「香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島上陸に対する声明」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島上陸に対する声明」

秘書です。
本日、自民党政務調査会外交部会と領土に関する特命委員会は、合同会議におけるメンバーの諸発言を受けて、昨日の香港民間団体による尖閣諸島上陸について、下記の声明を発表いたしました。

なお、合同会議で話題になったことについて、数点。


①海保の船は漁船からレンガを投げつけられていた(これは公務執行妨害にあたらないのか?)

②上陸されてしまったことの背景に、海保の船はけが人が出ない範囲での阻止行動を行っていたという背景があるようだ(海保独自の判断とのことだが政治的指示はなかったのか?)

③下記の声明の「三」にある出入国管理及び難民認定法第65条は以下のように定めています。


出入国管理及び難民認定法第65条
 司法警察員は、第七十条の罪に係る被疑者を逮捕し、若しくは受け取り、又はこれらの罪に係る現行犯人を受け取つた場合には、収容令書が発付され、且つ、その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三条 (同法第二百十一条 及び第二百十六条 の規定により準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、書類及び証拠物とともに、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができる。

2  前項の場合には、被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に、当該被疑者を引き渡す手続をしなければならない。

これが強制退去の法的な根拠となります。まず、この条項は「その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り」とあります。これを「公務執行妨害がない限り」と読み替えると、①レンガを投げたことは公務執行妨害にならないのか、②最初から65条で強制退去させるために公務執行妨害が発生しないように「けが人が出ないよう」にしたのではないか。そうだとするとその政治判断は誰がしたのか、という点に疑問がでてきて、そもそも立法の趣旨として、他の罪がなくても国益を損ねる場合には65条の適応対象外となる、という点が重要です。

強制退去の判断は、逮捕から48時間以内に行われることになりますから、明日の夕方までということになります。

合同会議に出席していたある専門家は、確保した漁船にどれだけの燃料を積んでいたか、片道だけとすると逮捕されることが前提だったとの興味ある指摘しています。

ビデオは絶対に公開いたしましょう。

なお、本事案の担当大臣である国土交通大臣(海保の責任者)も警察の担当大臣も昨日午後は登庁していなかったとのこと。

これだけ重要な事案ですが、衆議院予算委員会も外交委員会も開かれず。自民党からの要請は、首相は党3役以外は受け付けませんと・・・


香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島上陸に対する声明

平成24年8月16日
自由民主党政務調査会
外交部会
領土に関する特命委員会

昨日、香港の民間団体である「保釣行動委員会」の船がわが国領海に侵入し、乗組員の一部が、尖閣諸島の魚釣島に上陸した。
今回の上陸に関しては事前に予告があり、政府としても対応方針を決めていたはずであるにも関わらず、みすみす上陸させることとなった。これらに対する一連の政府の対応は、わが国の国家主権も守れない愚行と言わざるを得ない。
民主党政権となって以降、メドヴェージェフ大統領の北方領土上陸、李明博大統領の竹島上陸が相次いで行われ、一昨年の中国漁船衝突事案では、「那覇地検の判断」との名目で船長を釈放してしまい、わが国の外交及び危機管理において歴史上の汚点を残してしまった。現政権の外交施策は国益を損ない続けている。今回の事案も、民主党政権の国家観の欠如、外交の基本姿勢の欠如が招いたものであるといわざるを得ない。
わが党は、日本の国家主権を断固として守るために、以下の項目の実行を政府に強く求める。


一、 政府は事実関係を明らかにするため、撮影したビデオを早急に公開すること。

二、 香港民間団体の不法入国および不法上陸その他の国内法違反に対し、法に則り厳正に対処すること。また、中国に対し、断固たる抗議を行うとともに再発防止を強く求めること。

三、 被疑者が他に罪を犯した嫌疑があると判断した場合には、出入国管理及び難民認定法第65条を適用することなく刑事手続きを進めること。

四、 当該事案を審議するため、予算委員会、外務委員会等を早急に開催すること。

五、 尖閣諸島及びその海域の警備態勢・方針を早急に見直すとともに、必要な法制度の整備、関係機関との連携、装備・人員の手当て等の体制強化を急ぐこと。また、南西諸島防衛を強化する施策を実行すること。

六、 施設の整備などを通じた尖閣諸島の有人化と海の有効活用を図ること。また、島及び海域の安定的な維持管理を強化するために尖閣諸島の国有化に向けた取り組みを早急に進めること。

七、 尖閣諸島は歴史的にも国際法的にもわが国固有の領土であり、そもそも領土問題は存在しないという明確な事実を国際社会に示す外交努力を行うこと。






※ビデオ公開について

2001年12月22日に九州南西海域で発生した不審船事件については12月22日から24日にかけて、長官の指示により映像を抜粋・編集する形で6本の「広報ビデオ」を作成し、記者クラブ幹事社を通じて各報道機関に提供されました。海上保安庁はのちに情報公開・個人情報保護審査会に次のように説明しました。

「海上保安庁では、その主な活動の場が、海上という国民の耳目に触れ難い場所であることから、積極的な広報により、国民の理解と協力を得て海上保安業務を遂行するよう努めている。特に、事件、事故等に係る広報にあっては、捜査上の支障の有無をも考慮しながら、再発防止や防犯効果も期待して行っているところである。このため、広報の実施に当たっては、広報文を配布するほか、より効果的であると考えられる場合には、ビデオ等の映像提供も積極的に実施しているところである」(情報公開・個人情報保護審査会が「広報ビデオ作成に関する事務処理関連文書の不開示決定(不存在)に関する件」について2005年2月14日に出した答申書(平成17年度(行情)答申第543号))


(「海上保安庁、事件証拠ビデオ公開の前例、「国民への説明」と比較衡量」
2010年11月10日

http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2010111000012.html