アニメ研究家リュードー的「アニ評論」


冬アニメ⑧  『鬼平』 


【カテゴリー】
 時代劇


【放送局】
 TX


【制作会社】
 スタジオM2

 

【概要】

 累計発行部数2700万部を誇る池波正太郎さんの時代小説「鬼平犯科帳」シリーズが原作となった作品。江戸を舞台に、火付盗賊改方・長谷川平蔵が悪党たちを裁いていく姿を描き、幅広い層に人気を博している。これまで実写ドラマやマンガ化など幅広く展開してきた作品で、アニメ化は今回が初。プロデューサーは「時をかける少女」「サマーウォーズ」の丸山正雄さん、監督・キャラクターデザインは「BUZZER BEATER」「ルパン三世 GREEN vs RED」の宮繁之さん。

 

【ストーリー】

 時は江戸後期。暴虐の限りを尽くす盗賊たちが「鬼」と呼んで畏れる男「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方・長谷川平蔵。火付盗賊改方とは、一種の特別警察。江戸市中内外の犯罪を取り締まるだけでなく、他国に出て犯罪者を捕らえることもできる機動性の高い組織。しかし平蔵は職務に忠実なだけの固い男ではない。時として罪を犯した者にも情けをかけることがある。平蔵が許さないのは、非道。《盗人三箇条》殺さず、犯さず、盗まれたら潰れるような店からは盗まない。から外れ人の道に背く者には一切容赦はしない。

 


【視聴評論】
≪ストーリー≫

・平蔵を中心とした典型的な時代劇ストーリー。悪者がいて、それらを平蔵が捕まえるという超分かりやすい展開。このシンプルさがとにかく心地良い!難しいこと考えなくていいので。w

 

・時代劇をアニメにしたら?!っていう発想が全く無かった。落語心中もリアル歴史ものに近いストーリーや描写だけど、これはリアル時代劇をそのままアニメに描写を変えただけっていうある意味新しい世界。

 

・池波作品の鬼平犯科帳が原作だから、とにかく池波作品が好きな人は絶対に見たほうがいい!面白い。 それに時代劇をここまでアニメでリアルに再現しているものは最近見ないから絶対に一度は見たほうがいい作品だね。

 

・4話まで見終わったけど、平蔵の過去がニューキャラの登場とともに少しずつわかってきて、そして新しい仲間が増えていく。時代劇ものってある意味RPGなんだなーって思うね。www

 

・ストーリーがほぼ1話完結だから途中から見ても十分楽しめると思う!まぁオフィシャルHPであらすじが書かれているから、見ていない話数はそこで復習しておけばいいし。

 

・OPとEDまでとにかくリアル時代劇に拘った演出でかっこよすぎる。惚れる!!OPの始り方なんて、時代劇そのものだし。OPだけでもいいから見て!!!!!

 

・時代劇のかっこよさって、主人公のセリフや立ち振る舞いなんだけど、それをアニメで本当に再現しているところが興奮する!! 覚悟を決めた男気溢れるときの情感とちょっぴりリラックスしたユーモア溢れる情感とかの表現のバリエーションがこれまた最高なんだよ!!

 

・刀で戦うシーンなどは、他の作品でも斬ったり斬られたりする場面は影だったり血しぶきが飛び散るくらいだけど、これはリアルに斬ったり刀がぶつかり合う様子だったり、血が徐々ににじんでいく様子まで表現しているのが素晴らしすぎて興奮する。

 

・平蔵役に、大御所の堀内賢雄さんって。もうこれ以上のキャスティングは無いって言うぐらいドンピシャ!!あの太く頼もしい声、そして緩急の使い分け、柔和な声とかマジ震えるくらい。本当に素晴らしい♪

 

・最近のテンション高めなアニメが好きな人はちょっぴり物足りないかもしれない。AパートBパートともにじっくり楽しむような作品だから。でも、時にはワーキャーではない大人アニメを楽しんでみるのはいかが??

 

・セリフがとにかくかっちょいいんだよ。江戸言葉のちょっぴり荒い感じや女言葉の優しく包み込むようなセリフ。時代劇作品って本当に言葉まで美しくて、これぞJAPANカルチャーって感じに思える。

 

・時代劇専門チャンネルや文藝春秋が制作委員会に入っているっていうかなり異質だけど本格派な作品に仕上がっているのが特徴だね。

 

・個人的な今期のベスト5に入ってきちゃったね。鬼平恐るべし!!素晴らしき大人アニメ。

 

≪描写≫

・これはやられました。美しい!CGをかなり多用していてお金がかかっているのさ。夜のシーンや少し薄暗いシーンでは、漂う埃まで描き出していて、その場の空気感を見ている側が楽しめちゃうのって凄くない?!

 

・同じ時代の同じ景色を見ているんじゃないかっていうくらいの細かい表現が素晴らしい。光の差し方で人の陰影を変えたり、当然人や建物の影も時間によって細かく違いを出しているし。一番カッチョいいのは、埃や塵が光に当たってキラキラなるところまで描いているのは本当にビビる!!

 

・花吹雪などのシーンでも立体感がでるよう手前にも奥にも花びらが散る様子をCGで描き出していて、もうリアルの世界にしか見えない時あるしね。

 

・表情をことこまかに描き出しているのが最高。同じ顔とカットが殆ど見られない。気づいていないだけかもしれないけど。それだけ1シーン1シーンが楽しめる。熟成ウォッチングのし甲斐があるね。

 

・建物の描き方がハンパなくリアル。この再現って本当に素晴らしいと思う!!!町の全体像になったときに大体の作品では割と大雑把に建物を描いたりするんだけど、この作品ではどんなに広めなカットでも家の細部まで書き込まれていて本当に驚く。

 

・CGをフル活用していて、たくさんの町人にが歩くシーンも一人ひとりがリアルに動いているのがとってもかっちょいい。時折、あれ?ロボット的な動きしているのもあるけど。ww

 

・着物も色鮮やかで柄まで拘っているのが良く分かる。ちょっと面白いのが、着物を着ている人が動くと柄は動かないっていう。どーやって作っているんだろ、あれ。これは見た人じゃないとわかんないだろうなー。

 

・OPの描き方が迫力満点!!時代劇がはじまりましたーーー!!!っていうタイトルの出し方やテロップの出し方で、水戸黄門、暴れん坊将軍、大河ドラマ的な壮大な物語が始るような演出が最高。

 

≪音楽≫

・まさかのEDを由紀さおりさんが歌うとは!!これが本当に合う!ましてや作詞は荒木とよひさ大先生とは。凄すぎる!!

 

・OPとEDの音のカッチョ良さだけでもいいから見て欲しい♪もちろん本編の音も時代劇そのもの。ww ちょっぴり笑っちゃうくらい時代劇だから。

 

・無駄な音楽を省いているからセリフが入ってくる入ってくる。リアル時代劇の音のつけ方と一緒なんじゃない?!足音のザッザッザッって音まで精巧に再現されているし。

 

 

【ターゲット】 30代~70代(時代劇ファンは絶対見て) 

【おススメ度】 ★★★★★


【番組HP】 http://onihei-anime.com/