遺言書の作成のご相談が増えています。

自筆証書遺言の作成支援をしてほしいというのも多いのですが、きっとTVの影響などが大きいのだろうと思っています。

終活ブームによってワイドショーなどでも遺言や相続のことが話題になることが多くって、そこに出ている弁護士さんなどは、現場感覚とはかけ離れていて、『思ったことを何でもいいから書いておきましょう』的なお話をしています。

法律論ではそうかもしれないですが、実際遺言書を行使しようとしたときに現場ではナンセンス極まりないアドバイスにしかなりません。

ということで、私は必ず公正証書遺言を勧め遺言執行者を指定することをお手伝いの前提としています。

プロとして自筆遺言書にかかわることはありえないと・・・。

話は変わって先日奥様の相続手続きをお手伝いしている途中で、そのご主人が緊急で入院し余命宣告を受けるという案件がありました。

実は奥様の相続手続きが終わったら公正証書の遺言書を作る約束をしていたのですがその矢先の入院、余命宣告となりました。

病床に呼ばれ遺言の作成を依頼されましたが、公正証書遺言を作成するには時間的に余裕がないことから、危急時遺言の作成と並行して公正証書遺言作成の準備を進めました。

結果として公正証書までは間に合わず、しかし危急時遺言の作成はすることが出来ました。

危急時遺言の作成は周囲の方に聞いても経験された方は少なく不安もありましたが、周到な準備とお世話になっている弁護士の木下先生のアドバイスおよび証人としての立会いのもと実現できました。

確認の審判、検認を経て遺言執行の段階に来ましたが、手続き先も見たことのない遺言書の形式に戸惑い気味。

まさかこんなにも危急時遺言の説明をすることになろうとは思いませんでしたが、何とか法的な説明をしながらスムーズに手続きを進めることができています。

普段から葬儀後の手続きに特化して業務をやってきた経験の積み重ねは伊達ではないと自負しつつ最後までしっかりと故人の遺志を実現したいと思っています。

(死亡の危急に迫った者の遺言)
第九百七十六条  疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
2  口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
3  第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
4  前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
5  家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。