米緩和観測の円高圧力→投機筋の思惑?普通の予測? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

米緩和観測の円高圧力→投機筋の思惑?普通の予測?

秘書です。
米緩和観測の円高圧力というのは、投機筋の思惑なんでしょうか。普通の予測なのでしょうか。


ガソリン下落でも低迷の米消費、米緩和観測で円高圧力も
2012年 07月 17日 15:47 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86G04K20120717?sp=true

[東京 17日 ロイター] ガソリン価格の下落に押し上げられるはずの米消費が予想に反して伸びず、マーケットには懸念が広がっている。欧州経済の減速が一段と深刻さを増すなか、米企業が人員採用を抑制し、不安を感じた米国の消費者が財布のひもを締め始めている可能性がある。

米国株は金融緩和観測に下支えされているが、円高圧力につながるため日本株にとっては圧迫要因だ。

<米小売売上高、リーマン時以来の3カ月連続減少>

米ガソリン価格は4月上旬の1ガロン当たり3.9ドル台から、直近では約3.4ドルに下落している。車社会の米国ではガソリン価格の動向が消費に大きな影響を与えるため、6月の米小売売上高の下支え要因になると期待されていた。しかし16日に発表された数値は前月比0.5%減とアナリスト予想の0.2%増を下回り、予想外のマイナスとなった。

米商務省が毎月発表する米小売売上高は、サービスや住宅が含まれないため個人消費全体の4割程度にすぎないほか、速報の振れも大きく季節調整の歪みが影響している可能性もあるため、「どこまで米経済の姿を正確に表しているかは不明」(外資系証券エコノミスト)だ。しかし3カ月連続の減少は、6カ月連続で減少したリーマンショック時の2008年7月から12月以来。マーケットでは米消費への懸念が強まっている。「低迷する雇用などを背景に消費者が財布のひもを締め始めている可能性がある」(野村証券シニアストラテジストの村山誠氏)という。

実際、米雇用統計では非農業部門雇用者数は伸び悩み、失業率も8.2%で高止まりしている。全米企業エコノミスト協会(NABE)の6月調査によると、今後6カ月間で人員を増やすと回答した企業は3月下旬─4月初旬時点の39%から23%に低下。欧州債務危機で販売が落ち込んでいると回答する企業が増えており、採用計画を縮小する動きが強まっている。雇用関連のデータは遅行指標であるが、所得や消費の先行きを示唆するため、消費マインドに影響しやすい。

欧州問題だけでなく、米国には減税失効や歳出の自動削減開始が重なる来年1月の「財政の崖」という問題も待ち受けている。年末商戦が始まる感謝祭までに問題解決の先行きが見通せなければ、米企業は雇用や設備投資計画にさらに保守的になり、一段の景気減速を招く可能性があると、市場は徐々に懸念を強めている。米消費の落ち込みは、世界経済全体に影響を与えかねない。

<米緩和観測、日本株には功罪両方>

米経済減速の懸念の強まりは、FRB(米連邦準備理事会)の追加緩和観測につながり、米株を下支えるが、ドル/円の圧迫材料でもあるため、日本株にとっては全面的なプラス要因とはなりにくい。17日前場の東京株式市場では、安住淳財務相の「口先介入」でやや円安に振れたことをきっかけに、先物などに買い戻しが入ったが、円高懸念が強く、ハイテクなど輸出株は軟調だ。ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)は7日続落し、6月4日に付けた年初来安値990円を更新。ロイターデータ(株式分割考慮後)によると、1984年以降の最安値となっている。

米金融政策とドル/円の見通しについて、野村証券・金融市場調査部チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は、介入警戒感があるなかで、現時点ではドルが77円を割り込むような円高はないとしながらも「ゼロ金利を約束する時間軸を再延長することが、最も円高につながりやすい政策だとみている。なぜならQE3を実施した場合には、リスク・ラリーが誘発され、米金利低下に由来する円高圧力を一部相殺する効果が期待されるが、時間軸の再延長ではそうした効果が期待できないからだ」と指摘している。

市場では17─18日に行われるバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長の議会報告が注目されている。

<先行き回復予想はかろうじて崩れず>

ただ、米経済の先行き見通しが完全に暗転したわけではない。JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)やシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)など米金融機関の4─6月期決算は、警戒感があっただけに、ほぼ市場予想通りでも株価はポジティブに反応している。

ガソリン価格の下落は6月の米小売売上高には効かなかったが、米消費者の財布の「余裕」を膨らませているのは確かだ。インフレが落ち着いていることで金融緩和もやりやすくなっている。短期金利はゼロ%付近まで低下し、これ以上の追加的な金融緩和が景気に与える影響は小さくなってきているが、低水準の金利は依然として米自動車や住宅市場の追い風だ。

国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表し、米国の成長率見通しは2012年は2.0%、2013年は2.3%とそれぞれ0.1%ポイント下方修正したが、先行きの回復予想はかろうじて維持されている。世界経済予想も12年がプラス3.5%、13年がプラス3.9%と伸びは加速するとの予想だ。

市場では「マーケットは実体経済よりも過度に悲観しているようだ。今年後半の世界景気を見極めるためには、今しばらく米雇用や消費などの行方を見守る必要がある」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)との冷静な声も出ている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博)