(久々の更新になってしまった。でも、これは前の投稿を受けた格好にして書いていたので、そのまま書き続ける。)

 この流れでいったら次は「ファール・プレイ」になりますね。コリン・ヒギンズの初監督作品。ハードディスクに録画してあったものを鑑賞です。

 キリスト教会の偉い人(サンフランシスコ大司教、ユージーン・ローチ)が暗殺され、レコードから音楽(オペレッタ「ミカド」!)が流れるシーンから始まる。で場面は変わってパーティのシーンへ。図書館で働くグロリア(ゴールディ・ホーン)は、ちょっとイケメンのトニー(チェビー・チェイス)に目が行くが、そこから進展することもなく自分の運転するクルマで帰路に着く。その途中でヒッチハイカーの男スコット(ブルース・ソロモン)を拾って映画館で待ち合わせの約束をする。スコットはタバコの箱にフィルムを忍ばせてグロリアに託す。待ち合わせの映画館、映画の上映が始まりスコットが現れるが、「小人に気をつけろ」という言葉を残して殺されてしまう。でも、グロリアが悲鳴をあげて騒いでいる間に死体は消えてしまい、と話が展開する。そんなこんなでグロリアに危険が迫り、そんな彼女を助けるべく事件の捜査に当たる刑事がトニーというのは都合が良すぎるが、映画なのでまあそんなもの。グロリアの身に危険が降りかかるのをトニーが助けているうちに二人は惹かれ合っていく、という話。

 サスペンスとロマンス、さらにはそれにコメディ要素が加わり、相乗効果で映画を面白くしている。チェビー・チェイスという微妙な二枚目コメディアンとキュートな魅力ですでに人気のあったゴールディ・ホーンの組み合わせは絶妙。コメディ要素では、聖書のセールスマンのエピソードやタクシーに乗車していた日本人老夫妻のエピソードももちろんよいのだけど、なんといってもダドリー・ムーア演じるスタンレーというキャラクターが重要なポイントとなっている。ダドリー・ムーアは(多分この映画で注目され)本作以降、「テン」や「ミスター・アーサー」、「殺したいほど愛されて」などの作品で主役を演じることになる。

 タクシーの老夫妻やオペラ「ミカド」で見え隠れする日本を小馬鹿にしているところもそんなに気にならない(愛あるいじりっている感じです)。コリン・ヒギンズ監督の見事な処女作です。

 最後に余談を。路線としてはサスペンス・コメディに分類できると思われるのだけど、タイトルバックで流れるバニー・マニロウの「READY TO TAKE A CHANCE AGAIN」がメロウな曲調で印象的です。で、本当か嘘かわからないけど、宮崎駿監督作「ルパン三世 カリオストロの城」のタイトルバックに流れる「炎のたからもの」に影響を与えたという話もあるとかないとか。