強すぎる通貨のもとでの緊縮政策の先にある強すぎる通貨からの離脱? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

強すぎる通貨のもとでの緊縮政策の先にある強すぎる通貨からの離脱?

秘書です。
強すぎる通貨のもとでの緊縮政策の先にある強すぎる通貨からの離脱?
政策コミュニティにおいて円高のもとでの緊縮派が支配的な日本でも参考になりますね。


焦点:ギリシャのユーロ離脱現実味、金融機関が「ドラクマ復活」の備え
2012年 05月 14日 12:43 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE84D02320120514?sp=true

[ロンドン 11日 ロイター] ギリシャがユーロ離脱に追い込まれる可能性が現実味を帯びてきたことから、各国の金融機関の間で「ドラクマ復活」に備える動きが広がっている。一部の銀行は10年以上前にギリシャがユーロに参加した後も取引システムからドラクマを抹消しておらず、取引通貨をユーロからドラクマに切り替える準備を進めている。

世界では、ソ連の崩壊でエストニアのクローンやカザフスタンのテンゲが復活および誕生したり(クローンはその後ユーロに移行)、ユーロの導入で多くの欧州通貨が姿を消すなど、通貨制度がたびたび変更されており、金融機関はそのたびに変化に対応してきた経験を持っている。

米国の銀行にリスク管理サービスを提供しているICSリスク・アドバイザーズのハートムット・グロスマン氏は、2009年にギリシャの債務危機がぼっ発して以降、そうした動きが活発化してきたと指摘。「欧州勢を中心に多くの企業がこの問題に取り組んできた。金融機関はどこも緊急プランを策定している。ギリシャのユーロ離脱は今に始まったシナリオではない」と述べている。

<考え得るシナリオ>

銀行関係者は、ギリシャのユーロ離脱が現実になった場合、為替規制が発動されることはほぼ間違いなく、新通貨が導入される可能性もあるとみている。

野村のロンドンにおける最高リスク責任者、ルイス・オドナルド氏は「為替デスクは比較的迅速に対応できる。ユーロ離脱が具体的にどんな形で行われるかにかかっている」と語っている。

だが、ギリシャで事業展開する企業や個人に融資する資金が必要なユーロ圏の銀行は大きな問題に直面する恐れがある。

ギリシャ政府が為替取引に関してどんな法律を制定するかによって、適用すべき為替相場が変わってくるためだ。

例えば、1ユーロ=1新ドラクマと定められた場合、実際には市場でそうしたレートが維持されるとは考えにくいため、海外の銀行は多額の損失を被りかねない。

ギリシャで融資活動を行っている銀行にとっては、資本移動が規制されれば「悪夢」となる。なぜなら、企業がユーロ建てで債務を返済すれば違法行為になる可能性があるためだ。

たとえそれが違法とされなくとも、企業は保有キャッシュを一夜にしてドラクマ建てに変更され、ドラクマ相場が急落すると予想されるため、それまでユーロ建てだった債務を返済することは現実的に不可能になる

オドナルド氏は「われわれの想定では、ユーロからの離脱には何らかの形の資本規制が伴うだろう。あるいは、債権者は英国法に基づく義務をギリシャ国民に強いることはできなくなるかもしれない」としている。

<『火事!』の通報には躊躇>

銀行はできる限り自らの権利を守るため、新たなデリバティブ取引や融資を米国法に基づくものに変更する可能性など、さまざまな選択肢を検討している。

ただ、そうした対策がどれほど有効か不明確な上、そうした行動が市場の不安を煽ることになりかねないため、多くの金融機関は具体的な措置を控えている。

金融機関にアドバイスを提供しているある法律専門家は「銀行は『火事だ!』と叫ぶのをとても嫌がっている。彼らはそうすれば何が起き、パニックになればどうなるか知っているためだ」と語る。

むしろ、大半の銀行はそれぞれの取引に適用される法規の確認や、デフォルト(債務不履行)に備えたヘッジ、ギリシャのユーロ離脱が引き起こす可能性のある法的問題の検討に追われている。

オドナルド氏は「依然としてグレーな分野が多く、法廷で法解釈について争わなくてはならない問題が多いようだ」と述べている。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパーズのパートナー、マイルズ・ケネディ氏は「通貨が変更された場合、ユーロ建ての取引はどのように扱われるのだろうか?」と不安を隠さない。

そうした疑問に明確な答えが示されていないため、銀行が「現金払い戻し機に十分なドラクマ紙幣を入れる」のは後回しになりそうだ。

(Douwe Miedema、Sarah White記者;翻訳 長谷部正敬)