子供の放射線被ばく問題について、枝野幸男大臣と児玉龍彦東大教授の意見の違い | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

子供の放射線被ばく問題について、枝野幸男大臣と児玉龍彦東大教授の意見の違い

秘書です。

子供の放射線被ばく問題について、枝野幸男大臣と、児玉龍彦東大教授の意見の違いが鮮明にでています。枝野大臣のインタビューはそのほか色々注目すべき箇所がありますが、今回は、この被ばく問題に限定して注目してみましょう。

原発稼働再開をする大臣がこの認識でいいのかどうか?そこが問題です。


徹底討論120分! 枝野幸男「私が最も評価する政治家、 それは……」(第1回)
G2 4月14日(土)15時27分配信
インタビュー 薬師寺克行(元朝日新聞政治部長・東洋大学教授)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120414-00000301-gtwo-pol

枝野幸男氏が民主党議員の中で最も将来性を感じさせる議員の一人であることは間違いないだろう。

弁護士出身だけあって記者会見や国会審議でのポイントを押さえた無駄のない答弁や説明能力は言うまでもなく高い。さらに政策を理解、吸収する能力の高さも霞が関で評判になっている。しかし、政治家に求められるのはそんな面だけではない。

自民党から権力を奪った民主党だが首相はすでに3人目で、政権は閉塞感をますます強めている。枝野氏はそんな民主党政権にあって、党幹事長や内閣官房長官、現在は経済産業大臣と常に重要ポストに就いてきた。2010年の参院選は幹事長として挑み大敗、「ねじれ国会」を作ってしまった責任者でもある。

東日本大震災への対応のもたつき、長引く景気の低迷、増え続ける国の債務、信頼性を失いつつある社会保障制度。
こうした問題に思うように成果を上げられない民主党政権に対する国民の期待がどんどんしぼんでいく。

「民主党政権の失敗」という現実をどう考えているのか。厳しい質問をぶつけると、枝野氏から出てきた答えは、思いもかけない方向に展開していった。

■期待感を煽りすぎた政権交代

―民主党政権発足から2年余り、残念ながら政権交代は失敗だったと言わざるを得ない状況ですね。

枝野 自戒も込めて、2009年の総選挙の前に、政権交代に対する国民の期待感を煽りすぎたと思っています。私なりに、ブレーキを踏む努力はしたつもりなのですが……。自民党政権があまりにも長く続いたので、政治構造や政策内容などを変えるのはそんなに簡単なことではないだろうと思っていました。

また時代の変化があまりにも激しくて、それに対応するための改革が選挙を1回経たくらいでできるようなものじゃあないとも思っていた。にもかかわらず政権交代にすごい期待が寄せられたのです

―民主党政権が何を成し遂げたかということになると、混乱ばかりが目立ち印象が薄いです。民主党政権の成果をどう認識していますか。

枝野 自民党政権下では絶対に動かないと思われていた結び目が徐々に緩んできたことは間違いないです。じゃあその結び目がほどけているかと聞かれると、まだほどけていないもののほうが残念ながら多い。

例えば2011年3月の東日本大震災への対応です。我々は徹底的に情報公開しました。あのときは政治的なリスクがあるかもしれないが、とにかく知っていることは全部しゃべることにした。隠していることがあとでわかったら、絶対に政治がもたなくなると思っていました。だから知っていることで隠したことはいっさいないです

事業仕分けも同じです。あそこまで具体的に予算の使われ方を可視化して国民に伝えようとしたのはやはり政権交代の成果だと思う。その結果、今はああいうところに引っ張り出されたときのことを考えながら予算の編成や執行をしなけりゃならないという空気ができたと思います。

政治家と官僚の関係も変わりました。最初のうちはいろいろ問題があったし、今もいい関係かと言えばまだまだ試行錯誤の過程にはあります。しかし、例えば副大臣や政務官がちゃんと仕事をするというのは、この2年間で起きた大きな変化です

―「政治主導」は民主党政権の看板の一つでした。これはうまくいったんですか。

枝野 福島第一原発の事故で、撤退すると言ってきた東電を止めたときの菅直人首相ら首相官邸の対応は「政治主導」の典型だったでしょうね。あのとき東電が本当に撤退していたら、今ごろ私たちは東京に住めなかったでしょう。

東電は首相補佐官だった細野豪志さんや経済産業大臣の海江田万里さん、そして官房長官の私に電話してきた。東電は「全面撤退するつもりはなかった」と後から言い出しましたが、3人とも東電の言ってきたことを「全面撤退」と受け止めた。ですからコミュニケーションギャップから来る勘違いではあり得ない。全面撤退ということは、単に東電が潰れるということではなくて、日本が潰れるという「悪魔のプロセス」が始まるということです。だから、菅首相が激怒して、撤退を止めたのです。

―あの瞬間は極めて危機的だったのですね。

枝野 はい。福島第一原発だけではなく、第二原発まで危機にさらされていましたから。

―原発に関する課題についてはどう考えていますか。

枝野 福島の現状について言えば、低線量被曝についてのちゃんとしたリスク・コミュニケーション(危険性に関する情報の伝達) がとれていないと感じています。
例えば子どもの問題でも、報道されているのは、一日8時間外にいた場合の被曝量が多い。そうした職業の人もいるけれど、子どもが毎日8時間も外にいるということは少ないでしょう。それから、低線量被曝の健康被害については、「確実な」データが少ないことがポイントです。チェルノブイリでの牛乳などによる甲状腺癌の問題は確実でしょうが、それ以外のところでは、癌の発生確率をとってみても「確実な」データがないんです

だから「絶対に安全ですよ」とは言えないんです。ほぼ安全とは言えても、確定された影響がわからないわけですから。こういったところについて、これからちゃんとリスク・コミュニケーションをとらなくてはいけない。

―震災直後「ただちに人体に影響はありません」と記者会見で繰り返していましたが。

枝野 象徴的な言葉になってしまいましたが、あんまり繰り返してないんです。
一般的な放射線量について言ったのは2回。あと、食べ物や飲み物について6回ぐらい言った。それだけですから。だけど、長期・反復の場合のリスクは可能性があったとしても、本当に、その時点でただちに影響を心配する状況ではなかったのです

* * *

◇薬師寺克行 Katsuyuki Yakushiji
1955年生まれ。朝日新聞論説委員、月刊誌「論座」編集長、政治部長などを務め、現在、東洋大学社会学部教授。著書に『外務省』(岩波新書)、編著に「90年代の証言」シリーズの『岡本行夫』『菅直人』『宮沢喜一』『小沢一郎』(いずれも朝日新聞社)など


第2回につづく

→枝野大臣は全く認識を変えていなかった。下記の児玉教授の警鐘にもかかわらず。

衆 - 厚生労働委員会 - 平成23年07月27日


○児玉参考人 私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが、三月十五日に大変に驚愕いたしました。
 私ども東京大学には二十七カ所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などにずっと数十年かかわっております。
 それで、三月十五日に、ここの図にちょっとかいてあるんですが、我々、最初にまず、午前九時ごろ、東海村で五マイクロシーベルトという線量を経験しまして、それを第十条通報という、文科省に直ちに通報いたしました。その後、東京で〇・五マイクロシーベルトを超える線量が検出されました。これは一過性に下がりまして、次に、三月二十一日に東京で雨が降り、〇・二マイクロシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。
 それで、このときに枝野官房長官が差し当たり健康に余り問題はないということをおっしゃいましたが、私はそのときに、実際にこれは大変なことになると思いましたなぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています。このときは総量は余り問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。ところが、今回の福島原発の事故というのは、百キロメートル圏で五マイクロシーベルト、二百キロメートル圏で〇・五マイクロシーベルト、さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶まで及んでいることは、今日皆さんすべてが御存じのとおりであります。
 我々が放射線障害を見るときには総量を見ます。それでは一体、今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、東京電力と政府は、はっきりした報告は全くされておりません

 そこで、私どもは、アイソトープセンターのいろいろな知識をもとに計算してみますと、まず、熱量からの計算では、広島原爆の二十九・六個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では二十個分のものが漏出していると換算されます。さらに恐るべきことには、これまでの知見で、原爆による放射線の残存量と原発から放出されたものの放射線の残存量は、一年たって原爆が千分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射性汚染物は十分の一程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということがまず考える前提になります
 そうしますと、我々、システム生物学というシステム論的に物を見るやり方でやっているんですが、現行の、総量が少ない場合には、ある人に係る濃度だけを見ればいいです。しかしながら、総量が非常に膨大になりますと、これは粒子です。粒子の拡散というのは非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは、要するに、砂粒みたいなものが合成樹脂みたいなものの中に埋め込まれております。これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。
 そうしたものが出てまいりますとどういうことが起こるかというのが、今回の稲わらの問題です。
 例えば、岩手の藤原町では、稲わら、五万七千ベクレル・プロキログラム、宮城県の大崎一万七千ベクレル・プロキログラム、南相馬市十万六千ベクレル・プロキログラム、白河市九万七千ベクレル・プロキログラム、茨城六万四千ベクレル・プロキログラムということで、この数値というのは決して同心円状にも行かない、どこでどういうふうに落ちているかは、そのときの天候、それから、その物質が例えば水を吸い上げたかどうか。
 それで、今回の場合も、私、南相馬へ毎週末、七百キロメーター行って、東大のアイソトープセンターは現在まで七回の除染をやっておりますが、南相馬に最初に行ったときには、一台のNaIカウンターしかありません。農林省が通達を出したという三月十九日には、食料も水もガソリンも尽きようとして、南相馬市長が痛切な訴えをウエブに流したのは広く知られているところであります。そのような事態の中で通達一枚出しても、だれも見ることができないし、だれも知ることができません。稲わらがそのような危険な状態にあるということは、全く農家は認識されていない。農家は飼料を外国から買って何十万という負担を負って、さらに、牛にやる水は実際に自分たちと同じ地下水を与えるように、その日から変えています。
 そうすると、我々が見るのは、何をやらなければいけないかというと、まず、汚染地で徹底した測定ができるようにするということを保証しなくてはいけません。我々が五月下旬に行ったときに、先ほど申し上げたように、一台しか南相馬になかったというけれども、実際には米軍から二十台の個人線量計が来ていました。しかし、その英文の解説書を市役所の教育委員会ではわからなくて、我々が行って教えてあげて、実際に使い出して、初めて二十個の測定報告というのができるようになっている。これが現地の状況です。
 そして、先ほどから食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのでなしに、今日では、もっとイメージングベースの測定器というのがはるかにたくさん半導体で開発されています。なぜ政府は、それを全面的に応用してやろうとして全国につくるためにお金を使わないのか。三カ月たってそのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します。
 第二番目です。私の専門は、小渕総理のときから内閣府の抗体医薬品の責任者でして、今日では、最先端研究支援というので三十億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけてがんの治療にやる、すなわち、人間の体の中にアイソトープを打ち込むという仕事が私の仕事ですから、内部被曝問題に関して一番必死に研究しております。
 そこで、内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます。
 内部被曝というものの一番大きい問題は、がんです。がんがなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。ただし、御存じのとおり、DNAというのは二重らせんですから、二重らせんのときには非常に安定的です。これが、細胞分裂をするときは、二重らせんが一本になって、二倍になり、四本になります。この過程のところが物すごく危険です。そのために、妊婦の胎児、それから幼い子供、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険を持ちます。さらに、大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば、放射性物質を与えると、髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮、これらはいずれも増殖、分裂の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。
 それで、私どもが、内部に与えた場合に具体的に起こるもので知っている事例を挙げます。これは、実際には、一つの遺伝子の変異ではがんは起こりません。最初の放射線のヒットの起こった後に、もう一個の別の要因でがんの変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか、細かいことになりますが、参考の文献は後ろにつけてありますので、それは後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますので、それを見ていただきます。
 まず、一番有名なのはアルファ線です。プルトニウムを飲んでも大丈夫と言う東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが、アルファ線は最も危険な物質であります。それは、トロトラスト肝障害という格好で、私ども肝臓医はすごくよく知っております。要するに、内部被曝というのは、先ほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありませんI131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点を見なければ、全身を幾らホール・ボディー・スキャンをやっても全く意味がありません。
 トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なので、大きい方は後で見てほしいんですが、これは、実際にトロトラストというのは造影剤でして、一八九〇年からドイツで用いられ、一九三〇年ごろから日本でも用いられましたが、その後、二十から三十年たつと、肝臓がんが二五%から三〇%に起こるということがわかってまいりました。
 最初のものが出てくるまで二十年というのはなぜかというと、最初に、このトロトラスト、アルファ線核種なんですが、アルファ線は近隣の細胞を傷害します。そのときに、一番やられるのはp53という遺伝子です。
 我々は今、ゲノム科学というもので人の遺伝子を全部配列を知っていますが、一人の人間と別の人間は大体三百万カ所違います。ですから、人間を同じとしてやるような処理は、今日では全く意味がありません。いわゆるパーソナライズドメディスンと言われるやり方で、放射線の内部障害を見るときにも、どの遺伝子がやられてどういうふうな変化が起こっているかということを見ることが、原則的な考え方として大事です。
 トロトラストの場合は、第一段階ではp53遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのが二十から三十年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが証明されております。
 次に、沃素131、これは、沃素は御存じのとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児に起こります。しかしながら、一九九一年に、最初、ウクライナの学者が甲状腺がんが多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーに、これは因果関係がわからないということを投稿しております。なぜそう言ったかというと、一九八六年以前のデータがないから統計学的に有意だということを言えないということです。
 しかし、統計学的に有意ということがわかったのは、先ほども長瀧先生からお話がありましたが、二十年後です。二十年後に何がわかったかというと、八六年から起こったピークが消えたために、これは過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。ですから、いわゆる疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまで大体証明できないです。ですから、今我々に求められている子供を守るという観点からは、全く違った方法が求められます
 そこで、今行われているのは、ここには、国立のバイオアッセイ研究センターという、化学物質の効果を見る福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されています。
 福島先生たちがウクライナの医師と集めて、五百例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと、膀胱もとれてきます。これを見まして検討したところ、高濃度汚染地区、尿中に六ベクレル・パー・リッターという、微量ですが、その地域ではp53の変異が非常にふえていて、しかも、増殖性の前がん状態、我々から見ますとp38というMAPキナーゼとそれからNFkBというシグナルが活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているということが報告されております。
 それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から、二から十三ベクレル、七名で検出されているということが既に報告されていることであります
 次のページをお願いします。
 我々アイソトープ総合センターでは、現在まで毎週、七百キロメーター、大体一回四人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。南相馬でも起こっていることは全くそうでして、二十キロ―三十キロという分け方が全然意味がなくて、幼稚園ごとに細かくはかっていかないと全然だめです。
 それで、現在、二十キロから三十キロ圏にバスを立てて千七百人の子供が行っていますが、実際には、南相馬で中心地区は海側で、学校の七割は比較的線量が低いです。ところが、三十キロ以遠の飯舘村へ近い方の学校にスクールバスで毎日百万円かけて子供が強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。今、その一番の障害になっているのは、強制避難でないと補償しない、参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っておりますが、これは分けてください。補償問題と、線引きの問題と、子供の問題は直ちに分けてください。子供を守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。
 それからもう一つは、現地でやっていますと、除染というものの緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。緊急避難的除染を我々もかなりやっております。例えば、ここの図表に出ております滑り台の下、滑り台の下はちっちゃい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がざあっと流れてきますと毎回濃縮します。右側と左側とずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量一マイクロのところだと十マイクロ以上の線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。
 それから、こういうさまざまなコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子供が手をついたりしているところなんですが、そういうところは、例えば高圧洗浄機を持っていってコケを払うと、二マイクロシーベルトが〇・五マイクロシーベルトまでなります。だけれども、〇・五マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、空間線量として、一カ所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです
 ですから、除染を本当にやるというときに、一体どれくらいの問題があり、どれくらいのコストがかかるかということを、イタイイタイ病の一例を挙げますと、カドミウム汚染地域、大体三千ヘクタールなんですが、そのうち千五百ヘクタールまで、現在、除染の国費が八千億円投入されています。もしこの千倍ということになれば、一体どれほどの国費の投入が必要になるのか。
 ですから、私は四つのことを緊急に提案したいと思います。
 第一番目に、国策として食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングや何かを用いた機器を用いて、半導体のイメージ化は簡単です、イメージ化して、流れ作業にして、シャットしていってやるということでの最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。これは今の日本の科学技術力で全く可能です。
 二番目。緊急に、子供の被曝を減少させるために新しい法律を制定してください
 私の現在やっているのは、すべて法律違反です。現在の障害防止法では、各施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の二十七のいろいろなセンターを動員して、現在南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限や何かは得ておりません。車で運搬するのも違反です。しかしながら、お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京へ持って帰ってきております。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。
 このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムを初め最新鋭の機器を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力を挙げて子供が守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
 第三番目。国策として、土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集してください。
 これは、例えば、東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノルだとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店や何かさまざまなところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターをつくって、実際に何十兆円という国費がかかるのを、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。
 どうやって除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか。
 以上です。(拍手)


○児玉参考人 放射線が人間の遺伝子を傷害します。そのときに、人間には二万五千の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護にかかわる遺伝子というのがあります。それで、普通は、これがやられないと低線量のものは大体問題なく修復されるということがわかっています。だけれども、先ほどは、例えばアルファ線でやられているp53だとか、それから、我々、最近、がんゲノムシークエンスというので、肝臓がんやさまざまなものを、遺伝子配列全体を決定して、いわゆるドライバーミューテーションという、最初にがんをつくっていく方向に起こってしまう変異が何で起こるかというのを研究しておりますと、例えばp53のような、最初の、DNAを守っていったり、そういうところにかかわる遺伝子を壊すとがんになるということがわかっています。
 そうしますと、実際には、二万五千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的になってきます。ですから、一般にわかるのは、統計学的に、非常にたくさんの人を集めて、例えば、チェルノブイリのときの甲状腺のように、最初は、多分長瀧先生の方が御存じだと思いますが、笹川財団で調べたときに、五万人ぐらいまで調べたときに、有意な差がないと言われたんです。ところが、それが今になっては、コンセンサスとして、六千人の甲状腺がんと十五人の死亡例が生まれているというふうに変わってきています
 私、もともとこういう問題に興味を持ちましたのは、自分はコレステロールの方が専門でして、コレステロールの薬をつくるときにもたくさんの論争がありました。それで、私は医学者として今一番感じておりますのは、このどこの線量が安全かという議論と国の政治的なかかわり方を分けていただいて、国は、要するにコレステロール論争のときに一番大事だったのは、コレステロールを下げる薬をやって心筋梗塞が減るかどうかという問題でした。
 それで、きょうの厚生委員会でも考えていただきたいのは、学問論争に対して厚生委員会で結論を出したり考える必要は、私はないと思っています。
 国民の健康を守るためにどういうことができるかというときに、まず、セシウム137というのは、自然界には一九四五年以前に存在していないものです。原発と原爆で生まれて、それが一九六〇年代の初めに水爆実験によってピークになったものであります。そのときに、猿橋勝子さんという女性研究者が、海水のセシウム濃度が百倍になっているということを微量線量計で確認して、これでアメリカへ行って、公開実験というのをフォルサム博士とやって、これが大気圏内の核実験禁止の大きな学問的根拠になりました。その後、セシウムはずっと減ってきていたのが、またそれをはるかに倍する量に今上がろうとしているときであります。
 そうしますと、その線量議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というのが膨大にまかれて、ガンマカウンターで簡単にわかるような量に散らばっている。しかも、それが広島原爆の二十倍の量まかれているという事態に対して、国土を守る立場から、ぜひ積極的な対応をお願いしたいというのが基本的なお願いです



2012-01-25 15:30:00
原発対策国民会議で、児玉龍彦先生のお話を聞きました
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11145660129.html

2012-03-04 10:45:07
セシウム落ち葉をどうするのか→①国費投入で完全除去?②一部のみ除去? 
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11182539417.html