薬効と副作用(つづき)

 

 それから三か月後の五月七日に受診したところ、主治医から「新たな薬が出たが、どうしますか?」と尋ねられた。説明を聞いていたところ、何とこの病気の原因である免疫作用に働きかけるものだというではないか。これは元々私が望んでいた薬であり、二つ返事でこの提案を受け入れた。

 

 これまでの薬も開発されてそれほど経っていなかったためか廉価なジェネリック薬はなかったためにかなり高価な薬品だったが、ソーティクツというこの新薬は開発されたばかりであり、薬価は一層高いようだ。

 

この病院の受診時には何時も診察の前に採血があり、この日も同じように採血されていたが、新薬に合わせて生検の項目が増えたためか受診後に再度採血されることになり、更に胸部のCT検査が行われることになった。

 

改めて受付前の待合席で待機したあと、この日二度目の採決を受け、更にCT検査を受けた。血液検査は服薬による内臓への影響を調べているのだろうと思っていたが、主治医の説明では心臓の血管などの状況を調べる必要があるようだった。

 

正直なところ、新たな薬が免疫に作用するために全く不安がないわけではなかったが、これだけ慎重に検査して監視してくれるので、任せるしかないと思った。

 

 前回の受診の帰りに新たな我が家からのルートが見つかっていたので、この日はいつもより早く病院に着くことができて受診の時刻も早かったが、病院を出るのは何時もより遅くなった。帰途、処方箋薬局に寄って処方箋を預け、翌日のかかりつけ医の受診時に一緒に薬を出してもらうことにした。

 

 主治医から貰った新薬の説明書によると、この薬の効果が出るには二八週間ほどかかるとあった。案の定、新薬の服用と引き換えに従来の薬を服用しなくなったことで体の至る所に症状が現れ、乾癬の症状は瞬く間に悪化していったが、これは覚悟の上だ。

 

特に手の症状が酷く皮膚がめくれてくるので困ったが、服薬から七週目が過ぎた今日あたりには症状がかなり落ち着いてきた感じがしている。また、先述のような排便の問題は一遍に改善された。

 

むしろ便が固くなったために便秘にならないかと気をもんだほどだったが、これも一昨日あたりから比較的スムーズになっており、この状況が続いて欲しいと願っている。

 

ただ、この新薬が免疫に作用して症状を抑えるということだが、そのメカニズムが詳しく分からないために一抹の不安を覚える。かつて周りの家族が軒並みインフルエンザに感染した折には私だけが平気だったが、これは免疫力が強かったからかもしれないと密かに思っている。

 

しかし、今回の新薬の服用でそれがどのように変化していくのだろうか。そもそもこの乾癬という症状は、免疫が何の問題もない皮膚を攻撃するために生じているものであると理解しており、新薬が免疫力を抑えるだけの作用であるならば感染症などに対する抵抗力が低下するのではないかという危惧があるのだ。

 

 兎にも角にも、薬によってある症状が抑えられるが、それによって新たに副作用という問題が生じるわけだ。これまでの治療でも、どの症状を優先させるかという選択になるのではないかということを考えたりしていたが、この新たな選択によって今後どのような展開になっていくのだろう。

 

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