2020/5/28投稿



わが佐賀短期短大も夏休みに入りました。過ごし方は様々、実家に帰る人もいれば、バイトに勤しむ人、そしてバイトがうまく見つけられず僕のような暇人は、クラブ活動に勤しむのでした。夏の日差しは暑いが、『夏の体育大会』という目標があったので、それなりに力の入ったクラブ活動であった。


テニスサークルは女子の部と男子の部で登録だが、男子は3人しかいないので、中川・新山ペアだけの参加だった。女子はダブルス2試合、シングル1試合の3セットマッチに参加した。女子はダブルスに2年生の滝口さん・桃沢さんペア、1年生の大家さん、山形さんペア、シングルにキャプテンの澤さんが出場する事に決まった。試合は高木瀬にあるテニスコートで行われた。西九大や佐賀大、佐賀医大、佐賀女子短大、九州龍谷短期大学からも参加してあり、かなりハイレベルの大会だ。


女子の第1試合が朝10時から、男子の試合は11時30分からだったので、男子も含む全員女子の試合の応援に集まった。最初はダブルス、相手は佐賀大のペアと滝口さん・桃沢さんペアの対決だ。

「2人とも落ち着いてな。」

顧問の富久先生から激励が飛ぶ。2人とも緊張の色は隠せない。

「大丈夫、大丈夫、1本づつ大事に頑張るきゃないべ」

男子キャプテン、新山さんが声をかける。新山さん・中川くんも軽くウォーミングアップをして戻ってきたようだ。

「じゃあ、行ってきます。」

の掛け声で2人ともコートに入った。軽くラリーを互いのペアと終えた後、互いに向き合い握手。ジャンケンでサーブ権を取るか陣地を取るかを決める。幸先よくジャンケンに勝ち、サーブ権を取った。陣地は相手が風上を選択、前衛が滝口さん、後衛を桃沢さんで試合は始まった。


ファーストサーブはネット、セカンドサーブから2回ラリーをかわし、前衛の反対側に落とされて最初のポイントを落とす。

「フィフティーラブ!」

惜しい場面もあったが、練習量と体力の差は歴然で第1セットを6-1で落とす。

「桃ちゃん、どんまい。」
「さゆりちゃん(滝口さん)もガンバ!」

2人に声を掛けたが、憔悴しきっていた。相手は体力もあり、相手を走らせて体力を消耗させるスキルも持ち合わせていた。顔もなかなか…いや僕は桃ちゃん一筋だ。


日陰でしばしの休憩をとる2人、桃ちゃんはずいぶん足に疲労が溜まっているのか、足を叩いたり伸ばしている。前衛に比べ後衛は走る距離も長くちょっと辛い。

「桃ちゃん、大丈夫?」

「ちょっと左足のふくらはぎが張ってるけど、大丈夫!」

足にコールドスプレーをかけてあげた。

「正木くん、ありがとね(*´ω`*)」

見ているものは、それくらいしかする事が出来ない。一生懸命頑張る彼女がやっぱり好きだ。でも、彼氏がいる彼女に気持ちを伝えることは出来ない。せめて彼女のプレーを目に焼き付け、力いっぱい応援しようと決めた。


2セット目が始まった。風下スタートでサーブは相手からだ。

『バシッ!』

相手の強烈なサービスエースが決まる。2人とも懸命に走ったが、1セットも取れず6-0のストレート負け。最後はセンターコートに集まり握手で試合を終える。まだ、シングル戦を挟んで2試合残っている。次は女子部キャプテン、澤先輩の登場だ。滝口・桃澤ペアとハイタッチをかわし、二人の想いを胸に試合に対う澤ちゃんは、いつになくかっこよかった。いつも男前なんだけどね。


「残念だったにゃあ!」

新山さんが2人に声を掛ける。

「うちらもそろそろ試合に言ってくるばい。」

そう言って、新山、中川ペアは男子の試合会場に行った。もう11時も過ぎ、日も高く30度を超す炎天下。果たして結果はいかに……続く



『感想』
プレイバックブログ450投稿を記念して、小説第3章の21話〜30話を振り返りたいと思います。佐賀短期大学時代のエピソードをふんだんに使わせて頂いていますが、桃ちゃんに対する片想いを秘めながら、ソフトテニス頑張ったなあ〜って改めて思い返した回でした。