デフレの基本的な原因に関する日銀の考え方=日銀の政策が原因ではない=しばらくはデフレ脱却無理 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

デフレの基本的な原因に関する日銀の考え方=日銀の政策が原因ではない=しばらくはデフレ脱却無理

秘書です。

増税法案の審議の中、自民党の菅原一秀議員が、白川日銀総裁に「デフレ下の増税」についての見解を求めましたが、白川総裁は答弁を拒否。これはひどい。きっと、デフレ下で増税をすれば大変なことが分かってるのでしょう。

一体日本はいつデフレから脱却するのか?



2 0 1 2 年6 月4 日
日本銀行
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 内外情勢調査会における講演 ──
日本銀行総裁 白川 方明
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120604a1.pdf

もちろん、私どもとしても、「中長期的な物価安定の目途」で示した消費者
物価前年比1%という姿ができるだけ早く実現されることを願っています。
しかし、わが国のデフレには根強い構造的な要因も働いていることや、金融
政策の波及効果には長いラグがあることも念頭に置く必要があります
。その
ような状況の中で、例えば、長期国債の月間買入額は、現状でも大変に大き
な金額ですが、そういう中で、最適なスピードを超えてアグレッシブな買入
れを行っていくと、一時的に長期金利は下がったとしても、国債市場が中央
銀行に過度に依存した市場になる結果、今度は何らかのきっかけで反転上昇
することも起こり得ます。そうなると、金融機関経営にも大きな影
響を与えることになり、結果的には、金融システムの安定、ひいては経済の
安定自体を損なってしまうことになります。

→総裁は、しばらくはデフレ脱却は無理ですよ、といっている?こんな中で増税してどうなるんでしょうか?

白川総裁は、デフレは貨幣的な現象、と認めていませんね。人口と関係があるって。



(1)人口と物価上昇率

人口動態の変化とマクロ経済パフォーマンス
―日本の経験から―
日本銀行金融研究所主催2012年国際コンファランス
における開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 白川 方明
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120530a1.pdf

物価上昇率

人口動態とマクロ経済のパフォーマンスとの関係で、次に取り上げる論点は
デフレとの関係です。人口動態とデフレと言うと、一瞬、その論理的な関係が
理解しにくいかもしれませんが、先進国のデータを横断的にみると、興味深い
ことが分かります。すなわち、2000 年代の10 年間について先進24 ヶ国の人口
増加率とインフレ率を比較すると、両者の間に正の相関が観察されるようにな
っています4(図表14)。この事実は、マネーの増加率とインフレ率の相関が先
進国で近年弱まってきていることと対照的です5(図表15)。この関係をどのよ
うに解釈すべきでしょうか。
人口変動とインフレ率の相関に関しては、両者が景気循環を起点として共変
動している側面を反映している部分があります。例えば、欧米では、景気の変
動が需給ギャップを変動させてインフレ率を変動させると同時に、移民の流出
入によって人口の増加率が変化するよう作用した側面があります。しかし、日
本のように、移民の流出入が人口変動に及ぼす影響は無視できる国では、景気
変動が人口変動をもたらした度合いは小さいと考えられます。その日本につい
てみると、1990 年代以降、インフレ率と人口変動率の間に正の相関関係が観察
されるようになっています(図表16)。これには、高齢化に伴う経済の所得形成
力の低下も影響してきたと考えられます。
日本の経済成長率については、バブル崩壊や急速な高齢化、生産性の伸び悩
みなどを背景に、総人口一人当たりの実質GDP の成長率が1980 年代の約4%
から近年は約1%まで大きく低下しています(図表17)。こうした趨勢的な成長
率の低下は、今後さらに高齢化が進むと予想される人口動態のもとで、人々
中長期的な成長期待を低下させ、家計の恒常所得を下押する可能性があります。
潜在成長率の低下自体は供給力の伸び悩みであり、恒常所得の低下に伴う需要
減少は供給減少と対をなす現象であることから、その限りで物価に対しては中
立的です。しかし、先ほども触れたように、人口動態の問題は当初はあまり意
識されず、ある段階から強く意識されるようになりました。その段階で、将来
起こる成長率の低下を先取りする形で、需要が減少し、物価が下落する一因と
なりました6。
この間、米欧先進国では、金融危機の影響から、総人口一人当たりの実質GDP
の成長率が日本とほぼ同じレベルまで低下しています(図表17)。他方、バラン
スシート調整が長引く中、今後、米欧でも、高齢化と生産年齢人口成長率の低
下が進んでいきます。そうした人口動態の変化が、経済の所得形成力を弱めて
いけば、各国でインフレ率の低下圧力が強まっていく可能性も考えられます。

→以下が高橋洋一さんの作成の図。

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少子高齢化はデフレの原因?ところが、この白川講演を最後まで読むと以下のようにも書いています。

しかし、悲観論
や運命論は不適当です。例えば、少子高齢化は日本経済にとって大きな逆風
ですが、少子高齢化自体が低成長やデフレをもたらしている訳ではありませ
。少子高齢化という構造変化への対応が遅れたこと、さらには、同時に進
行したグローバル化という大きな構造変化への対応が遅れていることが、低
成長、ひいてはデフレの基本的な原因です3。そのような認識に立てば、必要
な取り組みは必ず始まると思います。

→少子高齢化自体が低成長やデフレをもたらしている訳ではありません?対応の遅れと?改革の遅れがデフレの原因!

2 0 1 2 年6 月4 日
日本銀行
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 内外情勢調査会における講演 ──
日本銀行総裁 白川 方明
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120604a1.pdf

→物価上昇はどのように起きるのか?


成長力引き上げとデフレ脱却との関係
ところで、今申し上げた成長力引き上げ、あるいは実質GDP成長率引き
上げの努力と、名目GDPの引き上げ、ないし、デフレからの脱却との関係
はどのように考えれば良いでしょうか。私はデフレからの脱却のためにも、
成長力引き上げの努力を通じて需要を作り出すことが大事であることを強調
したいと思います。というのも、景気が良くなり需給ギャップが改善してか
ら物価が上昇するというのが過去の経験則だからです。もちろん、物価が景
気と関係なく上昇するケースはない訳ではありません
。それは原油等の輸入
コストが上昇し、そのコスト転嫁から、物価が上昇するケースがそれに当た
ります。しかし、我々はそうした状況を待ち望んでいる訳ではありません。
その意味で、成長期待を高めることが鍵を握ります。

→物価が景気と関係なくあがるのは輸入コスト増だけですか?ちがいますね。この部分の前に総裁は以下のように述べている。

結局、国民が持ちたいと思っている銀行券の量の限界を超
えて中央銀行が国債を購入すると、インフレが起こるか、あるいは、そうし
た事態を予想して長期金利が先行的に上昇し、景気にも金融システムにも悪
影響が及ぶことになります。

→中央銀行はインフレを起こすことができる!つまり、物価上昇は貨幣供給によっておこすことができるのでしょう。

→下記をみると、デフレの基本的な原因は少子高齢化という構造変化への対応が遅れたこととグローバル化という大きな構造変化の遅れなんだそうです。貨幣供給の問題ではない、と。


デフレ脱却に向けた意思

それでは、どうすれば日本の成長力強化に向けた取り組みが可能になるの
でしょうか。私は、日本全体が力を合わせれば、成長力の強化という課題達
成は十分可能だと思っています。この面では、私は以下の2つのことが出発
点になると思っています。
第1は、日本が直面している問題を我々自身が正確に認識することです。
現在はまだ高い所得水準を維持していますが、このまま対応策を講じないと、
現在の水準が維持可能ではなくなるということです。日本経済の根本的な問
題は成長力の低下であり、デフレはそのひとつの表れです。しかし、悲観論
や運命論は不適当です。例えば、少子高齢化は日本経済にとって大きな逆風
ですが、少子高齢化自体が低成長やデフレをもたらしている訳ではありませ
ん。少子高齢化という構造変化への対応が遅れたこと、さらには、同時に進
行したグローバル化という大きな構造変化への対応が遅れていることが、低
成長、ひいてはデフレの基本的な原因です
3。そのような認識に立てば、必要
な取り組みは必ず始まると思います。・・・

企業、金融機関、政府の果たす役割や、国民の合意というこ
とを申し上げましたが、日本銀行も全力を挙げて、デフレから脱却し、物価
安定のもとでの持続的成長経路に復帰するという課題達成に取り組みます。

→デフレの基本的な原因は日銀の政策の結果にあらず、ですね。