原因を踏まえた治療法

 

 定年退職してからニ、三年後だったから既に三〇年近く前のことになるが、下脚の皮膚に少し炎症が生じていた。市販の皮膚炎の薬を塗っても全く症状に変化が現れなかった。

 

その頃嘱託勤務していた職場の近くの皮膚科医院を受診したところ、医師(女医)は

「これは人に移る病気ではないんですが・・・」

と言っていたが、その病名や原因については何の説明もなかった。

 

そこにしばらく通っていたあるとき、私の両手の甲に浮き出た血管を目にした医師は、

「これは血管瘤じゃないですかね」

と言った。若い頃から太い静脈血管が浮き出ていたので、この医師は大丈夫なのかという疑念が生じてそれからは他の医院で受診することにした。

 

 その後、どの皮膚科医でも皮膚の症状について明確な説明はなく、塗布剤を処方されるだけだった。五、六年前に受診した近くの病院の皮膚科を受診した時、初めて「乾癬」という病名が明示され、感染による病気ではないが根本的な治療法はないということが分かったが、つまり内因性なのだ。

 

歳月の経過とともに皮膚の症状は酷くなっていくばかりで、足から手に広がり、一時は体のほぼ全体が真っ赤になることもあった。数年前から今通院している専門医(女医)に出会うことができ、新薬「オテズラ」が処方されるようになって症状がかなり改善された。

 

あるとき私のブログに医師の方がアクセスされていたので乾癬について尋ねてみたところ、彼は専門医ではなかったが「免疫が原因のようだ」と教えてくれた。どうやら免疫が暴走して正常な皮膚を攻撃するため、皮膚に炎症が生じるのだと分かった。

 

 その後もずっと今の主治医を受診しており、症状は一時のような酷い状態ではないが一進一退といったところだ。彼女は加古川市北部に在る県立病院を定年退職して明石市でそのご主人が経営する病院で皮膚科を開くことになり、我が家からは三十数㌔の道程を一時間余りかけて通院している。

 

去る八日(水)に受診したところ、新薬を紹介され、どうするか私の判断を求められた。これまでのオテズラという治療薬がどのように作用をしていたのか分からなかったが、何と言っても腸の調子が狂うことが難点だった。

 

今回紹介された新薬「ソーティクツ」という錠剤は、免疫に作用する薬だ。私は「ようやくそこに作用する薬ができたか」と思った。

 

 ただ、免疫を押さえることになると、その薬の作用次第では免疫を弱めることにもなりかねないため、この服用による影響をかなり綿密に観察していく必要がありそうだ。下手をすると免疫を抑え過ぎて他の病気に感染しかねないという恐れがある。

 

従って、この新薬の服用では根本的な治療に繋がるのではないかという大きな期待とともに、免疫抑制によってこれまでかからなかった感染症に罹患するのではないかという不安も感じている。

 

この日は既に何時もの採血が行われていたが、この新薬を服用することが決まったことによって、再度採血の追加と胸部・腹部のCT撮影も行われた。さらにこれまで三か月(二一週)ごとだった通院が、次は一月(四週)後の通院になった。果たして、これからどうなるだろうか。

 

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