2023/8/31投稿



無事に20歳の誕生日を迎えたので、書類を持って免許証交付の手続きに来た。自動車学校を卒業してから、1ヶ月以内に手続きをしないと行けなかったが、誕生日の前に手続きをすると1年早く有効期限が来てしまうので、今回は頭を使ってそうした。

「正木さん、いらっしゃいますか?」

窓口の方に呼ばれた。元々新聞配達の為に3度も受験した原付免許を持っていたので、免許証が初めてというわけではないが、不備が無いことを確認し、新しい免許証を受け取った。

原付、普通、自動二輪にマークが付いている。非常に感無量、無料大好きである。(*^^*)


免許証も手に入れたので、ミルクカンパニーの美原さんに電話をかけた。担当の小野さんが電話に出て、すぐ美原さんに繋いでくれた。

「美原さん、免許証やっと手に入れました。いよいよバイクを買いたいと思いますが、今週の土曜日とかどうですか?」

「土曜日昼2時からなら大丈夫ですよ。」

「一応、その時にお金を持ってこようと思いますが大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。一応フルフェイスヘルメットと使い古しだけどバイク用の手袋もあげるよ。でも、ガソリンが半分くらいしか入ってないよ。」

「大丈夫です、ありがとうございます。一応、バスで天神まで来て、帰りは乗って佐賀まで帰ろうと思います。」

「了解しました。気をつけて来てね。」

テレホンカード1枚で足りたから良かった。いろいろ出費も増えるからバイトも探さないといけないな……。


さっそく土曜日、学校が終わってすぐに佐賀から高速バスで天神に向かった。ミルクカンパニーの受付で美原さんを呼び出すと、すぐに出てきてくれた。

「ばっちり時間通りやね。」

「昨日から興奮して寝れませんでしたから。」

「一応バイクはこれで、こちらがヘルメットと手袋。1回被ってみて。」

フルフェイスヘルメットがアライと書いてある。いいやつみたいだが、めっちゃ小さい。

「ちょっと小さいかもわからんけど、ツーリングするなら少し小さいくらいがいいよ。」

「そんなもんなんですね。エンジンかけていいですか?」

「どうぞ!!」

セルをかけるとキュルキュルとすぐにエンジンは掛かった。

「美原さん、何から何までありがとうございます。では12万円お確かめ下さい。」

「ちゃんとあります。何か気になることがあったら連絡ちょうだいね。」

「ありがとうございます。それでは行きますね。」


さっそくガソリンを入れにスタンドに寄った。ガソリンは鍵で開けるタイプみたいで、さっそく満タンで補充。23リットル入って3000円いかないくらいだが、原付バイクと比べたら割高感があった。

天神を出発し、福岡タワーやマリゾンとか近辺を散策した。今度、この近くには福岡ドームにシーホークというホテルが出来るらしい。来年の開幕は福岡ドームで野球が見れると思うとワクワクしてきた。


「でっかいろうそくやなあ〜」

田舎者まるだしである。今まで行きたい所があっても、どう歩いていくかとか交通手段を考えないと行けなかったが、バイクがあると行動範囲は間違いなく広がる。

新聞配達のバイクで、大分の別府や山口県の秋吉台、太宰府天満宮や海の中道なんかも見て回った経験があるからとても楽しみだ。


「おっ、あんちゃん。かっこいいバイク乗ってるね。」

「ありがとうございます。おじさんのバイクもかっこいいですよ。」

「そうか?」 


「普段は車ばかりだから、なかなかバイクに成れなくてな。昔はバリバリやったんやけど、免許とって1年未満の時に、友達に無料券があるからラーメン食べに行こうって、佐賀県の大町って場所にある『食道楽』にあともうちょいで着くって距離で、警察に捕まってな。高いラーメン🍜になったわ。」

「そうなんですね。おじさん、佐賀詳しいですね。」

「そりゃそうや。昔住んどったからな。あんちゃんは何処に行きよると?」

「一応、佐賀の三瀬峠を超えて佐賀に帰ろうと思ってます。」

「ほんまか。おっちゃん、佐賀には行かんけど、途中まで方向一緒やから、一緒に走ろか?」

「いいんですか?まだ今日始めてのツーリングなんで、めっちゃ不安です。」

「わかるわかる。ちなみにあんちゃんは関西出身ね。なんかイントネーションが関西やんね。」

「わかります?生まれは神戸なんです。実家は加古川の方で……。」

「まじか。わしは生まれは大阪や。18歳まで大阪やった。その後は九州を転々としとる。」


「じゃあ、あんちゃん。そろそろいこうかの」

僕たちは、国道263号線を通って三瀬峠を目指した。

おじさんは常に後ろの僕を気がけながら、走ってくれた。そして時々……


真顔でピース。いい人だとはわかるが、ちょっと1人になりたいような・・・。

そんなこんなで三瀬峠も無事に超え、佐賀と神埼に道が別れる場所に来ました。

「正木くんだったね。おじさん、ここから左に曲るから、後は安全運転で帰るんだよ。」

「ありがとうございます。助かりました。おじさんも気をつけて下さいね。」

「それじゃあ、最後におじさんからプレゼント。栄養ドリンクだよ!!」


『デカビタちい』ってなんだろう。そんなおじさんからもらった栄養ドリンクを飲んで、無事に佐賀に帰り着きました。

そして、佐賀短大は秋の文化祭『あすなろ祭』に向けて準備が始まりました。……続く


『感想』
ちょっと小説っぽく未来のあきひろが、30年前のあきひろとツーリングで出会うみたいなファンタジー風に書き上げてみました。ちょっとしたドラマ"不適切にもほどがある"っぽく感じました。自画自賛!!(^^)ρ(^^)ノ