野田首相の記者会見を精読する―①マジックワード「経済活性化」に要注目、②議員定数削減はいつ? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

野田首相の記者会見を精読する―①マジックワード「経済活性化」に要注目、②議員定数削減はいつ?

秘書です。
昨日の野田首相の記者会見のポイントを精読しましょう。
ポイントは、①景気・デフレ脱却と②行革・議員定数是正と増税との関係です。

特に、マジックワード「経済活性化」に要注目。

平成24年3月30日
野田内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2012/0330kaiken.html


【景気・デフレ脱却との関係は?】 

【野田総理冒頭発言】

 今日より明日がよくなると思っていただけるためには、今のこうした社会保障の改革も必要でありますけれども、何よりも経済の再生を果たし、パイを大きくするということが大事です。この一体改革とあわせて包括的に進めていかなければならないのが日本経済の再生であります。デフレからの脱却であります。そのために、今回、さまざまなご議論を経た中で、平成23年から32年、この10年間の間に平均して名目で成長率を3%、実質で2%という目標を数値として掲げさせていただきました。これは前提条件ではありませんが、政府としての目標でございますので、この目標を早い段階で達成できるように全力を尽くしていかなければなりません。新成長戦略の加速、そして年央にまとめる日本再生戦略等々、さまざまな政策を総動員をしながら、この目標達成に向けて全力を尽くしていきたいと思いますし、特に、日銀とは緊密に連携をとり、そして問題意識を共有しながら、デフレ脱却、経済活性化に向けた取り組みを一緒に行っていきたいと考えています。

→数値目標は「前提条件」ではありません。

→目標は「早い段階で達成」できるように全力を尽くす、と。早い段階とはいつでしょう?そして、全力を尽くしたかどうかは、どう判断するのでしょうか。例えば、今、日銀は全力を尽くしているのでしょうか。日銀は全力を尽くしているというでしょう。しかし、別の立場からみればまだ全力ではありません。努力目標は、本人は努力しましたといえば責任をとらなくてすみます。

→デフレ脱却と「経済活性化」とは何でしょう?
経済活性化とは何を意味しているのでしょう。成長率のような数値では表せないものですね。これも主観的な規定ですね。例えば「○○市のキャバクラが流行っている。これは復興バブルだ」という事例をあげれば、経済活性化しているといえるのでしょう。

→経済活性化というマジックワードは下記のように使われています。



野田首相「増税で経済活性化も」 参院総務委で意義強調
2012.3.29 14:21 SANKEIBIZ
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120329/mca1203291422011-n1.htm
 野田佳彦首相は29日の参院総務委員会で、30日に閣議決定する消費税増税関連法案に関し「消費税を引き上げることで社会保障の将来像に不安がなくなり、消費が喚起され、経済が活性化される可能性もある」と述べ、社会保障財源としての消費税増税の意義を強調した。・・・

→増税でも経済活性化・・・

【行革と議員定数削減は、2014年4月までに】 

【野田首相の冒頭発言】
 また、多くの同志の皆様から指摘をされたこと。それは、国民の声を代弁してると思いますけれども、身を切る改革もしっかりやり抜くことでございます。行政の改革については、これまでも公務員の人件費、マイナス7.8%、これは復興財源でございますが、国家公務員の給与の削減を決めさせていただきました。政権交代以降、人件費については約1割削減をしてきています。でも、これではまだ不十分だと思います。新規採用の手控えを含めて、定員の問題についても触れながら、これからも公務員制度改革を含めまして、まさに実績をあげていきたいと思いますし、加えて、特別会計の改革、会計の数を17から11に減らすこと、勘定の数を約半減すること、そして独立行政法人の数を4割減らすこと等々、さまざまな行革の取り組みをしっかりやり遂げていきたいと思いますし、今申し上げたメニュー以外にも、行革本部をつくりました。この行革実行本部を中心にですね、これまでも、歳出の削減については一生懸命努力をしてきたつもりでございますが、これからも歯を食いしばって、さらなる行政改革、歳出削減を行い、2014年の4月に、最初に8%へ消費税を引き上げる前までには、これらのメニューはしっかりやり遂げていくことが大事だと思います

【国会議員定数削減問題】 

【首相冒頭発言】
 また、まずは隗より始めよ、政治の改革も、これもおろそかにしてはいけないと考えています。今、与野党の協議が進んでおりますけれども、特に議員定数の削減は必ず実現をしていかなければいけないということの決意もあわせて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

【質疑応答】

(記者)
 NHKの山口です。身を切る改革について、お尋ねします。総理は、消費税と身を切る改革は一体というふうにかねがねおっしゃってきましたけれども、今日に至っても国会議員を80人削減する法案については国会に提出されておりません。いろいろ難しい問題はあると思いますけれども、総理が決断をすれば、今日でも国会に提出できると思うんですけれども、この法案はいつ出るんでしょうか。

(野田総理)
 例えば民主党の考えている定数削減の考え方、それを貫いていけば、例えば法案を提出する、衆議院では通るかもしれません。参議院ではご理解いただけるか、各党のご理解がいただけないと、これ、つぶれますよね。で、つぶれてよかったというポーズでいいのかどうかだと思うんです。で、今、与野党で協議をしていただいているのは1票の格差の問題、定数削減、選挙制度改革、それぞれの党の思いがありますから、その中で定数削減をしっかりやり抜くことが必要であって、自分さえよければいいと、ポーズだけでやってはいけないんで、結果が出なければいけないというふうに思っています。結果を出したいと思っているんです。
 結果を出すことはですね、だから、その意味ではまだ法案、出てないわけですが、与野党協議をしっかりやった中で出していかなければいけないと思いますけれども、少なくとも、さっき申し上げたとおり、最初に消費税を引き上げるのは2014年4月、それまでにはこの定数削減をやり抜いているという状況をイメージしながら議論をしていきたいというふうに思っております

→行革、歳出削減、議員定数削減は、2014年4月までの間にやればいいということで。どういう条件付けになるのでしょうか。ここは増税停止条項に入るのでしょうか、今後の与野党企業義で。例えば、2014年4月が近づいたら、「定数削減はできていない。しかし、ここで増税をやめたら、国債は大暴落する」といって、定数削減なき増税への支持をうったえる可能性を排除できるのか、否か?自民党はどこまで前提条件として要求するのか?

【与野党協議】 

(記者)
 北海道新聞の林です。消費税増税法案についてお聞きします。
 総理はですね、この法案について、会期延長を念頭に置かず、6月21日の本国会中に成立をさせる、この方針に変わりはないのか、改めてお聞かせください。
 この法案はですね、参院で野党の協力がなければ成立をしません。この法案の修正の是非について、今のお考えをお聞かせください。
 また、自民党などはですね、法案成立前の衆院の解散を求めています。総理は、法案の成立に向けて、今後あらゆる可能性を追求されるとは思いますけれども、その中で大連立、あるいは話し合い解散といった選択肢、これも排除しないのかどうか、これについてもお考えをお聞かせください。

(野田総理)
 多岐にわたる内容が含まれていたというふうに思いますが、今国会中に、全力を挙げて、政府・与党一体となって成立を期していきたいと思います。まだ、3月末の段階で、国会の会期は6月までございますので、会期延長を今念頭に描いているわけではございません。あくまでこの会期内の中でですね、この法案だけではなくて、その他の法案もありますが、政府として出す以上は、それらはすべて成立を期すというのが基本的な姿勢であります。
 それを通すためには、野党の理解を得なければならないことは、これは間違いございません。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この問題については、社会保障の不安をなくしていかなければいけないと思っている党は多いと思います。議員も多いと思います。それを支える財源として、消費税を公約にした政党もありますし、念頭に置いている議員もたくさんいらっしゃると思いますので、私はさっき政策のスクラムと申し上げることができましたが、いろいろ各論で違いの部分はあるかもしれません。だけど、この問題は乗り越えていかなければいけない、解決しなければいけないと思っている方は、与野党問わず、たくさんいらっしゃると思いますので、そういう皆さんとスクラムを組んで、建設的な議論をやっていく中で、これはいい提言だなと思ったことは、当然のことながら、取り入れていくことは当然必要だというふうに思っています。
 それで、大連立の話し合いとか、そういう政局は考えずに、わき目も振らずに、この法案の成立に向けて、まず政府・与党が一丸となって、そしてまとまって、そして議論をしていく、そういう立場で臨んでいきたいというふうに思います。

→自民党がデフレ脱却を条件にしろと主張するか、否か?

【解散・首相辞職問題】 

(記者)
 朝日新聞の佐藤です。
 総理はですね、消費増税法案について、消費増税法案の今国会成立について政治生命をかけるというふうにおっしゃっております。それからもう一方で、決められない政治からの決別ということもおっしゃっておるわけですけれども、今国会で、その法案が成立しない場合、解散してでも、解散して国民の信を問う、あるいは退陣をするという意気込みであるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

(野田総理)
 そう簡単に理解しないでください。政治生命をかけるというのは、文字どおりに受けとめていただきたいと思います。その解釈を云々するのはやぼじゃありませんか。ただ、政治生命をかけると言ったことは事実、かけてます。どうするかは、私の胸三寸であります。しかも、通らなかったという悲観的な「たられば」について、今、私は想定をしていません。

→例えば、退陣を交渉材料として解散前又は後の増税法案成立の確約を得て、岡田新首相のもとで解散、というシナリオがあったとしたら、「退陣して法案成立」になりますから、「法案成立しないから退陣か」「法案成立しないから解散か」という問いには答えられないですね。政治生命をかけて成立させるとは、最後はクビをさしだしてでも成立させると、文字通り受け止めましょう。

→竹下首相がどう消費税法案を成立させたのかを復習しておきましょう。