高齢者講習2

 

 自動車運転免許更新の高齢者講習について、その受講に向けての経緯などは前回述べたが、ここではその受講の実際と感じたことを述べたい。

 

 教習所に着くと男性スタッフが入り口前で待ち受けており、受付へ案内されてこの日の案内葉書や免許証を提出し、受講料を納めて受講者が揃うのをしばらく待ったが、この時先着していた一人の男性は窓際のテーブルに認知機能検査の対策ブックを広げて準備に余念がないようだった。

 

やがてこの日受講者六名が揃って、中年の男性指導員二人に案内されて別室へと移動し、先ず認知機能検査だ。冊子が配られて氏名などを記入した後、正面のモニターに十六枚の絵が示され、一つ一つの絵について説明された後、冊子をめくり、ランダムに並んだ数の二つについて車線を入れるよう指示された。

 

一旦その作業を中止すると、今度は三つの数字について同じ作業を行った。これは何れも時間内に全て終えたが、評価の対象ではないようだ。次に支持を受けてページをめくると回答欄があり、先ほど表示されていた絵の名称を書き入れていった。

 

これも一旦中止して手ページをめくり、今度は同じ絵についてジャンルごとのヒントが示されており、それに適合する名称を記入していった。事前の準備が功を奏して何とか全て記入することができた。所によっては点数を教えてくれるようだが、ここではそれが無かったので全部正解だったかどうかは分からない。

 

 この後、指導員は講習が始まる前にロビーで対策ブックを広げていた人に向かって、「そういった事前の準備をすると、その中のどれが正解か分からなくなるので、しない方がいい」といった主旨の話をしたが、それも一理あると思っう一方、私自身は事前に準備していたので慌てることなく解答できたように思う。

 続いて二種類の冊子を基に、二人の指導員による講義が行われた。この中で特に印象に残ったことを述べると、先ずは人身事故は近年著しく減少しているが、その中でも高齢者による交通事故の割合が高いと強調されていたことだ。

ただ、我が国では高齢化が著しく進行しており、2022年政府統計によると六五歳以上の人口は三千六百二七万人と約三割を占めており、このことを考えると高齢者の事故比率が突出していると断言できないように思われ、むしろ二十代以下の若年層の方が高いのかもしれない。だからと言って高齢者の事故比率が低いわけでもない。

 

私自身、若い頃よりも今の方がはるかに慎重な運転を心掛けている。若者の場合には経験値の乏しさや無謀な運転が事故に繋がる可能性が高いと思われるが、高齢者は加齢による身体の機能低下が事故に繋がる傾向があり、この現実をしっかり受け止める必要があることは言うまでもない。

 また、道路標識などについて十分に理解していないことを気づかされた。路面上に表示されたひし形のマーク(ダイヤマーク)については、その意味を認識していなかった。これは信号の無い所で横断歩道があることを示すもので、ここで横断しようとする歩行者があれば必ず止まらなければならないのだ。

 

もっとも普段から横断者には気を付けているつもりだが、この種の横断歩道で横断者があるにもかかわらず停止しなければ交通違反に問われてしまうことをしっかり認識する必要があり、他にもたくさんある標識の意味を勉強しなければと改めて思ったところだ。

 

この他、実際の運転上の問題点を挙げて指導されたが、今一度このことも再確認をする必要がありそうだ。

 その後、静止視力や動体視力、夜間視力、視野角の測定が行われた。動体視力の測定では視力検査でよく見かける円形の一部に欠けた部分があるマークが出てくるので、その欠けた部分が明確に見えた所でボタンを押すように指示されたと認識してこの検査に臨んだ。

 

実際には、そのマークが見え始めて欠けた部分が明確になるまで少し時間があったが、これでよかったのだろうか。

 視野角の検査では、左右に移動する白いマークが見えなくなった時点と見え始めた時点でボタンを押した。ところが、左に見えていたマークが完全に見えなくなる少し前に押してしまったので、これが見えなくなった時点で押していればもう少し評価値が良かったのかもしれない。

 

 最後は実車による技能検査だ。一般的な運転における様々な問題点を挙げて指導された後、二台の車に分かれて一人ずつ呼び出されて車に乗った。交差点で右に折れた時、「内回りしてますよ」という指摘を受けた。日頃から特に交差点でのハンドル操作には気をつけているつもりだが、この日は少し勝手が違ったようだ。

 

段差での発進と停止は、今回初めて経験したが、これは段差に乗り上げた瞬間ブレーキを踏むことができたのでとても上手くいったと思っているが、これはアクセルとブレーキの踏み間違いや操作能力を検査するためのものだ。最後に、指導員からは、「とても丁寧に運転できています」と言われて、実車よる検査が済んだ。

 

 最後に全員が無事合格点をもらってこの日の講習を終えたが、改めて慎重な運転を意識してハンドルを握りたいと思っている。

 

 読んでいただき、ありがとうございます。