最近観た映画パンフレット。今回は「ゴールドボーイ」。平成ガメラ3部作を手がけた金子修介監督の最新作。原作は中国のベストセラー小説で、中国で連続ドラマにもなっているらしい。その話を日本の沖縄に舞台を移して映画化している。大企業一家の婿養子を演じる岡田将生と、その婿養子を恐喝する少年たちの首謀者を演じる羽村仁成がそれぞれ素晴らしい演技を見せています。

 

 暴力な義父を刺して逃げ出した少女・上間夏月(星乃あんな)と彼女を助けようとする義理の兄・上町浩(前出燿志)は、かつてご近所だった幼馴染の少年安室朝陽(羽村仁成)を訪ねる。朝陽は同級生の少女が自殺してすぐの夏休みを過ごしていた。シングルマザーの母親・香(黒木華)が仕事でいない間三人は朝陽の家で夜を越したのだけど、翌朝安室家の外壁に赤いペンキで「安室朝陽、人殺し」といった悪戯書きをされてしまう。朝陽は二人を外出させた後で警察に通報し、その知らせを受けた父・打越一平(北村一輝)が駆けつける。一平によると、悪戯書きは一平の再婚相手で自殺した少女の母である遥(花澄)によるものらしい。遥は、娘は自殺したのではなく朝陽に殺されたと思い込んでいるとのことだったーー、といった感じで話は始まる。

 

 で、朝陽は父からもらった小遣いを使って浩・夏月と三人で母の勤めるリゾートホテルに向かい、その途中の海辺で記念写真を撮影しようとしたところそれが動画になっていて、再生して見てみると遠くの崖から人が落ちるのが映っていた。さらにその前を確認すると、男が二人の人を突き落としているのを見つけてしまう。そして三人は、この動画で男(岡田将生)を強請ろうと考える、という話。

 

 いやあ、意外な展開がいくつもあって、最後まで息つく間もなく観入ってしまいました。ほぼ新人の朝陽役の羽村仁成が素晴らしい演技を見せてくれる。岡田将生のサイコパスな役も見どころなのだけど、それにも増して朝陽の冷たくて何か先のことを考えている視線とかが決まっていましたね。夏休みの間の話なのだけど、朝陽と夏月の関係性が深まっていく様子などの描写もあり、グッときちゃうなあ。これはなかなかの傑作なのではないでしょうか。

 

 最後に。やはりシルバーよりゴールドの方が上なんだな、と感じました。