2022/12/31投稿
いよいよ1年生最初の前期試験が始まった。1科目が1日4個〜5個、取っている単位の授業に寄って数は人それぞれ。出来るだけ沢山の資格を取りたいのと、西九州大学編入の夢の為に、沢山の授業を受けて単位を取らないといけない僕は、5日間で24回試験を受けなければいけなかった。試験の前にあがいて勉強をする性格を、いつもテスト前に後悔する。
試験担当の先生から、試験に関する注意事項の説明があった。
「試験時間は60分です。45分経過したら回答用紙を提出して試験会場を出ることが出来ますが、それ以外の退出は基本出来ませんのでお手洗いはそれまでに済ませて下さい。携帯電話の持ち込みは禁止です。必ず電源を切るかマナーモードにして下さい。机の上は筆記用具のみでお願い致します。」
続いて、試験問題の配布や細かな説明があった。
「今から試験問題を配りますが、見て良いと言うまでは開けないように。前の方が後ろに上から配って下さい。」
いつものダチョウ倶楽部ではないが『ワキアイアイ(*^^*)』なんて笑える雰囲気ではなく、緊張感が漂ってきた。
「今配った試験問題は『解剖生理学A』と書かれてるか確認して、違ったらお知らせ下さい。」
「大丈夫みたいですね。それではもうすぐ時計で9時5分ですから、始めの合図で回答を始めて下さい。9時50分から早く終わって出る方は手を上げて、回答用紙を提出して構いません。」
前の黒板に大きく『9時5分』と書かれた。
試験も4日目、明日で終わりだが流石にお疲れモード。学校のコミュニティーセンターで池ちゃんとコーヒーを飲んでいた。
「正木くん、試験どう?」
「いやぁ、難しいね。でも律っちゃんから借りたノートから問題出てて、だいぶ助かってるよ。」
「いやぁ、俺もなべっちから借りたノートでだいぶ助かってる。今度ノート借りたお礼に、美味しいフレンチトーストのお店にでも誘おうかと思うけど、正木ちゃんもどう?」
「お金出すし、全然いいよ。今度のクリスマス献血の会合の時でも言って見る?」
池ちゃんとそんな話をしていたら、なべっちと律っちゃんがちょうどコミュニティーセンター出た辺りでばったり鉢合わせ。うちらに気づいて声をかけてくれた。
「あら、お二人さん。試験は順調?」
なべっちの問いかけに池ちゃんがすぐ反応。
「なべっちのノートでめっちゃ助かってるよ。」
「俺も律っちゃんの解剖生理学のノートから3つも試験問題が出てて、ほんとに助かってるよ。」
そういう俺に律っちゃんが嬉しそうに、
「良かった、お役に立てて。大事な後輩が単位落としたら大変だからね。」
「でも、歳は一緒やん。」
「じゃあ、誕生日はいつ?」
「俺は10月10日。」
「私は9月生まれだから、私の方がお姉さん!」
「確かに……律子姉さんと呼ばせて貰います。」
池ちゃんの提案で、試験が終わったあとフレンチトーストが美味しい喫茶店に、池ちゃん、なべっち、律っちゃん、私の4人でフレンチトーストを食べに行くことになった。なべっちと律っちゃんは自転車で、池ちゃんと僕は車でお店に向かった。
場所は献血センター近くの喫茶店で、あすなろ寮に帰るのも近いからいいよってことだった。
「これが池野くんがいうフレンチトーストね」
「そうそう、パンも手作りですべて無添加。こんな風にクリームをつけて食べるもよし、メイプルシロップかけるもよし。でも、最初の一口は何も付けずにほのかな甘みを楽しんでほしいなあ〜。」
池ちゃんの長〜いうんちくに、他の3人もまた始まったっと思った。池ちゃん調理師免許持ってるから、食に対するこだわりが凄い。餃子が美味しいからと佐世保までわざわざ食べにいくくらいで、そんな池ちゃんは嫌いではなかった。
「私、メイプルシロップかけよーと」
と、律子姉さんがメイプルシロップをかけた。
「俺はメイプルシロップにクリームホイップも付けて、贅沢、贅沢するぜ〜」
確かに池ちゃんが勧めるだけあって、ふわふわで美味しいフレンチトーストだ。
なべっちがフレンチトーストを食べながら、彼氏の愚痴を言い出した。俺も池ちゃんも、
「へぇ、そうなんだ。」
「そりゃ彼氏が良くないよね?」
と相槌を打っていたが、なべっちを狙っていた池ちゃんの顔に元気がないのに俺だけ気づいていた。池ちゃん、可哀想に……失恋💔
1時間くらいダブルデート?を楽しんで、なべっちと律っちゃんを見送った。池ちゃんの車で下宿島村まで帰る帰り道、
「なべっち彼氏がいたんだ……」
「そう……みたいだね。」
車の中は急にお通夜になった。また池ちゃんなら新しい可愛い子を見つけるでしょう。無事に試験も終えて、来週から試験結果が出る。50点以下の赤点なら再試験。そんな試験結果を受けて、すみれ荘で親友が学校を辞めるかも?という事件が起きました。……続く
『感想』
ダブルデートではなく、ただ池ちゃんに連れていかれただけでしたが、高校時代の初デートとも呼べないようなグダグダデートと比較するように、女性とはこんな感じで付き合えばいいのかと想像しちゃいました。そういえば、夏フェスに女の子と行ってたなあ~。誰かさん・・・(´Д`)