ユーロ危機の本質=ユーロという共通通貨圏となったために各国の金融政策の自由がなくなったこと | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ユーロ危機の本質=ユーロという共通通貨圏となったために各国の金融政策の自由がなくなったこと





秘書です。

ユーロ危機の本質は、ユーロという共通通貨圏となったために各国の金融政策の自由がなくなったことだ

このことを理解するには80年代以後の経済学を知っている必要があるようで。つまり、70年代以前の就職試験レベルの経済学の知識以後、何も勉強していない人には理解ができないということでしょうか?

だから、日本では合意形成ができないんですかね?



ユーロ危機の本質…金融政策の自由ないこと
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120520/ecn1205200737004-n1.htm
2012.05.20ZAKZAK 高橋洋一さん

 欧州ではフランスやギリシャ、ドイツで反緊縮派が勝利し、欧州株や国債が売られる場面があった。これまで本コラムで指摘した通り、ギリシャのユーロ離脱論も増えてきた。

 ギリシャのユーロ離脱を含め、スペインやイタリアの経済問題、ECB(欧州中央銀行)の動向など、今後の欧州の政治、経済のシナリオはどうなるのだろうか。そしてユーロの動向が日本経済に与える影響はどうなのか。

 日本のマスコミは、ユーロ危機について、同じ通貨にも関わらず財政は統一されていないことをその原因と見る向きが多い。だから、財政を統一せよ、しかも財政規律をユーロ各国が守れという論調だ。

 しかし、ユーロ危機の本質は、ユーロという共通通貨圏となったために各国の金融政策の自由がなくなったことだ。各国でユーロを共通通貨として用いるということは、言ってみれば、各国が金という共通通貨を用いる金本位制に似ており、「現代版金本位制」といえる。

 経済学の歴史をひもとくと、経済危機の時に金本位制では財政政策でしか対応できないので対応力がないことがわかっている。1930年代の大恐慌の時に金本位制にこだわった国は恐慌が長引き、金本位制から早く離脱し管理通貨制に移行し、思い切った金融緩和をした国ほど恐慌が短くて痛みが少なかったのだ

 この成果は1980年代以降、テミン・MIT教授、アイケングリーン・カリフォルニア大学教授、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長らの国際比較学派が究明したことだ。この研究から示唆されることは、ユーロから離脱すべき国は早く離脱したほうがダメージが少ないということだ

 また、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者マンデルによる最適通貨圏理論もある。それによると、単一通貨の条件として、第一に景気やインフレ率の変動などが一致している必要がある。各国に同じ金利が適用されるのだから、景気やインフレ率がバラバラでは一つしかない金融政策がワークしないのだ

 第二に、各国の景気を平準化するためには、各国間の貿易相互依存が高い必要がある。第三に景気の好不況に合わせて人々が各国を移動できたり、構造調整が容易になるような労働市場の開放性や経済構造の柔軟性も必要だ。

 こうした条件から見ると、無理にギリシャなどの周辺国まで同じユーロ通貨にするのではなく、最適通貨圏の加盟条件を満たした中心国だけが同じユーロ通貨を採用すればいい。

 そして、中心国では、ECBが積極的な金融緩和をすれば、スペインやイタリアの経済問題は一時盛り返すだろう。もっとも、スペインやイタリアは中心国とは必ずしもいえないので、ユーロにとどまりたいのであれば、労働市場の流動性や経済構造の柔軟性も併せ持っていなければいけない。

 いずれにしても、ECBが金融緩和しないとユーロは持たないので、この観点から見れば円高方向になるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)