今年観た映画のパンフレット。今回は「悪は存在しない」。「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督の新作映画です。

 

 自然豊かな長野県の水挽町で便利屋として暮らす巧(大美賀均)とその娘の花(西川玲)。蕎麦屋のために水を汲み、薪を割り、自然の中で生活している。そんな水挽町にグランピング施設の建設計画が持ち上がる。計画したのは芸能事務所「プレイモード」。その説明会が開催される。社員・高橋(元タレントのマネージャ、小坂竜士)と薫(渋谷菜郁)が説明に立つが、杜撰な計画、曖昧な説明に住民からの反発が集まる。この計画は、コロナ禍で経営に行き詰まったプレイモードが、政府の補助金目当てに企画したものだった、という話。

 

 プレイモードの社長とグランピング設備のコンサルタントがゴリ押ししているのに対し、森の環境や水源の汚染の可能性など問題が山積みなグランピング建設について、企画者側の高橋と薫も疑問を抱えつつあった。説明会の後、再度水挽町に向かう高橋と薫のやりとりがリアルで、高橋の薪割りのシーンなんかもそれっぽくて良いです。

 

 終盤での緊張感がマックスになる中の幕引き。それまでの流れがあるから、突然突き放された感じで「えっ?」っとなったのは私だけでしょうか? 正直、私にとってこのエンディングは残念なものに感じられました。