土曜の東京競馬場は晴れの予報。良馬場で行われるだろうが、金曜時点の含水率は芝はほぼ平均的だがダートが少し湿っている。週の始めに降った雪がまだ水分として残っている感じで、時計が速いかはやってみないとなところはありそうだが、極端に掛かる事はないのではないか。今年のメンバーを見るとルージュスエルテの出方がカギになりそうだ。ハーツ産駒ではあるが母方のストームキャットやハビタットが強いタイプで前向きさがあり、1800から1400へシフトして2勝。マイルに延びるここでまず逃げるのかどうか、そして逃げるならどういうペースになるのか。他の馬を見渡すと1枠のサクセスカラーが割と気のいいタイプで初戦は唸りながらの追走だった。2戦目でテンションが上がってくるとここはハナを取らざるを得ないシーンもありそうだが、今回も最内に入ったことで壁を作っていくだろうし、乗っているのが田辺騎手なので激しく競る事もしないだろう。そしてルージュスエルテの前走は抑えながら4Fが50秒7のスローでスイッチを入れない競馬。今回は相手関係的にそこまで落とせないだろうがこの辺を見るとゆったり運びたい意図が見えるし、結局どの馬が行ってもスローで流れていくのではないか。クイーンCはマイル戦ながら桜花賞よりもオークスに繋がりやすい傾向があり、それは中距離馬がゆったり追走出来るペースであるのも一因として関係している。今年も中距離馬が追走出来るペースになりそうだし、そうなるとマイラー色が強いルージュスエルテにとっては少し苦しい戦いになるかもしれない。逆に言えばマイラーの高速巡行に持って行ければこの馬が最上位、という考え方もできるが、先を見据える鞍上だけにそこまで振り切れるかどうか。血統的には近年トニービン持ちの好走が非常に多く、直近3回でトニービン持ちが計5頭3着内に入っている。トニービン的な粘り腰が重要というよりはトニービンからしなやか体質と大箱向きストライドを受け継ぐという側面の方が強い感じで、他にディープ持ちが好走しているのも理屈は似たところだろう。大事なのはクラシックを見据える面々なのだから中距離に寄りすぎない、緩ませ過ぎないためにマイルの血が入っているかどうかという点で、昨年のハーパー(母がマイルG1勝ち)にしてもドゥアイズ(母母がマイル重賞勝ち)にしても、プレサージュリフト(母が1200重賞2着)、アカイトリノムスメ(母が牝馬3冠、マイルGⅠ3勝)にしても必ず母方からマイラーの血を受け継いでいた。
本命はアルセナールに打ちたい。父はエピファネイアで母父がダイワメジャー。母がサンブルエミューズという事でナミュールの半妹、マルシュロレーヌの姪という関係になり、祖母がヴィートマルシェという良血。ヴィートマルシェ→サンブルエミューズというラインはヴァイスリージェント≒ノーザンテーストのフィジカルの強さを活かしたタイプに出やすいところもあり、ナミュールもオークスで強い3着と走った後に、結果的にマイルG1を勝った。ただこの馬に関して言えば前走を見た限りでそういったフィジカルの強いマイラー感というのはまるでなく、ラストの脚というのは中距離馬だなという感じを強く印象付けるものだった。これは父の影響であったり、あるいはダンシングブレーヴの影響もあるのかもしれないが、とにかくマイラーではないというのは確かだと思う。エピファネイアや半弟のリオンディーズの牝馬というのは初戦から気合乗りが良く新馬戦の成績も優秀だが、反面、気合乗りが良すぎて2戦目が凡戦になる事も少なくない。それだけにこの馬もそれは心配材料であるものの、マイルは合っていないだけにそれくらいの気合乗りになってくれた方がむしろ追走出来そうではある。前走のレース自体は時計こそ遅いが12.0-11.3-11.4というレース上がり3Fを残り200で2馬身くらいは離されたところから差し切って1馬身なのだから、脚力や能力の片鱗は十分見せたと思う。エピファネイアに1200～1600で3勝しマイル重賞3着の母という組み合わせだからクラシック向きだと思うし、母父ダイワメジャーを賞金順で並べるとナミュール(父ハービンジャー)ショウナンナデシコ(父オルフェーヴル)グランブリッジ(父シニスターミニスター)といった具合に中距離の種牡馬ばかりなのも強調できる点。相手は強くなるがここでも威張れる血統と素質だろう。
印
◎アルセナール
○サフィラ
▲ルージュスエルテ
☆サンセットビュー
△クイーンズウォーク
サフィラはサリオスの全妹でデインヒルが入るハーツ産駒だから最近流行りの組み合わせ。ただサリオスよりもハッキリと中距離型で持続体質だし、マイルならゆったり走ってじわっと脚を伸ばす感じになりそうだ。内を割れないタイプだけに4番枠は乗りやすくないだろう。サンセットビューは前走で逸走してしまっただけにワンターンでちゃんと走って欲しい。母方が北米マイラー系で京都でもちゃんと下ってきたドゥラメンテ産駒だから東京マイルは悪い舞台ではないはず。クイーンズウォークはスタートが良くないのでリカバリーしやすい外枠は歓迎。あとは折り合い的な所をどうするかだが、高速巡行した方が強い印象ではあるので、ゆったり過ぎるペースだと良さを出せない可能性は考えておきたい。