自民・郵政民営化見直し ”小泉路線”から転換(FNN)・・・・総裁から回答がなかった中川の質問 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

自民・郵政民営化見直し ”小泉路線”から転換(FNN)・・・・総裁から回答がなかった中川の質問

秘書です。

今回の見直し案では、郵政民営化法第1条の郵政民営化の定義から「平成16年9月10日閣議決定の郵政民営化の基本方針に則して行われる改革」を削除して別の定義にしています。これは見直しなどというレベルを超えた重大な路線転換です。このような路線転換は、問題点を検証し、その問題解決の手段がこの結果であるという論理展開があるはず。だから、中川秀直は、この路線転換がいかなる検証により、いかなる理由で行うのか説明していただきたいと求め、路線転換をするなら選挙で国民に説明してからにすべきだと述べたのですが・・・


自民党、総務会で郵政民営化見直しの自公案了承 中川元幹事長らが猛反発
(03/27 17:49)FNN
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00220047.html
自民党が、郵政民営化で、小泉元首相が進めた路線からの転換を図っている。
自民党は、27日に開いた総務会で、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命保険」の2社の株式について、「全てを処分することを目指す」などとした郵政民営化見直しの自公案を了承した。
しかし、中川元幹事長や小泉 進次郎議員らは猛反発し、「株の完全売却を担保できていない」、「勝手に政策転換するな」などとして、了承を見送るよう求めた。
自民党の中川元幹事長は午後、「わたしは、本会議でも反対をいたします」と述べた。
中川氏らは、本会議での造反も辞さない構えを示している。


郵政改革案、民自公で共同提出へ 自民、民営化路線を修正
2012年3月27日 20:38 日経新聞
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E5E2E0858DE0E5E2E1E0E2E3E08297EAE2E2E2;av=ALL

「・・・ただ自民党内では小泉純一郎政権の改革路線を支持する中川秀直元幹事長が採決での反対を明言し、造反の広がりを懸念する声が出ている。

・・・ただ、自民党は27日、党内の最終手続となる総務会が紛糾。谷垣禎一総裁が了承を求めたが、中川元幹事長と菅義偉元総務相が反対。小泉進次郎青年局長も「拙速に決めるのは筋が違う」と訴えた。反対論が一巡した段階で見直し派から「了承、了承」と声が上がり、怒号が飛び交う中、塩谷立総務会長が押し切った

党総務会は全会一致が原則だ。塩谷氏は会合後の記者会見で「全会一致で了承を頂いた」と強調したが、中川氏は記者会見で全会一致を否定。改正案を採決する衆院本会議で反対する考えを表明した。小泉首相時代の05年、現行の民営化案の扱いで総務会は異例の多数決で押し通した。7年後に攻守が変って総務会を巡る闘争が再燃、今回も亀裂が決定的になった。」


「改革に逆行する」自民・中川元幹事長が造反宣言
(03/27 17:38)テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220327049.html
自民党内で郵政民営化をめぐる対立が再び起きています。郵政民営化を見直す法案に納得がいかない中川元幹事長が、本会議での造反を宣言しました。

 自民党は27日、公明党と共同で提出する予定の郵政改革法案を党として了承しました。しかし、2006年の郵政民営化法で定めた郵貯銀行と簡保生命の全株売却が見直し法案では保証されていないことなどから、中川元幹事長ら一部の議員は「改革に逆行する」として反対していました。中川元幹事長は27日の総務会でも反対意見を展開しましたが、「押し切られた」として、衆議院本会議での採決で反対する方針を表明しました。


総務会において、中川秀直が谷垣総裁に質問し、回答いただけなかったのは下記の点です。
(下記は要旨です。正式な発言内容は動画をご覧ください)



2012-03-27 16:49:30
【動画】本日の党総務会決定について(中川秀直)
テーマ:志士の目
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11205225968.html

・・・
谷垣総裁に、総裁自身も閣僚として平成16年の(郵政民営化の基本方針の)閣議決定には署名しておられるはずだが、いかなる検証の結果をもって、今度のこんな法案になったのか。株の完全売却を目指すとか、早期に処分だとか、努力規定にしてしまう、そういうことにしてしまったのか。
 これは郵政民営化の基本方針という閣議決定したものを撤回することと同じではないか。法律に今までは目的で入っていたのが、今度の自公合意の法案には目的規定にその基本方針が抜けてしまった、なくなってしまった。ということは、基本方針を撤回するということじゃないのか。

 撤回するのであるならば、なぜそうしたのか。公明党のせいになんかしてはいけないのであって、我が党の歴史を踏まえて、この基本方針を転換するのならば選挙で国民に説明してからにすべきである。
 選挙で民意に訴えることなく、勝手に政策転換するということであるならば、これは民主党と同じになる。つまり、約束を守らないということになる。自民党の終わりの始まりになる。今は嵐の前の静けさかもしれないが、必ずそうなるぞと

 そういうことで、いくつか総裁にも考えを尋ねたいということで、申し上げた。

 その一つは、基本方針を撤回したと同じ、どう考えても法文が替わっちゃったということはそうなるが、それは検証の結果出てきた結論なのか。どういう検証なのか。

 簡易郵便局の営業停止問題、郵便局がなくなったなんてことは、これは農協や漁協が受託をしなくなったからであって、株式会社になってからは、(それまで)4百ばかり受託がなくなって局が減ったものも、2百いくつに営業再開させてた。・・・

 郵便事業の赤字だというのは、1100億円、JX-EXPRESSが日通のペリカン便を引き受け、赤字をいっぱり抱えた、西川さんが外へ出そうとしたのを、斎藤体制になってまた戻して、郵便事業の赤字は、このペリカン便の1100億円の赤字が「1000億円の赤字」になっているのであって、金融2事業は一応増益だ。

 3月7日に田中直毅の郵政民営化委員会の報告書でも、郵便局が減ったとか郵便事業が赤字だということは、民営化とはまったく関係ない、関係ない原因でそうなったとちゃんと出ている。これについて、何か検証したからこうなったと総裁は言うのか。

 2番目は、基本方針ではリスク遮断。事業ごとの差益の明確化と事業間のリスク遮断をしなきゃいけないと言っているが、この旗を降ろしたのか降ろさないのか。株を売らない、そういうことで4分社化していく。リスク遮断しないのか。

 3番目は、最終的な民営化においては、民間事業としての自由な経営を可能にするということだったが、この旗印を降ろしたのか。

 第4番目は、民間事業とイコールフッティングにするということが基本方針に書かれているが、この旗を降ろしたのか降ろさないのか。少なくとも3月7日の田中直毅郵政民営化委員会の報告書では、株が2分の1以下になったら認可制に変えて事業範囲を拡大すると、認可性から届け出制に変えるという仕組みは、民間とのイコールフッティングの確保を完全に担保する仕組みとは言えない、という報告書が出ている。しかし自公の原案は、まさに民営化委員会が懸念した通りのものになっているのではないか。これは郵政民営化の基本方針に反しているのではないか。

 では何をもって、完全民営化の道が残っているのか。全株処分の道が残っているというならば、何のどういう条件が整った時に処分するのか。あるいは売却期限をなくしちゃったわけだが、どのような検証の結果、そういう結論になって、いつその結果が戻るのか。「決められない政治」と言うが、「決めない政治」になっちゃったわけだ、期限がなくなっちゃったわけだから。あるいは、金融2社の完全民営化は行わないのか。

 谷垣総裁からはお答えがなかった。こんな大事なことは、実務者ではなくて総裁が答えるべきだが、答えがなかった

 林PT座長や茂木政調会長から「郵政民営化の基本方針」というのは、法律に書いてある、現行法に書いてある「2004年の閣議決定の基本方針」ではなくて、一般論の基本方針、それが総務会の最初の文書の基本方針ですという、何か訳が分からない説明があった。「言葉が足りなかったとすれば、お詫びを申し上げる」ということだった。「私は納得ができない」と申し上げた。

 私が指摘した点については、ユニバーサルサービスが確保されるまでは株を売らない、確保された上ならば「目指す」だから、そういうこともあるのではないか、ということが林さんあたりからあった。

・・・

(正式には、動画でご確認ください)


【「郵政民営化の基本方針」一口メモ】

見直し案では、現行の郵政民営化法第1条の目的規定の、郵政民営化の定義から「平成16年9月10日の閣議において決定された郵政民営化の基本方針に即して行われる改革」という言葉を削除して全く別の定義にしています。これは、郵政民営化の基本方針を撤回したことを意味するのではないでしょうか。新しい郵政民営化の定義は、「株式会社に的確に郵政事業(法律の制定により、郵便局で行うものとされ、及び郵便局を活用して行うことができるものとされる事業をいう)の経営を行なわせるための改革」になっています。

まさに、今回の見直し案の核心は、平成16年9月10日の閣議において決定された「郵政民営化の基本方針」を撤回することにあります。では、そこには「基本的視点」として以下のことが書かれています。



平成16年9月10日 閣議決定「郵政民営化の基本方針」の基本的視点

 4機能が、民営化を通じてそれぞれの市場に吸収統合され、市場原理の下で自立することが重要。そのための必要条件は以下の通り。
 
(1)経営の自由度の拡大
・民営化した後、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方等を勘案しつつ、郵政公社法による業務内容、経営権に対する制限を緩和する。
・最終的な民営化においては、民間企業として自由な経営を可能とする。

(2)民間とのイコールフッティングの確保
・民間企業と競争条件を対等にする。
・民営化に伴って設立される各会社は、民間企業と同様の納税義務を負う。
・郵貯と簡保の民営化前の契約(以下、「旧契約」と言う。)と民営化後の契約(以下、「新契約」と言う。)を分離した上で、新契約については、政府保証を廃止し、預金保険、生命保険契約者保護機構に加入する。(通常貯金については、すべて新契約とする。)

(3)事業毎の損益の明確化と事業間のリスク遮断の徹底
・各機能が市場で自立できるようにし、その点が確認できるよう事業毎の損益を明確化する。
・金融システムの安定性の観点から、他事業における経営上の困難が金融部門に波及しないようにするなど、事業間のリスク遮断を徹底する



上記の郵政民営化の基本方針の基本的視点を全面撤回することが今回の見直し案の核心部分なのでしょう。

国民にとって深刻なのは、(3)の事業間のリスク遮断の問題です。ゆうパックの1000億円の赤字、かんぽの宿の毎年30億円の赤字が、郵便局の存続や、郵貯・簡保の利益を奪っていくわけです。リスク遮断しないとはそういうことです。逆に、天下り官僚の武家の商法で郵貯・簡保の運用を失敗したら「消えた企業年金」のようなことになってしまうリスクもある。金融のリスクが郵便局の存続を脅かすかもしれない。天下り官僚がどこかから押し付けれらた事業に失敗するかもしれない。そのとき、きっと時の政府は「国民負担で郵便局や郵貯・簡保をお守りいただきたい」ということでしょう!そのときには、引退済の天下り官僚の判断ミスは不問とされているかもしれません。

リスク遮断しない、暗黙の政府保証をつけるというのは、民業圧迫になるだけでなく、最終的に国民負担になる危険性があるのではないでしょうか。

郵政民営化法第1条の郵政民営化の定義から、この「郵政民営化の基本方針」という言葉を削除したことの意味はきわめて重い。だからこそ、この路線転換について、谷垣総裁の政治決断の理由を中川秀直を総務会で聞いたのですが、お答えがなかった・・・