「愛のメモリー」で二役を演じたジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドだけど、「どこかで観た顔だなあ」と思って調べてみたら、フィリップ・ド・ブロカ監督の「まぼろしの市街戦」でヒロインを演じていた女優さんでした。「愛のメモリー」が1976年で「まぼろしの市街戦」は1966年の作品。ということで、最近CSで放送され録画してあった「まぼろしの市街戦」を鑑賞です。

 第一次世界大戦下のフランスが舞台。イギリス軍に追撃され劣勢となったドイツ軍は、占領していたフランスの田舎町から撤退する際に町中に時限爆弾を仕掛ける。町の人々も町から消え、残されたのは精神病院の患者たちのみ。そこに、フランス語ができるという理由だけでイギリス軍の通信兵(伝書鳩係)プランピック二等兵(アラン・ベイツ)が時限爆弾を解除するように命令を受けて単身で潜入してくる。プランピックは、残っていたドイツ兵と鉢合わせし精神病院に逃げ込む。そこにはトランプ遊びに興じる患者たちが。患者に名前を聞かれ適当に「ハートのキング」と答えたプランピックは、患者たちに「王様」として迎え入れられて、という話。

 ドイツ兵が去った後、精神病院の患者たちは自由に町に繰り出し、床屋や神父、軍人、娼館のマダムなどになりきって、勝手気ままに活動を始める。そんな中プランピックの戴冠式が行われ、娼館の少女コクリコ(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)が王妃に選ばれる。時限爆弾の解除ができず焦るプランピックだったが、なかなか爆弾は見つからず、と話は進む。

 あらすじを書いていても、何がなんだかわからないかもだけど、シュールなストーリーと終盤の予想外の展開、さらに、ラストの小気味よさからか、一部のファンの間でカルト的な支持を得ている作品です。ジャン・ポール・ベルモンドのコメディ・アクション「~の男」シリーズが有名なフィリップ・ド・ブロカ監督だけど、「代表作を一つ」と聞かれれば自分は本作を推しますね。