秋アニメ②『いぬやしき』サイボーグの爺さんＶＳ若者の構図で人間の善悪を見事に描いている良作！

アニメ研究家リュードー的「アニ評論」

秋アニメ②『いぬやしき』　

 

【カテゴリー】
　アクション

　
【放送局】

　ＣＸ

　
【制作会社】
　MAPPA

 

【概要】

　大ヒットSFアクション「GANTZ」の作者・奥浩哉さんが「イブニング」で連載中のマンガをアニメ化した作品。冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎と、高校生・獅子神皓の2人を主人公に、「もしある日突然、強大な力を手に入れたら」というテーマを“善”と“悪”の両軸から描かれるヒューマンアクションストーリー。

 

【ストーリー】

　老年を迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は、会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、 ある日突然、医者からガンの宣告を受けて自暴自棄になる。 そんな時、とある事故をきっかけに彼はスーパーヒーローとなる大いなる力を手に入れる。一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、手に入れた力を己が思うがままに行使し始めていた。 人間の本質は善なのかそれとも悪なのか。強大な力を手に入れた2人がいま、それぞれの想いで動き出す。


【視聴評論】

≪ストーリー≫

・作品の世界観が新しすぎる！爺さんに見える中年男性がサイボーグ化されて困っている人を救うっていう、え？ギャグなの？それともマジなの？？っていうこのアンバランスさが。本当に何とも言えないこのつまんなさそうででも見たくなるような面白さ。

 

・設定が独創的すぎて他の作品には絶対ないような個性が素晴らしいと思う。特に、主人公が爺さんってところがなんか哀愁漂うし、世の中の不条理な中で生き抜く中で色々我慢して耐えながらもほんの少しの勇気をもって一歩踏み出すとか、サラリーマンのアニファンにはなんか勇気もらえると思う。

 

・ヒーローものの作品って最近本当に少なくなってきた中でここまでどぎつい個性だと目立つよねー。ワンパンマン的な基本ギャグみたいな設定も笑えるけど、リアル設定なんだけどサイボーグっていうこのアンバランス感でど真ん中の正義の味方って感じでもないのがねー。いやーーこれは見ないとこの感覚は分からないよね。

 

・犬屋敷役の小日向文世さんの何ともリアルな感じがいいね。声優っていうより役者の演技がちょっぴり絵に合わなかったり最初は違和感覚えるけど、でも本当の感情や言葉ってこんな感じなんだよなって思わさせるのがすごい。たしかに声優さんだと綺麗に言葉がはまったりするから違和感はないけど、それはそれでその場流れてしまうし。

 

・それにしても背中にロケットエンジンが噴射されて空飛ぶとか最高の設定でしょ！！頭が割れて中から脳みそのようなコアがでてきたり。設定の発想が斬新過ぎて面白い！

 

・人間の善悪を２人のキャラクターを通して極端に描き出しているけど、どうしても悪って分かりやすく描かれちゃうよね。人をすぐ殺したりするっていうのがちょっと極端すぎるけど、でもその行為自体を重く見ていない獅子神皓が自分の気分で行動してしまうところなんて、なんか今の日本社会にも通じるものがあってある意味怖いことだね。

 

・犬屋敷が少しずつ勇気を振り絞り、周りのことに興味をもって主体的に介入し始め、爺さんの頑張りを見ているとなんだか胸熱になってしまうけど、この先の展開で獅子神とどう対峙して、そして彼を善の方へ改心させるのかが見どころかね。

 

・それとそれぞれが最強のサイボーグになっているからどう戦っていくのかが面白さのポイントでもあるね。話数が進むと毎回新しい武器が登場していくから最後にはどんななっちゃうのか楽しみ。

 

・人の中に潜む善と悪を極端に表現している作品ではあるけど、でもこれをみて自分の行動の中でヒントになる所がたくさんあるとおもう。人に優しくするなんてそう簡単なことではないけど、ちょっとした勇気があれば・・・っていう気持ちを作品を通して感じ、実行に移すことができるアニメだと思う。

 

 

≪描写≫

・犬屋敷と獅子神はじめキャラクターのちょっぴりバランスの悪いというか３Ｄチックな描かれ方が最初はなれなかったけど、見ているうちになんだかこの個性がはまってくるんだよねー。

 

・舞台設定がかなり見たことある場面ばかり使われているようで、かなりリアル感を感じられるのが見ていて楽しいね。

 

・キャラクターの感情表現シーンでは、顔のシワや汗など細かい部分を使って表現してて見ごたえ十分。あー、こーやって人って冷や汗かくんだなーとかそのリアル感がとっても楽しめる。

 

・背景画がめっちゃ綺麗で戦闘シーンとかかなりリアリティあってそれに驚く！！これ３Ｄで見たら迫力あるんだろうなーって思う。

 

・キャラクターがコミック的な描かれ方をしてて原作を本当に大切に扱っているんだなってことがよくわかる。多少の動きの気持ち悪さはまぁ違和感感じるけど、でもこれも意図的なものだとすればさすが良く計算されているね。

 

 

≪音楽≫

・OPのＭAN WITH A MISSION「My Hero」は、ハードな曲でかっちょ良くてヒーロー感満載なのがいいね。でもヒーローが爺さんだからっていう落ちまでついて好き。

 

・戦闘シーンの効果音の派手すぎさは全くないけどでも銃で撃たれた時の音とかとにかくリアルな音の当て方がめっちゃ素晴らしい。

 

・ＢＧＭのうるささもあまり感じられず本当にバランスがいいねー。ストーリーに集中できる選曲はさすが♪

 

【ターゲット】　１０代～６０代（できれば４０代以上のサラリーマンに見てもらいたい）


【おススメ度】　★★★★★


【番組ＨＰ】　  http://www.inuyashiki-project.com/