アニメ研究家リュードー的「アニ評論」
秋アニメ④『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』
【カテゴリー】
アクションファンタジー
【放送局】
ＭＸ
【制作会社】
ラルケ
【概要】
シリーズ累計８００万部超の名作「キノの旅 -the Beautiful World-」の新たなTVアニメシリーズ。少年に見えるけれど実は少女の旅人キノが、相棒で二輪車のエルメスとともにいろいろな国をめぐる。目的のある旅ではなく価値観も風習もまったく異なる国々の出来事をつなぐ連作短編ストーリー。1つひとつが、独立した寓話のよう。人間の欲が感情が引き起こすダークな物語を、淡々と拾い上げ描き出された作品。
【ストーリー】
主人公の人間キノと言葉を話す二輪車エルメスは、目的もなく世界をあちこち旅している。 世界のあちこちには個性豊かな国があり人々は自分たちなりの法や常識をもって暮らしていてキノとエルメスはそんな国々を訪れ、基本的に３日間だけ滞在しまた次の国へと旅立っていく。そんなキノとエルメスの旅の話は、時に優しく、時に哀しく、 時に滑稽で、時に胸に突き刺さる。
【視聴評論】
≪ストーリー≫
・あの名作「キノの旅」の新たなTVアニメシリーズってことでかなり期待度高いものだよね。始まる前から話題になっていたし、２００３年にアニメ化されて今回はオールキャスト変わっての作品ってことで新しい作品として生まれ変わったし。
・人の感情の変化を本当にこと細かく描きだしていて、それを多すぎないセリフの中に厳選された言葉１つ１つが生き物になって物語を作り上げ、見ている人の心に入り込んでくるそんななんだか不思議な作品なんだよね。
・キノの人間っぽくてでも時には無情だったりするこの極端な感情はどこからくるんだろうか、なんて思って見ていると、実は見ているこっちも同じようなことを経験していたり、ハッと気付かされる部分があったりして、なんだかアニメのファンタジー作品なのにリアル社会での出来事へ置き換えられてしまうっていう所が面白いなー。
・二輪車がしゃべり知性もあるって、なんか男のロマンだったりしない？バイクとツーリングしに出かけていたらバイクに話しかけちゃったりして。そしたら返事したような気がするとか。ｗｗｗ これはバイクだけじゃなくて車にでもなんでも身近なものでそうあったらいいなーっていう風に思ったことあるよね。
・作品を見ていて人間の憎悪とかリアルに描き出されているんだけど、それにどう向き合っていくのか、どう解決していくのか、なんか短いストーリーの中に見事に落としこまれて完結されていて、でもどことなくモヤモヤするっていうこの不思議なバランスが本当にいい作品だなーっておもう。
・アニメを見て全て分かった！っていうのってもちろん分かりやすくていいんだろうけど、でもね、見ている側が何を感じどう思うかっていうのはとっても大切だと思う。そのちょっとした仕掛けというか見ている人が考える時間を与えるストーリーの展開とか落とし方って難しいと思うんだよね。
・でもこの作品では綺麗にというか自然にできているところが本当にすごいことだと思う！ぜひこの作品を見る時にはそーゆー視点もあるのかな？なんて見てもらうとまた違ったストーリーに見えてくるかも。ｗ
≪描写≫
・この綺麗な世界観が本当にすき！キャラクターのシンプルで色の発色もよくて、でもアイドル系程キラキラしていないっていう匙加減がいいねー♪
・背景のふわっとした優しいタッチなんだけど、街並みとか時にリアルに細かく描かれていたり、目で見た景色そのものなんだよね。遠近の表現が。
・手前のものはハッキリ、遠くの景色はぼんやりって。キャラはハッキリ、室内はややハッキリ、過ぎゆく人はややぼんやり、景色ぼんやり。この使い分けってあんまり他の作品でも分かりやすくはないかもなー。
・エルメスとか銃とかそのリアルで実在するものの描写は本当に細かい！それと風にたなびく洋服のビラビラ感とかもね。
・１９世紀のヨーロッパのような街並みがどことなく実在していそうで、でもファンタジーなんだっていう要素もしっかりと描かれていたり見ていてなんか不思議な感覚になるよね。
≪音楽≫
・今期のアニメで大活躍のやなぎなぎ作品の１つ。
・OPは、やなぎなぎ「here and there」、EDも、やなぎなぎ「砂糖玉の月」。なんともふんわりとした中で凛とした力強さを感じさせる歌声と歌詞が冒険ストーリーにぴったり。
・ＢＧＭのあてかたが華美でなくしっかりと物語にそう控えめなのがとってもいい。
【ターゲット】 １０代～５０代（人ってなんだろって思ったことのある人にはいいかなｗ）
【おススメ度】 ★★★★★
【番組ＨＰ】 http://www.kinonotabi-anime.com/
