昔観た映画を久しぶりに観ると当時の記憶が呼び起こされて、続けて関連のある映画を観たくなる。で、再びサブスクでその映画を探すのだが、見当たらないケースもままある。そんな場合はまずハードディスクに録画していないかどうかをチェックするわけだが、それでも見つからないときはネットで DVD or Blu-ray が売っていないか探すことになる。そうして探して購入し、鑑賞したうちの1本が「大陸横断超特急」ってわけです。「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」で脚本を書いたコリン・ヒギンズが次に脚本を手掛けたのがこの作品。1976年のアメリカ映画です。

 ロサンゼルスからシカゴへの出張を飛行機ではなく大陸横断超特急「シルバー・ストリーク」に乗ることにしたジョージ(ジーン・ワイルダー)。偶然隣の部屋の美人の乗客ヒリー(ジル・クレイバーグ)と仲良くなってベッドでいちゃついていると、走る列車の窓の外に男の死体が落ちていくのを見てしまう。翌朝、ヒリーからの本を見てその著作者であるシュライナー教授(ステファン・ギラーシュ、ヒリーが秘書を務めるボス)こそ、昨夜の殺された男だと知ったジョージ。彼がシュライナー教授の部屋に行くと見知らぬ男がいて列車から放り出されてしまって、という話。

 この流れで面白いのが、列車から放り出されたジョージが再び列車に戻るという構成。舞台が列車の中だけに限定されるわけではないので、それを利用してさまざまなアイデアが盛り込まれている。特に、保安官のパトカーにたまたま乗っていたスリのグローヴァーことリチャード・プライヤーとジョージことジーン・ワイルダーの名(迷?)コンビの誕生は観る価値ありです。カルト的なテレビシリーズ「プリズナーNo.6」の主人公を演じたパトリック・マクグーハンが悪役のデブローを演じているのも興味深い。

 ユーモラスなシーンを重ねつつサスペンスを盛り上げる脚本は、コリン・ヒギンズが初監督を務める次作「ファール・プレイ」と比べてみると面白いと思いましたとさ。