先週の日曜から9月になっているけども、中目黒さんはカレンダーをめくるのがとても遅いので、大体毎月2,3日経ってからカレンダーをめくっている。で、自宅にあるカレンダーは重賞の日程も載ってる競馬民御用達なやつなのでとても重宝しているんだけども、スプリンターズSが今年は9月に行われることに気が付いた。最近は10月の本当に頭に行われてた印象があって、ちょっと調べたら9月のスプリンターズSは2019年以来なんだとか。久しぶりですね。ちなみにスプリンターズSとセットになっていた凱旋門賞は今年外れて毎日王冠の週。気を付けましょう。
さて今週行われる重賞は3つ。まず土曜の紫苑S、そして日曜のセントウルSと京成杯AH。いづれも動画等は作っていないのでここで掘り下げていこう。
まずは紫苑S。
10年前、ショウナンパンドラが勝った時はまだOPだったこのレースが昨年からGⅡに昇格。重賞格付けから随分とトントン拍子で格付けが上がった。もっとも、昨年は秋華賞に直結しない形になってしまったが、ローテの多様化と間隔を空けて本番に臨みたいという意識が強い昨今は、このレースが重要なステップの一つになっているのは間違いない。今年は3歳GⅠ出走経験馬が2頭しかいないやや寂しいメンバーではあるが、内容には注目。昨年はペースがかなり流れた事や稍重という事もあって差しの決着にはなったが、基本的には開幕週でもあるし先行勢が有利で内枠も強い。差すなら内枠を利して立ち回る形がベターで、外々を回しながらの上位は昨年くらい流れないと厳しいか。血統的な所では重賞格付けされてからヌレイエフの血が好調で、昨年はヌレイエフの上位はなかったがサドラーのワンツーだった。他にはダンジグも相性が良く、底力とパワーで走り抜けるレースになっていると言えるかも。今年の出走馬ではまずホーエリートに注目してみたい。父はヌレイエフ持ちのルーラーシップで母父がステイゴールド。3代母アイリッシュカーリからはソルヴェイグなどが出ていて、更に遡ればシーキングザパールなども出てくるが、全体的には短距離・マイラーの活躍が近親には多い。その中でしぶとい中距離馬となったこの馬は父と母父の中距離質な面を引き継いだのだろう。ステイゴールドは母父としてそこまで有能とは言えないが、ルーラーシップと出会うとノーザンテーストのクロスになるし、母母父がクロフネなのでノーザンテースト≒ヴァイスリージェントでパワー的な面が出やすい配合。アイリッシュカーリはカーリアンの血を持っているがこの馬は急坂や時計の掛かる馬場など、タフな条件向きだろう。なので開幕週の馬場は歓迎とは言えないし鞍上ともあまり合うイメージがないが、上がりがそこまで速くないレースだし重賞でこそ持ち前のしぶとさやパワーは発揮される。コーナーで踏んで行けるように血統通りの機動力もあって、外から自分で捕まえに行く競馬が出来れば決して侮れない存在に。オークスも緩くない流れを自分から早めに動いて行ってのものだし、経験値としてもいいものを持っている。力通りならここは巻き返しが。他にはミアネーロか。父はドゥラメンテで母がミスエーニョなので親戚にはミスエルテがいる牝系。この一族で募集が掛かる馬はどの馬も結構期待されてはいるが勝ち上がりは優秀。恐らくもっと高いところを期待されてはいるのだろうけど外さないファミリーだ。ドゥラメンテ×プルピットだから血統のイメージとしては広いコースをストライドでドッスンと差す感じではあるが、中山で2勝して重賞も中山で、東京ではオークスで惨敗と、ちょっとイメージとは違う結果となっている。まあオークスに関しては距離であったり相手関係であったりも敗因としてあるとは思うが、内に入って一瞬反応したかな?というところで伸びなかった。プルピットに大箱向きの父を配して機動力型に出た馬というとディープ×エッセンスオブドバイのアルアインが思い浮かぶが、もしかするとこの馬も字面のイメージ以上に機動力型の可能性もありそう。牝系を思えば短縮はプラス。ドゥラメンテ牝馬らしい気の難しさもあるので休み明けのフレッシュな状態もいいのではないか。フラワーCは内を突いてきただけにがっぷり四つで組んで正攻法の競馬をやってどうかというのはあるが、GⅠを経験した強みをここで活かしたい。ベストは平坦も揉まれない競馬なら楽しみなサロニコス、ゼロスタートが良くないだけにリカバリーが重要だが、配合のいいハミングなども上位候補。
続いてセントウルS。
今年は2年振りに中京開催。ただ大きく違うのは連続開催であるという事で、特に先週は雨の影響で一気に馬場の傷みが進行した。今週までがAコースなのでどれだけ馬場の傷みを受けたか=時計の出方に変化があるかというのがポイントだろう。一応20年~22年までの中京開催だった3回の傾向を見てみると、勝ち馬の4角位置は2~5番手以内で、二桁番手からの3着内はなかった。この3回は開幕週で馬場が綺麗という事もあり前が残りやすいバイアスだった事、中京1200らしくそこまで前掛かりではなかった事が影響したように思う。今年は連続開催のAコース最終日、内も傷んでいるだけにこれが当てはまるかどうか。血統的な所ではストームキャットとダンジグが優勢で、中京らしい傾向とはなっているが今の馬場でどうなるか。時計が掛かるならデピュティミニスターの血も有力だと思うしロベルトも見逃せない。今年の出走馬ではまずママコチャに注目してみたい。父はクロフネで母父がキングカメハメハ。3代母がウェイブウインドという事でハヤヤッコ、メイケイエールが親戚にいるお馴染みの白毛牝系でソダシは全姉。この馬は毛色が鹿毛に出たが、この辺は劣性遺伝子とかなんとか聞いた記憶があるけど、理系はサッパリなので気になる人は自分で調べてください。ウェイブウインドの一族というとハヤヤッコや母ブチコもそうだったがパワーが前面に出る印象が強く、ダートの上級馬を出すイメージの人も多いだろう。ただ代を重ねる毎に徐々に芝向きの柔さを伝えるようになり、姉のソダシは芝マイルGⅠ馬でこの馬は1200のGⅠを勝った。ウェイブウインドの血統を見るとサーゲイロードやナスルーラ、プリンスキロといった軽さを抱えていて、クロフネ的なフィジカルから牝系本来の持ち味が出るようになったと捉えた方が良さそう。ママコチャに関して言えば1200のGⅠを勝ってはいるが、ベストレースは昨年の安土城Sだと個人的には思っていて、本質的には1200より1400が向くタイプだろう。中京1200は前半が突っ込みづらいレイアウトになっているから1400型が1200を走るには丁度いいペースになりやすいコースだし、急坂はベストではないにしても1200を走るという事にだけ限って言えば中京はパフォーマンスしやすい条件だろう。高松宮記念は馬場に敗因があったと見ている。それだけに荒れた馬場がここではカギになる。早くから乗り込んでいて休み明けでもしっかり作っているようだし、良馬場で時計の出る状況になれば巻き返しがあっても。他にはトウシンマカオか。父はビッグアーサーで母父がスペシャルウィーク。母がユキノマーメイドという事でベステンダンクが兄。ビッグアーサー×ユキノマーメイドだからイメージとしては平坦の軽い馬場を軽やかに走る感じだが、実際のところは父の重厚さが体現されている馬で、ウッドマンの影響もありそう。なので時計の掛かる馬場は得意だし、荒れた馬場で高速馬場ではないとしたら分が出る存在だろう。今でも1400に本質がある馬だと思っているので1200なら突っ込み過ぎないペースの方がいいと思うし、そういう意味でも中京は合うのでは。陣営は左回りが良くないと泣きを入れていて、実際チークを付けたり色々対策はしている。ただファルコンSは乱ペースで直線でもゴチャついたし、高松宮記念は2年連続雨の馬場に泣いた。シルクロードSはペースが落ち着いた中で位置を取れなかったし、左回りが苦手という割にはハッキリとした敗因が挙げられるし、前走にしても決め手の差が出ただけで左回りだと追えないという感じはなかった。雨が降らずに荒れた馬場になりそうなここは左回りでもいい条件。後は相手関係だけだろう。理想は外枠。急坂と荒れた馬場が課題だが、スプリンターとしての資質は高いピューロマジック、マイペース追走なら1200でも目途が立っているモズメイメイ、8秒台の決着なら出番があるヨシノイースターなども上位候補。
最後は京成杯AH。
サマーマイルシリーズに組み込まれているのにレース名にオータムが入っているのはいかがなものか。紫苑Sと同様に開幕週の重賞なので前で受けるか内を立ち回る馬が上位に入りやすく、外差しは基本的には決まりづらい。また中山としてはかなり時計の速くなりやすいレースでもあり、昨年は31秒台で決着。かつては1分30秒台で決まったことも。ただペース自体はそこまで突っ込んでいなくて後傾ラップの年も見受けられる。つまり前が飛ばして時計が出るのではなく、単純に馬場差がかなり速い。故にルーラーシップ産駒、スクリーンヒーロー産駒が昨年ワンツーだったり、ディープやハーツ産駒が上位に入るなど、中距離志向でも十分対応できるレース。また中山らしくダンジグやロベルト、ノーザンテーストといった機動力やパワーに長けた血統も強い。ただ時計が速ければストームキャットも軽視はできない。今年の出走馬ではまずキャットファイトに注目してみたい。父はディスクリートキャットで母父がパイロ。母方を遡るとミスワキが出てくる名牝系で活躍馬が多数。祖母がバックパサーのクロスで母がプルピットの血を持つし、父もバックパサーを持つ。更にシャーペンアップも入ってくるので機動力特化という印象。直線が長いコースよりも中山のような小回りで直線が短いコースの方が良さを出せそうだ。レースに行けば真面目に走るが、そこに向かうまでのプロセスで気性の難しさを見せる馬で、現状では遠征の競馬はハードルが高そう。長距離輸送がない東地区のレースの方が馬のメンタル的には競馬がしやすそうだ。ここは休み明けで成長を見せたい1戦。時計の出る馬場は問題ないし、ハンデも52㌔と重くない。当日落ち着いて臨むことが出来れば展開次第で粘り込むことが出来ても不思議はないだろう。鞍上は正直信頼できないところはあるし、過去走を踏まえて先を見据えるという理由で後ろにいる可能性も否定はできない。そうなってしまったらもうどうにもならないだろうけど、マイラーなのは確かなのでそういった競馬をしてもらえたら。他にはセルバーグにも注目してみたい。父はエピファネイアで母父がキンシャサノキセキ。エピファネイアは様々な配合が成功しているが、フジキセキを迎えてナタの斬れ的に振っていく形も上級クラスの馬が出ていて、決してダメな配合ではない。フジキセキは非ノーザンダンサーの馬だが、この馬の母も非ノーザンダンサーな主流から外れた北米血統。エピファネイアが持つシンボリクリスエスも非ノーザンダンサーなので、言い方は悪いがクロスが結構スカスカというか、サンデーの4×4以外でルファビュルーくらいしか強いクロスが入ってこない。しかしその分しぶとくパワーに長け、マイペースを刻むと持ち味を発揮する。その辺りはスペシャルウィークの影響も受けているだろう。マイルは少し忙しいのでベスト距離ではないだろうが、オーキッドロマンスの出方次第でハナか揉まれない位置は取れそうだし、イーブンペースならチャンスはありそう。前走は明らかなオーバーペースで参考外。武豊騎手なら前走のような競馬はしないだろう。中山は初めてだが合わないコースとは思っていないので巻き返しに期待。斤量は貰うが中山自体はダメではなさそうなアスコリピチェーノ、小回りで立ち回りの良さを出したいコラソンビート、かなり難しい馬だが能力は重賞でも十分通用するサンライズロナウドなども上位候補。
今週から中山という事で、中目黒さんは色々と忙しくなりますが頑張って乗り越えようと思います。この時期の2歳ダート戦は結構重要というかね、いい馬控えてたりしますんで。