自殺はなぜ1998年から急増したのか?そして民主党政権下でも減らないのか?→答えは長期デフレ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

自殺はなぜ1998年から急増したのか?そして民主党政権下でも減らないのか?→答えは長期デフレ

秘書です。

自殺意識調査についてのニュースの中に、「20代は就職環境が厳しく非正規労働者の割合も高い。将来に希望が持てない状況に置かれているのではないか」との内閣府のコメントがありました。

だとすると、雇用問題が自殺問題に何らかの形で影響していることとなり、雇用問題の解決が結果的に自殺問題の解決につながるということになるのでしょう。

では、雇用問題の原因は何なのか?



自殺意識調査、20代が最多の28.4%
(02日05:13)TBS
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5018613.html

 自殺に関する意識を年齢別に調査したところ、「本気で自殺したいと思ったことがある」と回答した割合は20代で最も高いことが分かりました。

 内閣府によりますと、「今までに本気で自殺したいと思ったことがある」と答えた人は全体で23.4%に上り、前回、2008年の調査より4.3ポイント増加しました。年齢別に見ますと20代が28.4%で、自殺者が多い40代、50代より高くなっています。

 さらに、本気で自殺したいと思ったことがある人のうち「1年以内に自殺したいと思ったことがある人」は全体で22.7%でしたが、20代では36.2%と突出して高くなっています。

 内閣府では「20代は就職環境が厳しく非正規労働者の割合も高い。将来に希望が持てない状況に置かれているのではないか」とみています。


→自殺問題を考えるときに、①なぜ、1998年から急増したのか?②なぜ、民主党政権でも3万人台から減らないのか?が問題の核心でしょう。

平成23年版 自殺対策白書
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2011/html/gaiyou/s1_01.html

平成23 年中における自殺の状況
平成24 年3月9日
内閣府自殺対策推進室
警察庁生活安全局生活安全企画課
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H23jisatsunojokyo.pdf

→このことが示すことは、小泉構造改革で自殺が増えたという野党時代の民主党議員の一部が主張していたことは間違いだったのではないか、ということです。新自由主義で自殺が増えたというならば、いまの民主党政権は反・新自由主義政権なのでしょうから自殺は減るはず。しかし、減らない。

→1998年から増えているということは、1997年消費増税後に決定的となる長期デフレとの関係を考えるべきでしょう。

2006年2月24日の衆議院予算委員会公聴会における逢見直人・連合副事務局長の格差認識を再評価すべきときです。逢見氏は、長期デフレが格差の原因であると指摘しています。


逢見氏は二極化が始まった時期についても、「我が国がデフレ経済下でマイナス成長に陥った1990年代の後半でありまして、この間のマクロ的な分配のゆがみが格差社会につながっているのではないかと思います」と、2001年の小泉政権発足以前に二極化が始まったとの認識を示しました 。そして、長期デフレが二極化につながったことについては、「長期デフレへの対応策として、・・・多くの企業は、正社員を減らし、パートや派遣、有期契約、請負労働といった非典型雇用労働者をふやすことで総額人件費を削減するという手段をとってきました。人件費コスト調整のしわ寄せがパート、派遣労働者などに集中することによって、全体的な所得格差が拡大したと言えると思います」と、長期デフレに対する企業の対応策が二極化の原因であるとしています。

その後、残念なことに、連合は、格差の原因は新自由主義であるとの認識に転換してしまいました。問題の真の解決よりも、政権交代を優先した判断といわざるをえません。しかし、それは過去のこと。いまの若者を自殺への衝動から守ることを優先しましょう。もう民主党政権ができたのですから、新自由主義批判はもういいでしょう。小泉政権が終わってもう6年、もういいでしょう。正しい認識に戻すべきです。誤った事実認定からは正しい政策は出てきません。

「高齢化、人口減少が進んでいるからデフレが解消できない、僕たちにはデフレを解消できない」といっている中央銀行のみなさんには自殺予防の観点からもいますぐその場から立ち去っていただく、そのために必要ならば日銀法を改正する、それこそが、メーデーにおける労働戦線の要求の中心課題であるべきだったのではないのでしょうか?

それこそが民主党にデフレ脱却議連ができて、労働戦線の最高幹部と高橋洋一氏が一堂に会して日銀法改正を議論した意義だったのではないでしょうか?

古賀連合会長の「日銀法改正」
発言を報じないメディアの自滅
政府当局の意のままに操られ
2010年04月12日(月)高橋 洋一
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/441

米国の中央銀行のように、

「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される」
「(中央銀行は)インフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある」※

といえる人に、中央銀行の政策決定をしてもらいましょう。日本は人口減少だからしかたがない、高齢化だからしかたがない、企業の生産性が低いからしかたがない、という人にはその場を立ち去ってもらいましょう。自殺予防のために、できるだけのことをしてみましょう。


※インフレ目標設定に関するFOMC声明全文
2012年 01月 26日 09:10 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K0ML20120126