場は曇りの予報。当初の雨予報からずれて、土日共に雨は降らない天気になりそうだ。土曜のレースを見ると先週までよりもある程度時計が掛かっていた印象。まあそこまで時計が掛かっていたわけではなく、むしろ水準くらいな感じだが、走破タイムとしては1分7秒を切るか切らないかくらいか。タワーオブロンドンが勝った時に近い馬場差になりそう。今年のメンバーを見てみると、最もハナっぱやくテンから進んで行けるのはピューロマジックだろう。北九州記念では前半3F32秒台で入って行ったくらいでスプリンターとして高い資質があり、最近の日本馬の中では珍しいくらいにハッキリとしたピュアスプリンターだ。今回は鞍上が替わるが横山典弘騎手なら下手に抑える事はしないだろうし、4角までずっと下りが続く中山芝1200だから、今の馬場なら32秒で突っ込む可能性も高い。最近のスプリンターズSは33.3-34.7だった昨年や33.3-33.8だった3年前などペースの上がらないレースが増えている。これは単にメンバー構成によるところが大きく、ピュアスプリンターがいない裏返しでもある。故に1400を破格の数字で勝ったママコチャや、1600重賞勝ち馬のピクシーナイトなどの1400、1600向きの馬が上位に入りやすい流れになっていた。しかしピューロマジックがいて香港のビクターザウィナーがいて、序盤からある程度流していける馬がいる。小倉で32秒で行ける馬が中山で32秒で行けない理屈はないし、普通に考えればここも32秒で入る可能性は高く、となれば最近にありがちなスローにはならないだろう。しっかりと1200資質を問うレースになるはず。血統的には中山らしくロベルトとダンジグが強いが、より1200適性を伝えるのはダンジグの方で、2年前の勝ち馬ジャンダルムなどが代表例だろう。時計が掛かり始めたとはいえ、まだまだ速い部類の馬場差ならダンジグを狙わない手はない。また時計が速いならストームキャットの高速巡行も魅力的で、ダンジグかストームキャットか、という狙い目になるか。ナムラクレアやママコチャ、トウシンマカオ辺りはずっと1400の馬だという事は言い続けてきていて、だからこそ昨年のスローや中京では買いやすい存在。しかし今年の入りから流れてしっかり追走していく展開になったら適性からはズレる。前が32秒で入っていくGⅠで買う妙味はない。マッドクールはダンジグの血を持つし単にGⅠの成績だけで言えば上位。ただ昨年のスプリンターズS、今年の高松宮記念はペースが遅い上に高松宮記念は馬場が悪かったので仕方ないが、速い時計が出る馬場の実績があまりない。また香港では行き切れなかったり強引に行って付きバテするという感じで、字面のスプリンターなイメージよりもややスピードレンジが高くない印象が強い。良馬場でこのメンバーだと買いたくなる材料が弱い。目下の勢い1番のサトノレーヴはカナロア×バクシンオーの外さない配合で時計への対応も十分期待できるし、ペースが流れると非サンデーが好走しやすいレースだけにサンデーの血が入らないのもここでは強調できる。当然注意が必要だが、気になるのは一息に巡行で走って強いというよりは、一呼吸入れて溜めを作って弾ける感じで、好走パターンとしては1400馬に近い。母父サクラバクシンオーの祖母がブルリーのクロスを持っていて、この馬の祖母メガミゲランがトムフールのクロスを持つ。キンカメ自体がこういった血統と相性がいいだけに、脚を使うタイミングが難しい。継続騎乗はプラスだが、外目の枠だけにGⅠの流れを追い過ぎた時が怖い。
本命はビクターザウィナーに打ちたい。父はトロナドで母父がケープクロス。ヌレサドニアリーの3×4が特徴的で道悪の高松宮記念でも好走したように時計が掛かっても問題ないタイプだけに、1分7秒で走破する展開は正直やってみないとわからないというのが本音だが、父トロナドはグランドスラムの血を持っているし、母父ケープクロスはグリーンデザートを持つのでサーアイヴァーが入っている。そして何よりいかにもなCC体型でダンジグが出た馬だから、道悪や時計の掛かる馬場専用という烙印を押されるのはちょっと納得できない。香港のこの馬を持ってしても初速の速さはピューロマジックの方が上だから高松宮記念のように逃げる事はないだろうが、逃げなきゃどうにもならない馬ではないし香港でも好走時は割と息の入りやすい展開の時が多かった。それこそチェアマンズスプリントの時はマッドクールに無理やり来られ、それでも先手を譲らなかった結果、オーバーペースで止まってしまった。モレイラ騎手であればハナに拘らずマイペースだろうし、少し離れた2番手辺りから先行していくだろう。香港の絶対的存在というわけではないが、それでも1200資質は日本の馬に全く劣らないと思っているし、枠が遠いのが難点もそれでもダンジグ的追走力とパワーで頑張ってくれると信じたい。
印
◎ビクターザウィナー
○サトノレーヴ
▲ルガル
☆ピューロマジック
△マッドークール ムゲン ヴェントヴォーチェ
ルガルは長欠明けだけに状態面が不安だが、ストームキャット的な短距離馬で時計の出る馬場や流れたペースは問題ないだろう。良馬場になるのもプラスだし、条件は好転。後は鞍上がどこまで腹を据えて乗れるかだろう。もう1頭の香港馬ムゲンはダンジグなどの血は入っていなくて、レースを見ても短距離馬としては些かしなやかさも感じるタイプ。チェアマンズスプリントは前が崩れる流れで差しに構えて3着、前走は1400で1着というところを見るとベストは1400では。1200経験は豊富なので軽視はしないが、流れると脚が溜まり切るかどうか。