アニメ研究家リュードー的「アニ評論」


冬アニメ②  『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』 


【カテゴリー】
 歴史リアル


【放送局】
 TBS


【制作会社】
 スタジオディーン

 

【概要】

 マンガ「昭和元禄落語心中」をアニメ化。「昭和最後の名人」と称される孤高の落語家・有楽亭八雲と、彼の落語に惚れ込んで弟子入りした与太郎を軸に描かれる、噺家の素顔と業が見どころで、2016年1月からは「与太郎放浪篇」「八雲と助六篇」を基にしたTVアニメ第1期が放送された。 今期は、真打となり“助六”の名跡を継いだ与太郎の姿を描く第2期「助六再び篇」となり与太郎の生き様を描き出していく。

 

【ストーリー】

 刑務所の落語慰問会で見た大名人・八雲の「死神」が忘れられず、出所した与太郎が真っ先に向かった先は寄席だった。拝み倒して 八雲の住み込みの弟子となり、芸を磨いた与太郎はついに真打へと昇進する。継いだ名跡は三代目助六。八雲師匠の為め、小夏の為め、 二人の中の助六を変えるため、与太郎が見出す己の落語とは。


【視聴評論】

≪ストーリー≫
・待ちに待った昭和元禄落語心中の第2期。1期から落語をひたすら楽しめ、そしてそこに関わる噺家の生き様を描き出す今までにない独特なアニメ世界がとっても素晴らしい!無二の作品だと思う。

 

・アニメというよりこの作品は歴史ドラマを見ているような感じ。キャラクターもいつしかリアルな人に思えてくるような作画、声優、動き、背景など全てがリアル感満載でとっても面白い作品。

 

・大人アニメって個人的にジャンル分けしている中でもとにかく上質なストーリーと人の心の深い闇や葛藤などをリアルに表現をしている作品で、アニメを見ない人でも絶対に楽しめる作品なんだよね。アニメを超えたアニメ。

 

・落語が柱になっているために、とにかくセリフ量が今期もハンパなく多い!!それに語彙が多様すぎてとっても耳なじみがよい、というか飽きない。単純な言葉の羅列ではなく、言葉遊びをしているかのようなセリフがたくさんあって、「見る」というより「聞く」作品だと思うね。

 

・与太さんが真打昇進して助六を襲名するところから始るんだけど、1話のOPがまさに高座を見つめる観客のような視点ですっと寄席の世界に自分が入ってしまっていくところが本当に本当に素晴らしい演出だと思う!!!!自然と正座して見ちゃうし。ww 

 

・1期を見ていない人も1話のOPを見ただけで簡単に今までのストーリーや背景を振りかえることができて分かりやすい導入になっているのがさすが♪ 落語ならではのテンポ感が頭から終わりまでずっとたのしめて、AパートBパートがそれぞれあっという間に終わっちゃう。あーーー、早く次ぎを聞きたい!!見たい!!!っていう気持ちになる。

 

・この落語心中は落語を通じて言葉遊びや古典芸能の面白さを知るところもあると思うけど、何より個人的に好きなのは、落語を通してそれぞれの苦しみや悩み、葛藤、幸せ、怒りなどを伏線として表現し、それを克服や乗り越えていき成長していく人間ドラマっていうところがとってもいいよね。

 

・芸は一日にして成らず。まさにその通りで、与太さんが四苦八苦しながらも自分の芸を見つけるっていうストーリー展開が、芸能関係の人だけでなくて人生みな同じような経験や体験をして学んでいることなんだけど、それがなかなか上手くいかないって言う教訓を教えられているのがほんとに心をギュっと掴まれるポイントなんだよね。

 

・これから話数が進んで、与太さんがどんな人間に成長していくのか、そしてそれを見ている自分も何を作品から感じてどう行動していくのか、そういう見方で楽しめる良作だと思う。絶対に大人の人には見てもらいたいね。笑ったりできるような爆笑アニメではないけど、どことなく心落ち着く作品だと思う。最後まで期待してみていきたい!

 

≪描写≫

・2期も相変わらず事細かな描写でとってもリアリティがあるのが本当に素晴らしい!アニメというよりリアルドラマを見ているようなしなやかな動きや背景。今回も見て200%楽しめる。

 

・この作品の面白さは、落語のシーンがたくさんある中でどうカットを変えて飽きさせないかっていうところ。高座に座って与太さんが落語するシーンで、もちろん正面からの1Sや背後からの客席を見ているカットなど分かりやすいものは基本としてある中で、額に浮かぶ汗、指の動き、扇子を持つ手、正座している脚が話の緩急によって浮き上がる様子、顔を真下から見上げたカットとか本当に噺家さんの心を映し出すようなカットの使い方が最高♪ いやーー、これは凄すぎる。

 

・向き合って2人が話すシーンでは普通横から2人をみたカットを使うけど、増したから鼻の穴が見え、天井の照明がまる映りのような見上げたカットがあって、二人の距離感や息遣い、なぜこんな近いのかがストーリーと相まって余計に臨場感が増す。こーゆー考え練られたシーンを表現できるのが本当に素晴らしい。

 

・昭和の時代背景をしっかりと描くために、建物、着物、背景、色使いなど全てが考えられていて、60代以上の人は本当に当時の様子かと思えるくらいの懐かしい景色が絵かがれていると思う。

 

・表情の多彩な表現が一番驚く。アニメで描写が大変なのは表情で、目、鼻、口、耳が微妙に動くことで登場人物の気持ちの変化を読み取る事ができて、ここまで細かく描くには相当な時間と手間がかかるから余計に作品に愛を持ってみる事ができるね。

 

≪音楽≫

・かっこよすぎる!!今期も椎名林檎さんが作曲したなんとも和風でダークな印象を持つ曲がOPから登場して作品の世界観を十二分に表現しているんだよね。ここでもう期待が高まる!

 

・作中は無駄なBGMが省かれて、とにかく言葉をしっかりと聴く事ができるような演出になっているのがさすが!!って思う。良く計算されているよねー。音の差し引き。これも落語特有だし、無音の素を作るのも他の作品ではあまりやらないしね。落語の世界を本当に再現しているのが素晴らしいと思う。

 

 

【ターゲット】 30代~70代(大人に見てもらいたい) 

【おススメ度】 ★★★★★


【番組HP】 http://rakugo-shinju-anime.jp/