自民党と民主党の日銀・デフレ・円高対応の違い=①自民党は日銀法改正②民主党は政策手段への圧力? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

自民党と民主党の日銀・デフレ・円高対応の違い=①自民党は日銀法改正②民主党は政策手段への圧力?

秘書です。

自民党と民主党で日銀と円高デフレの問題が議論されていますが、実は、全くポイントが違います。

①自民党は、政府・日銀の政策目標の共有を求め、その手段として日銀法改正の国会提出を準備しています。これは、日銀には政策目標の独立性はないが、政策手段の独立性はない、という基本認識にそったものです。

②ところが民主党は、日銀の次回の政策決定会合に圧力をかけるかのごとき対応をしようとしています。次回の政策決定会合に圧力をかけるということは、政策手段の独立性を侵害しています。政党が政府に対して対応を求めるのは当然ですが、日銀の政策手段に圧力をかけるというのは異常なことです。問題は、この異常行動を日銀出身議員もコミットメントしているとみられることです。
ここから導き出される一つの憂慮すべき仮説は、日銀本体が「日銀法を与野党合意で改正されるぐらいならば、ガス抜きとして政策手段の独立性を侵害されたほうがましだ」と考えているのではないかということです。もしもこれが真実ならば、日銀の独立性の名のもとに行われているのは、「組織防衛のための金融政策」なのではないかということです。本来の目的は、組織防衛ではなく、国民経済防衛でしょう!

組織防衛=日銀法改正阻止のために、ガス抜きとして政策手段の独立性の侵害を容認するようなことはやめましょう!

日銀との対話は、政府及び国会の場に限定されるべきでしょう。立法府がやるべきことは、立法措置です。日銀法改正こそ議論すべきこと!

これは日銀の政策手段への圧力ではありません。日銀法改正と政策手段をリンクさせるのはやめましょう。



円高・デフレ懸念再び/与野党で会合相次ぐ
4月12日 建設通信新聞
http://www.kensetsunews.com/article.php?article_id=A1204120200&date=2012-04-12&class=pickups

 円高・デフレ対策に対する関心が与野党で高まっている。消費者物価の緩やかな下落が続いているのに加え、企業部門でも大企業の収益は2011年度減益見込みであるほか、為替もドル円相場も今年に入って3月までの80円台中盤をうかがうまでになった円安基調が、11日時点で80円台と再び円高傾向が強まっていることが背景にある。再び円高が進行しデフレが拡大すれば、建設産業界にとっても、建設市場の大半を占める民間建築の投資意欲にも水を差しかねない。
 円高・デフレ対策に関する議論は、自民党が10日に会合を開いたのに続き、民主党も11日に開き、日本銀行に対し政策委員会審議委員との意見交換を求めた。
 民主円高・デフレ対策特別チーム(直嶋正行座長)が11日、日銀に対し政策委審議委員との意見交換を求めた理由について、大塚耕平議員は「こういう(円高とデフレ)状況で日銀審議委員の役割は非常に重い。今の状況にどのような認識を持っているのかを知ることは非常に重要。さらに経済を考える国会議員の考え方を知ってもらうため」とし、政治が独立性を保つ金融政策に対し「決して圧力をかけるつもりではない」とした。
 政策委審議委員会は金融政策を行う日銀の最高意思決定機関で、現在は2人欠員のため総裁、副総裁含め7人で金融政策を決定している。
 日銀は2月に国債買い入れ額10兆円増額と消費者物価1%上昇をめどにした政策決定をしたことを受け、円安基調が進んでいた。
 ただ市場への資金供給量を増やす金融政策を対策の柱に据える日銀に対し、民主や自民からは、「風邪をひいているのに胃薬を飲ませているもの」と批判も相次いでいた。
 資金供給量だけを増やしても、企業部門の設備投資意欲が高まらないことが理由だ。
 政治が円高とデフレに危機感を高めるのは、製造業と比べ比較的景況感が回復しつつある非製造業も、先行きについて業況悪化判断を示していることがある。
 3月調査の「日銀全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」で、建設、小売り、卸売り、物品賃貸・宿泊・サービスなど非製造業の業況判断は、直近で「良い」から「悪い」を引いた値がすべてプラスだったのに対し、先行きはすべてマイナスに悪化した。
 デフレ対策については、自民では別の調査会で立法化を進めている国土強靱化基本法策定チームが、デフレ対策は金融政策だけでは限界だとして、民間設備投資需要を喚起するための公的需要として大規模な財政出動を盛り込むことを検討している。.


→資金供給量が増えるとなぜ景気がよくなるのか?

①デフレとは、モノの供給量よりも貨幣の供給量が少ないので、貨幣を持っていたほうが得なことです(円高はドルよりも円のほうが貨幣供給量が少ないことです)。だから、企業も個人も、貨幣を持っていてモノもサービスも買いません(左派のみなさんは大企業が内部留保200兆円・・・という話をしますが、なぜ、内部留保するのか?それは先行きデフレ見込みをしているからキャッシュをもっていたほうが得だからでしょう。期待物価上昇率をあげることが200兆円をはき出させる政策です)。投資しようとしても将来の物価が下落すると思ったらできません。金利1%借りても、物価が2%下落したら実質的には3%の金利を払っていることになります。この実質金利は、金利2%でも物価が4%あがると思えば実質的には-2%金利となります。つまり、借りて何かを買ったり投資したほうが得だということです。米国はこの状況にありますから、投資や消費がすぐにおきます。

②また、円の通貨量が増えてドルの供給量よりも相対的に多くなれば、円安になります。円安になれば、輸出産業が息を吹き返す効果もあります。そして、円安と株価も連動しています。このことは2月14日の金融緩和政策後の変化で明らかでしょう。しかし、期待に反して、貨幣供給が減っていたということが円高の一つの要因になっているのではないでしょうか。



→最後にもう一度、金融政策は、組織防衛のためにやってはいけません。

2012-04-09 06:43:17
日銀は、消費税増税議論の中で、日銀法改正の動きが出てくることを恐れている(高橋洋一氏)
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11218025616.html

2012-03-09 11:38:00
金融政策を「組織防衛」のためにやってはいけません
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11187377856.html