実るほど首を垂れる稲穂かな

 

 五月場所の取り組みは昨十七日から中盤戦に入った。私は取組の一部を垣間見る程度で序盤戦を殆ど観ることができなかったため、NHKのネット配信で観たりしていたが、これも先場所迄と異なって見づらくなった感じがする。昨日の六日目の取り組みは、しっかりと観ることができた。

 

 元大関高安は新進小結大の里を圧倒するなど初日・二日目の相撲を観ていると、今場所かなり期待できそうに思っていた。ところが、懸念していた腰痛に見舞われて三日目から休場したことが悔やまれる。腰痛は突如発生するので始末が悪いが、根本的な治療には手術しかないのだろうか。

 

先日も述べたように、最近ではどの場所も波乱含みの展開が続いているように思われ、六日目が終わった時点で今場所の主役がかなり絞られた感じだ。

 

 この時点では、四枚目宇良が六戦全勝と目覚ましい。七枚目御嶽海と対戦し、その前進力を低い姿勢で防いでいたが、最後は体を開いて上手出し投げで仕留めている。彼は何時も取組中に相手の動きを考えながら相撲を取っているように見受けられる。

 

 その御嶽海は、今場所は立ち合いから前によく攻めており、大関に昇進した頃の勢いを感じていた。宇良には敗れたが、まだまだこれから本来の相撲を見せて欲しい。ただ、これも彼の性格なのかもしれないが、いささか不遜な態度が見受けられ、これが多少気になるところだ。

 

 強烈な突き押し相撲で長い間関脇の座を守っていた大栄翔は、先場所不覚を取って前頭筆頭に番付を落としている。今場所は初日に注目の大関琴桜を破るなど、ここまで五勝一敗とかなり元気なようだ。押し相撲は調子相撲とも聞いたことがあるが、本来の相撲で土俵を沸かせてほしい。

 

 恵まれた体格を活かせない相撲内容に、もっと勉強して欲しいと思っていた十枚目湘南の海が、今場所はかなり充実しているようだ。ただ、幕内でも下位の番付だけに、一層の精進を期待される。

 

 入幕した時点から注目していたが、何と言っても出色の力士は新小結大の里だろう。今場所、恵まれた体力を活かした前へ前へと攻める相撲に磨きがかかっている感じがする。

 

六日目には前二場所続けて敗れていた大関琴桜と対戦し、立ち合いから前に攻め、土俵際では右膝を使って体を寄せながら寄り切ったが、この相撲には進化の後が感じられた。前二場所のようながむしゃらに前に攻める取り口が影を潜めており、場所前から出稽古で研鑽してきた成果が活かされているようだ。

 

今場所の相撲を観ていると、今後協会の看板力士になっていくことが予測されるが、老舗報道社のネット記事では親方の指導姿勢や大の里の若手力士への飲酒問題に絡むいじめなどを問題視する否定的な内容が報じられていたことが気になる。

 

標題に掲げたように、今後地位が上がれば上がるほど一層謙虚な姿勢を心掛け、他の力士の見本となって欲しい。あの抜群の成績を残しながら多くの問題を呈していた横綱だった力士のようになるようであれば、応援したくともそれができなくなり、大相撲への興味も薄れてしまいそうだ。

 

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