02年の日銀議事録から | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

02年の日銀議事録から

秘書です。
下記の記事は、2002年9月末の内閣改造で竹中金融相が誕生して不良債権処理を断行する前の話。竹中金融相のもとで不良債権処理をした後、ようやく、政府・日銀の態勢が整ったといえるのでしょう。
2006年と2007年に日銀はフォワードルッキングで金融を引き締めるのではなく、緩和を持続したいなら、もっと構造改革を徹底せよ、と政府に再度要求すべきだったのではないか?

そして、下記の議事録からわかるのは、政府が本気でデフレ克服を日銀に求めれば、できる、ということですね。

さらに、効果に半信半疑の人は選んではいけない。


追加緩和に空しさ、02年日銀議事録に委員らの戸惑い
2012年 07月 31日 10:41 JST

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE86U01920120731?sp=true

[東京 31日 ロイター] 日銀は31日、2002年1─6月の金融政策決定会合の議事録を公表した。不良債権問題を背景に物価下落と景気悪化が進む中、01年3月に踏み出した量的緩和政策の効果に半信半疑な委員らの戸惑いが透けて見える。

日銀の速水優総裁は小泉純一郎首相に対し不良債権の抜本処理を求め直談判に出たが不発に終わり、政府からはあけすけな緩和要請が公言され日銀内では強い反発が広がる。政策手詰まり感が強まるなか日銀事務方は同年9月の銀行保有株買い取りという奇策を打ち出すこととなっていく。

<前年末の追加緩和「概ね空振り」と植田委員>

2002年は4月のペイオフ解禁を控え巨額の不良債権にあえぐ日本の金融システムをめぐる緊張感が高まっていく。委員の間では不良債権の抜本処理が進まなければ金融緩和の効果は十分に表れないと政策効果への懐疑的な様子がうかがえる。

1月15─16日の会合では前年12月に当座預金残高目標を6兆円超から10─15兆円に引き上げた追加緩和の効果について植田和男委員が「残念ながら、概ね空振りに終わっているというのはやや言い過ぎかもしれないが、そういう感じもある」と述べている。

速水総裁は1月15─16日の会合で「政府及び民間における構造改革への取り組み、新しい需要の創出、そういったものが着実に進められることを強く期待している」と強調、政府に対して公的資金注入による不良債権の抜本処理を強く求めている。

<財務相など政府の緩和要求、「非常に不愉快」─須田委員>

議事録では直接触れられていないが、速水総裁は2月19日、小泉首相に対して、政府が期待をかける追加金融緩和だけでは経済再生の効果に限界があるとして、公的資金による金融機関への資本再注入を直談判したが、不発に終わる。一方、塩川正十郎財務相は2月28日の会合を控え、定例会見で相次いで日銀に国債買い切り増額を要求。報道も相まって追加緩和が既成事実化されていったことに委員らが強く反発する。

2月28日の会合では三木利夫委員が、政府の要望が「あたかも通るかのようにマスコミにああいう形で連日のように出されるということは、誠にいかがなものか」と憤慨。須田美矢子委員も「非常に不愉快」としている。速水総裁は政府側出席者に対して「意見はあくまで決定会合の場でうかがう」、「ルールを厳守して頂くように重ねて申し上げたい」とクギを刺している。

<「日銀だけペダル踏んでいる空しい感じ」─植田委員>

結局、日銀は2月28日の会合で、財務相の要請や報道内容に沿って国債買入額の月8000億円から1兆円への増額という追加緩和を決める。中原真委員が「2000億円程度の買い増しであれば、はっきり言って毒にも薬にもならないと言う意味では、まあいいやということになる」と投げやり気味な発言を残している。

3月19─20日の会合でも植田委員が「不良債権問題について政府サイドから抜本的な対策が打たれていない。日銀だけ頑張ってみても、ペダルと車輪の間が繋がっていない自転車でペダルを一生懸命踏んでいるような空しい感じが残らざるを得ない」と率直な心境を吐露している。

<外交で為替調整できないならデフレ甘受を─須田委員>

3月19─20日の会合では須田委員が竹中平蔵経済財政担当相に対して、「デフレは甘受しないということであれば、為替の調整はどうしても必要。きちっと外交でやって欲しい」と要求。竹中担当相は「外交で為替レートは変わらない」と反論するが、須田委員が「できないのであれば、デフレはある程度甘受しなければいけない」と言い切っている。

<市場機能低下、「日銀がブローカーに」─福間委員>

4月以降は生産・輸出など外需を中心に景気の下げ止まりが鮮明となり、金融システム不安も後退するが、当座預金残高は15兆円程度の高水準を維持し続ける。

6月11─12日の会合で須田委員は「事実上のゼロ金利のもとで、短期金融市場の機能がかなり低下した」と懸念。福間年勝委員は、「日銀がブローカーになったのではないか」と指摘している。 ===2002年上半期の日銀をめぐる主な出来事1月EUユーロ現金流通ダイエーグループ、経営再建計画公表2月政府、総合デフレ対策日銀、長期国債買い切りオペ増額(月8000億円→同1兆円)3月三木利夫、中原伸之両審議委員退任4月ペイオフ定期性預金解禁春英彦、福間年勝両審議委員就任5月6月カナナスキス・サミット開催===金融政策決定会合メンバー:

速水優総裁:日銀入行、理事などを経て、日商岩井取締役会長。経済同友会代表幹事を務めた後、総裁

藤原作弥副総裁:時事通信社記者、解説委員長を経て副総裁

山口泰副総裁:日銀入行、調査統計局長、企画局長、理事を経て副総裁

三木利夫審議委員:八幡製鉄(現新日本製鉄)入社、副社長、日鉄商事会長を経て審議委員

中原伸之審議委員:東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)入社、社長、名誉会長を審議委員

植田和男審議委員:東大教授を経て審議委員

田谷禎三審議委員:国際通貨基金エコノミスト、大和証券入社、大和総研ヨーロッパ社長、大和総研常務理事を経て審議委員

須田美矢子審議委員:専修大学教授、学習院大学教授を経て審議委員

中原眞審議委員:東京銀行入行(現三菱UFJフィナンシャルグループ)常務取締役、三菱銀行との合併に伴い常務取締役、専務取締役、副頭取を経て審議委員

春英彦審議委員:東京電力入社、常務、副社長を経て審議委員

福間年勝審議委員:三井物産入社、代表取締役常務、専務、副社長を経て審議委員