日本の自動車メーカーの円高を理由とする海外移転は、日銀からみて正常な海外移転? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日本の自動車メーカーの円高を理由とする海外移転は、日銀からみて正常な海外移転?

秘書です。
日本の自動車メーカーの円高を理由とする海外移転は、日銀からみて正常な海外移転なのでしょうか?


日本の自動車メーカー、円高理由に生産の海外移管急ぐ
2012年 04月 5日 14:17 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE83403820120405?sp=true
[ニューヨーク 4日 ロイター] ニューヨーク・マンハッタンで4日に開幕した国際自動車ショーでは、日本の自動車メーカー各社が、円高を理由に、北米などへ生産の海外移管を急いでいる現状が浮き彫りになった。

日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)のゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は、自動車ショーの合間に記者団に対して、海外向けの高級車ブランドである「インフィニティ」について、生産を北米、中国などに移管を進める考えを示唆した。ゴーンCEOは、円高は「大きなハンディキャップだ」と述べた。

またトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の若年層をターゲットとしたブランド「サイオン」でも、トヨタの米国の組立工場の1つで生産するという選択肢を模索し始めており、米国内産部品の使用拡大を計画している、という。

「サイオン」の責任者のホリス氏は「円相場を理由に、当社のエンジニアリングチームは部品の1つ1つまで検討せざるを得なくなっている」と語ったが、生産計画については「決定には程遠い」としている。

<日産、トヨタ、マツダ、ホンダ>

日産の「インフィニティ」は、世界の高級車販売シェアの10%獲得を目指しているが、円高が足かせとなり、目標にはまだ届いていない。

日産のゴーンCEOは、記者団に対し「通貨が強い国で生産し、通貨がずっと弱い国で売る、といった状況は避けたい」と述べた。

ゴーンCEOは、電気自動車(EV)「リーフ」について、今夏にテネシー州の工場で生産を始めた後は、販売の急増が見込まれる、としている。

トヨタの米販売チーフのカーター氏は「ドル/円は会社にとって明らかに問題」と話す。トヨタではミシシッピ州工場で第2シフトが立ち上がりつつあり、北米で生産する部品の割合を増やす方向にあるという。

一方、マツダ(7261.T: 株価, ニュース, レポート)ではメキシコに組立工場を建設中で、2014年にも稼働する見通し。マツダの北米事業のオサリバン社長兼CEOは「為替相場が重圧になっており、ストレスになっている」と指摘した。

ホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)もメキシコ生産を拡大中。米国ホンダの岩村哲夫社長は、(メキシコ)工場が出来れば、北米生産比率が上昇すると話した。



日本経済:現状、見通し、課題── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──
白川方明日本銀行総裁 2011年11月28日
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko111128b1.pdf

円高への対応

(白川総裁)「為替相場は2000 年代半ばにかけては大きく円安方向に振れ、その後は逆に大きく円高に振れています。現在問題となっている円高にはメリットもあればデメリットもあり、かつ両者の現れ方は局面によっても時間の経過によっても異なります。結論から申し上げますと、日本銀行は、海外経済の先行きを巡る不確実性が大きい現局面においては、円高が輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じ、景気の下振れ要因となる可能性には十分な注意が必要だと考えています。日本銀行が夏以降、2回にわたって金融緩和に踏み切ったのも、正にそうした判断に基づくものです。」

→日銀は円高にはメリットもあると考えていますよということですね。では円高のデメリットをどう考えているのか?日銀は、海外経済の先行きを巡る不確実性が大きい局面と判断したから金融緩和したのであって、円高の基本的方向をデメリットと考えているわけではありません、ということですね。

(白川総裁)「円高に関連して、現在、特に問題となっているのは、これにより企業の海外生産シフトが加速し、国内産業が空洞化する可能性です。日本企業による海外生産の増加という流れ自体は、基本的には、世界の成長センターが新興国に移っているという大きな構造変化のもとで、企業の成長戦略の一環として、需要の拡大している市場の近くに生産拠点を設ける動きであると理解しています。ただ、そのペースはその時々の為替相場の動向にも左右されます。皆さまもご記憶のように、2000 年代半ば過ぎにかけて大きく円安に振れ、国内生産の採算が一時的に大幅に好転した局面では、海外シフトの動きが一服して生産の国内回帰がみられました。しかし、リーマン・ショックの余波や欧州ソブリン問題が長引く中で、それらが表面化する前に比べて円高な水準が定着するにつれ、もともとグローバル市場の拡大に合わせて進められてきていた海外生産シフトへと、企業の戦略が再び戻りつつあります。」

→日銀総裁は、国内産業空洞化をどう考えているのか?ここは重要です。熟読してください。まず、基本は海外生産の増加とみていることです。そして、小泉・安倍政権期の円安でこの流れがとまり、リーマンショック後の円高でもとの海外生産増加の基調に戻ったということです。つまり、リーマンショック後の企業対応こそが正常な動きであると。(民主党にもこの2005-2007年円安バブル論者がいます)

(白川総裁)「従って、この戦略過渡期においては、海外生産シフトは傾向として過去の平均的なペースに比べて速まることになります。その際、海外生産シフトがあまりに急速に進展すれば、国内で新たな雇用吸収の場を生み出すペースが追いつかなくなる可能性がありますし、長い目でみて競争力がある中核的な企業や工場までもが海外シフトしてしまった場合、あとで円高が是正されてもその国内復帰は難しくなります。これらのリスクを含めて、最近の円高が日本経済に与える影響については十分注意する必要があると考えています。」

→海外移転については、スピードの問題だということですね。なぜスピードが速まるのか。戦略過渡期の意味な何でしょう。それは、ずっと円高ならいいのに、小泉・安倍政権期に円安になるから、かえって、海外移転のスピードが速まるじゃないか、だから円安にしてはいけないんだ、ということでしょうか?

→日銀は雇用のことも考えているようにみえますが、基本的には海外生産増加を基調として、雇用の他への移転ができるスピードにしましょうということですね。


(白川総裁)「一方で、円高には、原燃料の輸入コストの抑制などを通じて企業や家計の対外購買力を高めるなどのメリットもあります。震災発生以降、原発の稼働停止に伴う火力発電の増加から、原油やLNG の輸入金額が拡大し貿易収支も赤字に転じていますが、円高はそうした海外への所得流出というデメリットを相殺する側面も有しています。もちろん、そうしたメリットはすべての企業や業種に一様に及ぶわけではありませんが、日本経済全体として考えた場合、そうしたメリットを活用し、新たな事業展開や産業構造の変革へとつなげていく発想も必要だと思います。残念ながら現在はそうした前向きな動きがなかなか起きてきていません。」

→デフレで経済が縮小しては前向きな動きなどでるはずもないのですが、日本銀行は企業が前向きにならないことに責任をおしつけています。そして企業が前向きになろうとすると、バブル懸念だ、インフレ懸念だといってフォワードルッキングに引き締めるわけですが。

(白川総裁)「個人や企業のレベルで考えてもそうですが、一時的な運を除けば、稼ぐ力はそれを可能にする実体的な努力なしには実現しません。変化する環境への積極的な対応が不可欠です。先ほどの海外生産シフトを例にとると、海外で可能な生産・営業活動は海外拠点の一層の拡充で対応する一方、国内では技術水準やブランド価値の高い財・サービスを中心に開発・生産体制を再構築していくことや、多様化するニーズに目を向けて国内市場も掘り起こしていくことが、収益と雇用の拡大均衡へつながる道だと思います。」

→あなたたちの努力がたりないからデフレなのです。あなたたちががんばりなさい、ということですね。そして、日銀ができることはない、と。

→日本企業の競争力がそんなに劣っているならなぜ、円高なんでしょうね。しかも、努力をしても報われることが絶望的な円高に!1ドル=100-130円なら十分に競争力があるでしょう。でも、そうした小泉政権期の水準はよくない水準というのが白川総裁の信念ですね。

→もしも、日本の中央銀行がイングランド銀行だったら?スウェーデン中央銀行でも、FRBでもいいですが。


→量的緩和について学習される方はイングランド銀行HPの動画でどうぞ!


http://www.bankofengland.co.uk/education/inflation/qe/video.htm