今回の映画パンフレットは「きみの色」。「けいおん」や「聲の形」などで評価されている山田尚子監督の最新作です。なのですが、有名なその両方を自分は未鑑賞です。あらら。
ミッションスクールの寮生・日暮トツ子（鈴川紗由）は人が色で見えてしまう性質を持っていた。そんなトツ子が気になってる同級生が作永きみ（高石あかり）。きれいな青色をしていた。そんなきみが突如学校に来なくなる。「町の本屋で見かけた」という噂をつてにトツ子はきみを古本屋「しろねこ堂」で見つけ出す。きみはひとりでギターを弾いていた。さらにその古本屋で出会った少年・影平ルイ（木戸大聖、緑色）とひょんなことから三人でバンドを組むことになって、という話。
ああ、とてもやさしいお話です。悪い人が出てこない。それを不自然に感じさせることもなく、ストーリーは進みます。それは、トツ子のキャラクター設定も活きているような気がします。どこか天然で、のほほんとした性格。主人公のキャラクターとしては、物語を力技で進めていくのに適していますよね。初対面のルイに対して「バンド組みませんか？」とか言えちゃうのも、引っ込み思案の主人公ならありえない展開でしょう。「すいきんちかもくどってんアーメン！」って歌いながら廊下で踊っちゃうトツ子を優しく見つめるシスター日吉子（新垣結衣、黄色）もいいですね。
高校生がバンドを組むって話になると、クライマックスは定番の学園祭での演奏ってことになるのだけど、その圧巻の演奏シーンの後、周りの人々の色を感じ続けてきたトツ子が学校の中庭で踊るシーンが素敵です。さらにはそれに続くラストもなかなか感動的です。
いろいろと破綻している部分もあるのだけど、それを補って余りある後味を残してくれました。山田監督、ありがとうございます。