高橋洋一さんの橋下・小泉比較論は要注目 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

高橋洋一さんの橋下・小泉比較論は要注目

秘書です。
小泉首相と橋下市長の両方に直接会ったことのある高橋洋一さんの橋下・小泉比較論は、要注目です。


“橋下徹vs小泉純一郎”徹底比較!似た者同士に違いも
★特別版 /strong>
2012.05.02 ZAKZAK 高橋洋一さん
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120502/plt1205021601002-n1.htm

 橋下徹大阪市長は将来性のある政治家とされ、小泉純一郎元首相と比較されることが多い。私は現在、大阪市特別顧問(財政関係)を委嘱され、小泉内閣当時は総務大臣補佐官として郵政民営化などに携わった経験から、2人を比較してみたい。

 まず人柄だが、ちょっと違う。小泉氏は寡黙という印象だ。食事の席などでは陽気にいろいろと面白い話をするが、仕事になると別人だ。説明をしても、「ウン」「任せた」くらいしか言わない。ペーパーを読むでもなく、人の説明を黙って聞くだけで、質問もしないという感じだった。

 あまりに黙って聞いているので、不謹慎にも、どのように聞いているのか質問したことがあるが、「聞いているとストンと胸に落ちるときがあり、それがいい」と話していたのが印象的だ。

 一方、橋下氏は饒舌(じょうぜつ)で、「おもろい関西人」というノリだ。ネットの上でも実社会と同じようで、ツイッターに短時間のうちに猛烈に書き込み、メールも頻繁に行う。夜中でも思い立ったら何度でもメールでやりとりしているようだ。私は普段は手ぶらで移動するが、「パソコン、持っていないのですか」と聞かれた。「スマホで、いつでも連絡とれる」と答えたら安心していた。

 かなり集中する性格のようで、早稲田大学政経学部の学生当時は法律を勉強していなかったが、卒業後に司法試験に通ったというのは、かなりの努力家でないとできない。

 次に思想や信条について。市場経済ベースの考え方は似通っている。また、筋を通すが、プラグマチズム(実用主義)でもあり柔軟性を持っているのも共通点だ。

 もっとも小泉氏の場合、政策は郵政民営化一本やりだが、橋下氏の場合、政策の幅は広い。地方行政の長なので、ほぼ全分野に渡っている。地方分権から、最近では統治機構論に及び、憲法改正まで手を広げている。

 そして政治手法について、「最後は選挙で決める」というのも同じだ。もちろん政治家である以上、最後は選挙というのは当たり前なのだが、それを前面に打ち出しているのが顕著だ。

 小泉氏の場合、郵政国会で造反者が出ると、衆院を解散して総選挙でケリをつけた。その当時、自民党内の調査では、解散すれば自民党は負けて政権交代するという結果だった。たしかに郵政の話は一般には不人気であり、そうした調査結果があったのはうなずける。

 ところが、2005年8月の解散直後の首相演説で、小泉氏の「郵政民営化が、本当に必要ないのか。賛成か反対かはっきりと国民に問いたい」という言葉を聞いたときには身震いがした。後日、小泉氏本人に聞いたら、あの演説は「二度とできない」といっていた。これで流れが変わり、与党で3分の2以上の議席を得た。

 橋下氏も、選挙で決めなければいけないというスタンスだ。大阪府知事になり、大阪市との関係が行き詰まって当初の構想が立ちゆかなくなると、大阪市・大阪府のダブル選挙に打って出た。当初は市長選で橋下氏が当選しても府知事選は盟友の松井一郎氏が勝てるかどうかは危ういとの見方もあったが、ともに圧勝した。

 マスコミをうまく使うのも似ている。小泉氏は官邸内のぶら下がり会見で「ワンフレーズ」を繰り返して、世論の動向を作った。橋下氏は、記者会見に長時間対応し、その上で(本人いわく不満解消として)ツイッターで書き込みをする。マスコミもそれをおもしろがって報道している。

 公開性も共通している。小泉氏の時には、経済財政諮問会議で、対立する意見を持つ閣僚同士を「御前試合」のように議論させ、最後は小泉氏が決断するというスタイルを取り、直後にマスコミに公開した。

 橋下氏の公開性も徹底している。役所内議論も公開している。私にも、一定のメールは公開されるので了解してもらいたいと言ってきた。これにはやや面食らったが、もちろん了解している。

 両方ともに仮想敵を作るのもうまい。小泉氏は抵抗勢力、橋下氏は公務員労組、学者や評論家をうまいこと敵に仕立てている。

 組織のトップとしては、ともに「方針はトップダウンで、後は任せた」ということだろう。橋下氏は、まだまだ進化過程にある。どこまで大化けできるかどうか、これからが見物である。

 ■高橋洋一(たかはし・よういち) 1955年東京都生まれ。80年大蔵省(現・財務省)入省、理財局資金企画室長などを経て小泉内閣の総務大臣補佐官、安倍内閣の内閣参事官を歴任、郵政民営化や道路公団民営化に携わる。特別会計の「埋蔵金」の存在を指摘したことでも知られる。現在は嘉悦大教授、政策工房会長、今年4月から大阪市特別顧問。